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詩集「七夜詩篇」

夜明けの"S"

作者: 詩月 七夜

流れていく藍色の雲は


白にも黒にもなれなくて


ようやく訪れる暁の光に


どっちつかずのその姿を


恥じ入るように散らそうとする


二人分の温かさが残るベッドの上


星さえ微睡(まどろ)む静かなこの時間に


二人だけの思い出の部屋は


悲しい薫衣草(ラベンダー)の香りで泣いていた


夢の中の君は幼子のように


立ち去る(だれか)に気付くことなく


柱時計の鼓動を子守唄に


(あした)の光を待っている


「愛してる」と呟く無音の声は


まる春宵(はるのよ)木霊(こだま)のよう


(きし)む心音も操り人形(マリオネット)みたいに


不自由な鼓動を虚しく響かせる


閉ざしたドアの前で躊躇(ためら)う演技


再演カーテンコールは期待しないけど


(だれか)の幸せは(はかな)く散って


静かに幕は落ちていく


花の香りが思い出したように


未練に乗って追いかけて来たけれど


ドアを閉めたら 夜明けの“SAYONARA”

本作は、ちはやれいめい様主催「フラワーフェスティバル2020!」企画参加作品です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] フラワーフェスティバルに参加していただき、ありがとうございます。 ずっと一緒にいることができなかった関係、最後にとどく花の香りが切なさを募らせますね。
[一言] どうして共に朝を迎えられない関係なのかの説明が全くないので、そこを想像できるのもこの詩の楽しみの1つなのだなと思いながら読みました。 詩の途中から、去っていく人の背中が強く思い浮かびました…
[一言] いつもながら言葉の使い方がキレイです。 お見事。
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