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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

全ての魔法が使える最強の魔法使いだけど、追放されたので、魔道具作りでスローライフしたい。

「追放に決まってるだろ!」

 目の前の男は完全にキレている。

「マジぃ!? やった!」

 嬉しくてたまらない。喜びがガッツポーズとして出てしまった。

「何で喜んでんだ、てめぇ!」

 本音が出てしまい、怒りの炎に油を注いでしまった。


 怒っている奴は、ロバート・マクファーレン、このパーティーのリーダーだ。剣士でそこそこ名が売れている。世の中に五万といる魔王を倒して英雄になりたい奴らの1人だ。


 俺は、モルドレッド・メルリヌス。魔法使いだ。特筆すべき事は沢山あるが、今は良いだろう。

「てめぇ、何回ミスしてんだ! 何回俺様に魔法を当てれば気が済むんだ!」

「俺の前に出るのが悪い」

 毎回の事なのだが、ロバートは俺の目の前に出て戦いを始める。わざとやってる訳じゃないのがタチが悪い。

「一切反省してねぇじゃねぇか!」

 ロバートはキレているが、こっちからしたらお前が悪いとしか言いようが無い。

「俺言わなかった? 俺の前に出るなって」

 図星だったのかロバートが黙った。

「とにかく、お前なんか、もう、追放だ!」


 何でロバートがこんなに追放を連呼しているのかというと、今世の中は空前の追放ブーム、追放した事で魔王を倒せました! というハウツー本が出回っている。そのブームに乗りたいようだ。

