愛情錯誤《幕間》
浦安つぼみ。
18になると家を追い出され、「悠」のところに転がり込んだわけなのだが。彼は有り体に言って、DV男だったわけだ。職業はホスト。まあ、色々と問題があるかもしれない。
愛を錯誤してとらえた少女の行く末は明るいものなのか否か。果たして。
「難儀なものね。」
「これが現実さ。人間と言うものはえてして、そういうものに対する感情が歪むことも多い。そう言う風に創ったのは君だろう?はいいろさま。」
いつの間にかぼくのとなりにいて、ぽつんと呟いた灰色の少女に、ぼくはそう返す。世界を作ったと自称する彼女には、何が見えているのだろう。
彼女はそうだっけ、と首をかしげたかと思えば、なにかを思い付いたのか、ぽん、と両手をうった。
「ねぇ、観測者。他にもいるのでしょう?こう言う人たち。私は気になるわ。是非、教えてちょうだいよ。」
不適に笑ってそういった。
全く。ぼくと言う存在も含め、作ったのは貴方だろうに。
「良いよ。」
どうせ観測以外にすることもないし、とぼくはそのまま下を見下ろす。
綺麗な夜景を見下ろして、ここらで一番高い塔の上で。風は強いけれど、落ちるような気はしない。慣れていると言うのもあるし、神様の力もあるのだろう。
明日も昨日も、ぼくはここから見続ける。だけれど今日は少し違う。少し、たのしいかもしれない。
「じゃあ次は。まだ名前はつけてないんだけれど、言っちゃえばメンヘラな女の子の話をしようか。」
「めんへら?なぁに、それ。どの子?」
双眼鏡を渡しつつ、ぼくは浦安つぼみの方へと目を向ける。彼女は今日も、呟き続ける。呪のように。
「これも、愛情なんだ。私は彼の人形だから、仕方ない。」
此れに気付かないとは、神様ってのも、罪なものだねぇ。
可哀想に。
愛情錯誤の愛情欠乏