 間抜けが極まっている。


 俺も俺でやる気は無かったが、常にロバートが俺の前で射線を塞ぐので、誤射も致し方なしだと思う。

 そろそろ本業の魔法の研究にも戻りたかった頃だ。追放されるのも悪くない。


「ちょっと待ってよ! モルはやる気無くても敵を1人で倒してるのに追放したら、あたし達負けて教会送りだよ!」

 口を出したのは武闘家のファム・ポラリスだ。

 よく魔法の実験台になって貰っている。主に下着の透視で。

 ちなみに教会送りとは、魔物に殺されると、魂があの世に行けずに、神様によって遺体ごと教会に送られる事だ。


「そうです。モルドレッドさんは何故か強いんですから、追放する必要ないじゃ無いですか!」

 回復術士のマール・フレグランスも追放に反対し始めた。

 マールは下着の透視が一回でバレたのでやってない。


「ファム、マール、俺の味方をしてくれるのは嬉しいんだけどさ。追放されたいんだ」

 2人が味方してくれるので申し訳ないが、旅をやめたかったので言うしか無い。

「は?」

「え?」

「あの?」

 3人が驚いた表情で俺の方を見た。

「俺を追放すれば、ブームに乗って魔王討伐でしょ? まあ、あのクソ野郎、一週間くらいで何度でも復活するんだけどさ。それで、めでたしめでたしじゃない?」


「ほら! 俺様の言うことが正しかったんだ!」

 ロバートが子供みたいに指差して勝ち誇っている。

「追放される奴にフォローされてるけど、それで良いのか」

 呆れて余計な事を言ってしまった。これで拗ねて追放しないとか言われると面倒だ。

「てめぇ! 余計な事を言うな!」

「あ〜、はいはい。すいませんでした」

 平謝りで謝る。

「追放!」

「はーい」

 面倒くさいので黙ろう。帰ったら何の魔法の研究をしようかな。

 小説の自動作成とか良いかもしれない。

「いや、何でてめえ黙ってんだ!」

「まだ何か言って欲しい事があるのか?」

「いや、無かった。悪かった」

 ロバートは勢いで喋っている。面倒な男だ。


「じゃ、俺は帰るよ。別に転移魔法を使えばすぐ帰れるし」

 少しだけ道の薬草を摘んで帰ろうと、転移魔法は使わずに手を振りながら3人から離れていく。

「モル! またねー!」

「モルドレッドさん、せめて人類の役に立つ研究をしてくださいね!」

「あ〜、うん、頑張る。教会送りにされないよう、頑張れよ」


 長閑な草原で薬草を探す。狙いは、催淫効果のある物だ。

 多分、未来になれば人類の役に立っているはずだから、研究しても良いだろう。

「呑気だな。貴様は」

 誰も居ないはずの草原なのに、背後から声が聞こえた。ファムでもマールでも無い女の声だ。もちろん、知っている。

「俺は俺、他の奴は他の奴、生きたいように生きていくのが良いんだろ。血や先祖に生き方を縛られてると何も面白く無いぞ、魔王」

 後ろを振り返る。


 悪魔の角と羽の生えた、長髪の絶世の美女が立っていた。こいつが魔王だ。

「名家の血でも無く、己の力量だけで、この私を倒すだけの事はあるな」

 余裕がある大人なクールな笑みを浮かべている。

「褒めてくれるなら、媚薬でも作ってやろうか?」

 俺は魔法だけでなく魔法を使った道具、魔道具を作る天才でもある。

「そうだな。落としたい奴が居る。とびきり濃い、1発で落ちる奴が欲しい」

「へ〜、そいつの名前は?」

「モルドレッド・メルリヌス」

「そうか。それは残念だ。そいつは薬の類は効かないんだ」

「それは身を守る為の冗談か?」

 自分の研究室から小さな瓶を転移魔法で呼び寄せる。

「これは俺が作った中で1番効く媚薬だ」

 瓶の蓋を開けて、一口飲んで、魔王に渡す。

 魔王は蓋を少し開けて慌てて蓋を閉めた。

「これは……はぁ……確かに……効く……はぁはぁ……くぅっ……少し嗅いだだけなのに、体が疼く……」

 魔王は身悶え、自分のおっぱいごと自分の体を抱きしめて疼きを慰めている。

「ざっこ」

 大欠伸をしてから、薬草になる花を摘む。催淫効果のかなり期待できる花だ。

「貴様に効かないのはよく分かった。これは返そう」

 魔王は素直に瓶を返した。


「で? 何の用?」

「用がなければ会ってはいけないのか?」

「お前、自分が魔王という事を忘れたのか?」

「うるさい! 今日こそ、貴様を私の物にしてやる!」

 子供のように怒る魔王は魔力を高め臨戦体勢を取っている。

「あのバカからやっと追放されたのに、次はお前かよ。2度と俺に刃向かえないようにボコボコにしてやる」


 魔王の姿が消えた。転移魔法を使ったか。

「ふぁあ〜」

 大欠伸をして、魔王の攻撃を待つ。

「隙だらけだ!」

 背後から声が聞こえた。

「魔王の癖に、後ろをとるなんて威厳も何も無いな。まあ、それも無駄だろうけどな」

「うるさい! ダークネス・ストリーム!」

 魔王渾身の闇の魔法が後ろから迫っている。

「少し遊び相手になって貰うとするか」

 研究室に置いてある試作品の道具を転移魔法で取り寄せる。


「さぁて、何から使おうかなっと」

 魔王の魔法をバリア魔法で軽くいなし、さっきの媚薬の瓶の蓋を開け、魔王に投げる。

「っ!?」

 魔王は媚薬を吸ってしまい、足を震わせ、膝をついた。

「体が、熱い……」

「媚薬だからな」

 魔王の髪の毛を一本取り、試作品の魔道具の人形に食べさせる。

「エンペラードール。髪の毛を食わせると、髪の毛の持ち主の体を、この人形で操る事が出来る」

 人形の足を掴んでひっくり返す。

「ひゃあ!?」

 魔王は空中でひっくり返った。

「神経を魔法で支配してるから、抵抗しても無駄だと言っておく」

「くっ! 卑怯だ! 正々堂々戦え!」

「お前……後ろ取った事もう忘れたのかよ。ていうか、お前、魔王だろ」

 全く呆れて話にならない。

 人形のお腹を優しく撫でる。

「ひぅっ!? や、やめて、優しく体を撫でられると、感じて……」

 魔王は顔を赤くして、歯を食いしばって快感に耐えている。

「そうか。なら、何もしないでおいてやるよ」

「そ、それも生殺しなんだが……」

「さあ? 俺には薬が効かないから分からないな」

「貴様ぁ!」

 魔王が力を振り絞り声を上げた。しかし、それ以上の事は出来ないようだ。


「仕方ない。これにて終わらせてやるよ。ゼロ・エリミネイト」

 純魔力の熱で魔王を消しとばす。いつも通り、今回も相手にならなかった。

「ぐぅ……」

 声が聞こえた。しぶとい事にまだ死んで無かった。魔王は黒焦げで這いつくばってピクピク動いている。

「決めた……私は……貴様の……ストーカーになる」

「……おい、犯罪を堂々と、それもストーカーを被害者本人の前で宣言するな」

「知らない! 私は大魔王アイリス! 今日から貴様のストーカーだ!」

「くたばれ」

「貴様、酷い!」


 アイリスは少し距離を取って俺についてくるようになった。常に仁王立ちをしてドヤ顔をしている。あれが魔王スタイルという奴か。

「おい、ストーカー」

「どうした? 私の物になる決意が出来たか?」

「薬草摘むから、持っとけ」

 アイリスに摘んでいた薬草を渡す。

「おい! これ催淫効果がある物ばかりだ! 体が熱い……」

 うるさいのでアイリスの口に封印魔法を使い口を開けなくする。

「んんっ! んっ!」

 まだうるさいが少しは静かになった。


 目的の薬草は摘み終わった。アイリスは涙目で花畑に座り込んでいる。

 アイリスの封印を解く。

「ご苦労」

 アイリスから薬草を受け取る。

「貴様! 分かってるのか! 魔王を雑用に使うなんて、私の部下が黙ってないぞ!」

「先週もそんな事言って返り討ちにされてただろ」

 先週は部下も連れてきていたが、指一本触れられずに全滅していた。

「うっ……」

 言い返せず魔王は言葉を詰まらせた。

「毎週、毎週、律儀に喧嘩売ってくるな」

「うっ……」

 アイリスはがっくりと項垂れた。

「じゃあな、俺は研究に戻るから。2度と俺の前に顔を見せるな」

「貴様酷くないか! これでも私、かな〜り美人だし、ロリにも姿を変えられる万能魔王なんだぞ!」

「知るかよ」

「私の気持ちも少しは考えろー!」

 無視して転移魔法を使う。相手をしてやる義理は無い。

「無視すんなー! 何処までもストーカーしてやるー!」


「やっと撒けたか」

 町まで戻ってきた。買い物をする為に研究室に直帰せず市場に転移した。魔王の姿は見えない。買い物をする人と商人が賑やかにやりとりしている姿しか視界には映っていない。

 まずは、飯だ。八百屋で野菜を適当に見繕うか。

「モルドレッドさん! おかえりなさい! 1人なんですか?」

 いつもこの市場で買い物をするので殆どの店の人とは見知った仲だ。

「ああ、追放されたからな」

「ブームですもんね」

「そうだな。まあ、旅も楽しかったよ」

 トマトとレタスでサンドイッチでも作るか。

「しかし、モルドレッドさんも隅に置けませんね。こんな美人さんをゲットして帰るなんて」

「……そうだな。これ買うよ」

「はいよ。お買い上げありがとさん」

 八百屋のおっさんが代金を受け取り、俺を視界から外した瞬間を狙い、後ろの女に回し蹴りをする。

「危なーい!? 貴様ー! 私じゃなかったら避けられなかったぞ!」

 女は咄嗟に体を逸らして避けるが尻餅を突いた。

「何故避ける? これは俺の愛だぞ?」

 角と翼を隠し人に擬態したアイリスは尻餅を突いて怒っている。

「貴様の蹴りなんて喰らったら私死ぬぞ! また一週間療養生活が始まるだろ!」

「知るか。一週間どころか永遠に療養してろ」

「モルドレッドさん? 何かありました?」

 反対を向いている俺を心配して八百屋のおっさんが呼んでいる。

「いや、何でもない。こいつは勝手に転ける間抜けだからな」

 アイリスに手を差し伸べる。こいつが魔王だと知られたら騒ぎになる。ここはやり過ごす。

「ふっふーん、優しく出来るではないか」

 無視して野菜を受け取る。

「また来るよ」

「ありがとな! モルドレッドさん」


 その頃、魔王城にロバート達は着いていた。

「静かだな。俺様に恐れをなして逃げ出したのか?」

「モルが居ないと言い合いも無いし、確かに静かだよね」

「ちげーよ! 魔物が全然居ないって話だ!」

 ロバート達はその後も魔王城を探索したが、魔王どころか魔物1匹とも会わなかった。

「魔王まで居ない……流石におかしい、何かあったに違いない」

「そうだろうね。魔物居ないし」

「あの、壁にこんな物が……」

 マールが紙を2人に見えるように広げた。

「私が負けまくるので、魔王軍は休みにする。by魔王アイリス」

「魔王軍って休みがあるんだ。良いな〜」

「ファムさん、今度温泉に行きませんか? この前通った村で天然の良い温泉があるって聞いたんです!」

「マール、ナイス! 絶対行くよ!」

「うるさいうるさい! 俺様は魔王を倒して英雄になるんだ!」


 魔王アイリスはノコノコと研究室までついてきた。

「お昼ご飯はサンドイッチかぁ……私はハムがあるほうが好きだ! ハムを追加しろ!」

「お前……食う気なのか?」

「もちろん」

「食ったら帰れよ……」

 言う事を聞かないアイリスの要求に屈してしまい、冷蔵庫からハムを取り出す。

「何だそれ?」

 アイリスはソファーでくつろぎながら冷蔵庫を指差している。

「冷蔵庫、食材とかを冷やして保存する事で腐敗を防いでる」

「もしかして、貴様、何でも作れるのか!?」

「要望された物で、かつ、俺の魔法で作れる物ならな」

「なら、世界を征服出来る道具を作ってくれ」

「ちなみに対価だが、作った道具の効果の2倍だ」

「……どういう事だ?」

「100ゴールドの価値を生む物なら、対価は200ゴールドという事だ。世界を征服するなら、最低限、全ての流通を手に入れる事になる。今流通している全ての物の価値の2倍は、まず払わなければならない。そして、人も支配するのだから、彼らの価値の2倍……」

「分かった! 分かった! 世界征服は地道に頑張る!」

 アイリスに話を遮られた。聞きたく無いと耳を手で塞いでいる。

「世界征服を止めろって言ってんだよ」


「ほら、これで良いか?」

 サンドイッチをアイリスに渡した。

「わぁ! 私、朝から何も食べてなくてお腹空いてたんだ! いただきまーす!」

「子供か」

 パンに野菜とハムを挟んだだけのサンドイッチを一口食べて、机に向かう。

「私というか客と一緒に食べてるのに、研究し始めるとか失礼だぞ!」

 正論だ。魔王が言う言葉とは思えない。仕方ない、食事に集中するか。

「無駄に礼儀正しいんだな」

「無駄って、私は由緒正しい魔王だからな。礼儀くらい嗜んでる」

「へ〜」

「全く興味無さそうだな」

「生憎、出自は農家だからな。血統自慢なんて聞き飽きた」

「ふ〜ん」

「王家に仕えなかったのも、血統主義の貴族達と働きたく無かったっていうのが理由だしな」


「料理も出来て、魔道具も作れて、凄まじく強い、もうこれは私の物になる条件揃ってるし運命!」

「うるさい、何処かに消えろ」

「その辛辣な物言いだけは私は治すべきだと思うぞ」

「余計なお世話だ。食べたなら早く帰れ」

 アイリスはソファーに置いてあるクッションを抱いて寝始めた。

「おい、寝るな」

「貴様はいつも何処で寝てるんだ? ここは研究室という奴なのだろう?」

「そこで寝てんだよ。退け」

「貴様の部屋は無いのか? というか、この建物は貴様の物なのか?」

「ああ、そうだ。ここは俺の研究所で家だ。お前のいる場所は無い」

「そうか、なら、私が掃除をしてやろう。リビングも埃だらけだったしな。起きたらだけどな! おやすみ! すやぁ……」

 アイリスはすやすや寝ている。

「居付く気か! 止めろ! 起きろー!」


「ふぁあ〜、ん〜、もう夜〜」

 アイリスは起き上がりクッションを持ったまま伸びをしている。

「ああ、そうだよ。図太過ぎだろ、お前」

「あ、貴様、夜ご飯は〜?」

「いつもは食べに行ってる」

「れっつごー!」

 何故か腕を引っ張られる。

「お前?」

「私のことはアイリス……いや、アイリと呼ぶが良い! 私はモルと呼ぶ!」

「いやいやいや、帰れよ。暇魔王」

「モルが私の物になるまでは帰らない!」

「はぁ? なら、媚薬漬けにするぞ? 良いのか? まだまだ色々面白い薬はあるぞ、感度を50倍にするとかな」

「スケベな少年の夢みたいなものばかり作ってるな」

「余計なお世話だ!」


「モルは今何がしたいんだ?」

 結局追い返しきれず、アイリスと一緒にステーキを食べている。

「何がしたいって何だよ?」

「私の世界征服みたいな。こんな美しい私の物にならないんだから、理由があるんだろう?」

「心が美しくない」

「し、辛辣……」


「昔、町によく当たるらしい占い師が来たんだ」

「え? んん?」

「俺も知り合いに誘われて占ってもらったんだ。そうしたら、占いが当たるか気になるだろ?」

「そうだな……私も気になる」

「未来予知の魔法を使ったわけだ」

「もしかしてモルは万能の天才なのか!?」

 目を丸くしてアイリは驚いている。素直か。

「黙れ、予知できた未来に問題があった。全てが炎に包まれ、国は滅び、人も全滅していた。もちろん、魔物も」

「な、な、な、なんだと!? それはいつくるんだ!?」

「先週」

「せ、先週!? 先週っていつ!? わあ! はやく魔王軍を集め……休みにしてたんだった! どうし……え、先週?」

 1人で慌てて騒いで、やっと気づいたようだ。

「先週、アイリをボコった後だ」

「……何が原因なんだ?」

「巨大な隕石」

「私も流れ星によくお願いするぞ。世界征服をな」

「馬鹿だろ」

「モルが天才過ぎるだけで、私は馬鹿じゃない!」

 テーブルを叩かないように気をつけながらアイリは握り拳をブンブンと上下に振って怒っている。

「隕石は被害が出ない程度に破壊した。俺がしたいのは、その破片の調査だ」

「な、なるほどぉぅ。ふっ、私が手伝ってやるぞ」

「邪魔しに来るの間違いだろ?」

「ちーがーうー! モルが私の元でやりたい事が出来れば、私の物になっても出来ると分かるだろう? ふふん」


「俺1人でも出来るが?」

「うっ……確かに。だが、私は諦めない。モルが私の物になってれるまで私はモルのストーカーをする」

 アイリが諦めが悪いのは知っている。俺に負けた事を根に持って、毎週律儀に喧嘩を売ってくる辺り、諦めが悪いのはよく分かる。

「……好きにしろ。ただし邪魔だけはするなよ」

「ふふっ、私無しでは生きられない体にしてやるからな。楽しみにしておけ!」

「例えば?」

「掃除、洗濯、近所付き合い、私は得意だからな」

 アイリは胸を張っている。

「随分家庭的だな。メイドかよ」

「戦いも得意だと思ってんだが、モルの前で言うのは烏滸がましいと思った」

 この世の終わりを見たような目をしている。二桁以上連敗して、遊ばれるとこんなジト目が出来るようだなるのか。


 夜ご飯を食べ終え、研究室に戻ってた。

「今日から魔王メイドアイリに任せておくが良い!」

 アイリはメイド服に変身した。魔法で服を着替えたのか。

「はいはい」

 今更だが、何で、好きにしろなんて言ってしまったのだろうか。完全に気の迷いだ。

「まあ、居るだけで面白いから良いか」

 魔王でメイドで居候のアイリとの生活が始まった。

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