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考えてないや  作者: 今世紀最大の阿呆
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06 城内で


俺は城の応接間へと案内された。しばらく待っていると裕福な身なりの初老の男と俺と同い年(高校生)くらいの女の子が入ってきた。


「やあ。私はこの街の領主をやっている小野寺 拓郎だ。こっちは娘の梓。君の名前を教えてくれるかな?」


「私は七条 イロハだ。よろしく。」


「ああ、よろしく。さて、早速だが君が門番に見せた手紙を見せてくれるかな?」


「ん?ああ、もちろんだ。」


俺は封筒を出し、拓郎に渡した。拓郎は手紙をチラッとみて燃やした。呪文を唱えず、ライターやマッチを使わずにだ。


燃えた手紙を見ていると、手紙は形を変えてやがて赤い短剣になった。しかも鞘に入ったままの状態で。明らかに質量が大きくなっているが、俺はそこには触れなかった。


「それは?」


「これはこの世界を創った神さまの使徒だと証明するものだよ。これは君に返すよ。この短剣があると、王様と同じくらいの待遇を受けることができる。使うからどうかは君次第だがね。使い方はその短剣を見せながら何か命令を下すといいさ。」


「へぇ、なるほど。なかなか面白い仕組みだな。ああ、ところであの神様からここの学校に通えって言われてたんだった。」


「カマリナ学園の事だね。その件はこの梓が説明するよ。」


「はい、お父様。ではイロハ様。何か質問はございますか?」


まだ何も説明していないのに質問を聞くとは。この人は俺がこの学園についてもうすでに聞いていると思っているんじゃ無いだろうか。


まぁ、学園が建った理由とかを長々と説明されるよりかマシだろう。と俺は思った。


「じゃあまずは

1 この学園は基本的に何をするのか?


2 この学園は休日は週何回あるか?


3 この学園は寮制か?


4 この学園は服装が決まっているのか?

....ぐらいだろうか。あとは何か分からない事があった時にその都度聞くよ。」


「わかりました。では、ひとつずつ説明しますね。

1 この学園は基本的に奪還、守護、整備の3つに分かれて、それに関した事を学びます。例えば奪還なら戦闘訓練、地図の見方など。守護なら避難経路の視察と市街地に出現した魔物の戦闘訓練。整備なら設備の建設系の事など。


2この学園には土、日曜日に休日があるグループと水、木曜日に休日があるグループに分かれています。


3 この学園は寮生です。5人1部屋で過ごします。


4 この学園は服装は決まっておりませんが、この学園の制服はかなり丈夫だったり、制服を着ているだけで交通機関の利用がタダになったり、学食が無料になるので普段から制服を着ることをお勧めします。

…以上でしょうか。」


「ありがとう。それと、何か手続き等はあるのだろうか?」


「いえ、手続きはこちら側でやっておきます。それと、制服と教科書類を渡すので少し待っていてください。」


「わかったよ。」


そう言って彼女は部屋から出て行った。


「私はどれを学ぶことになってるんだ?」


私は彼女を目で送りながら彼女の父へと質問する。


「基本的に何も受けなくても良いのですが。何か受けたいものはあったかな?」


「とりあえずは奪還の方に行こうと思ってる。」


「そうですか。では、教員にはそのように伝えておくよ。」


「小野寺さん。人類は今現在、奪われた土地をどれくらい取り戻しているんだ?」


私がそう聞くと、彼女の父は苦い顔をして答えた。


「申し訳ないのですが、土地を半分奪われたあの日から50年。未だ全体の2割程しか取り返せていないのです。」


そういえばいつ奪われたのかとか聞いてなかったなと思った。しかし、25年で1割か...。この世界の平均ステータスから考えると早い方では無いだろうか。どうやらこの世界の兵士?戦士?は優秀らしい。


「謝る必要はないよ。神の使徒とは言っても名ばかりだ。私はこの世界の事をよく知らないから君を叱責する事は出来ない。それにこの速さで土地を取り返せているのは凄いと思う。誇っていいよ。」


「ありがとうございます。」


「それとーーー」


ガチャッという音と共に彼女が鞄を持って入って来た。


「あ、お邪魔だったでしょうか?」


「いいや、丁度いいくらいだよ」


正直ありがたい。ついノリでペラペラと喋るところだった。


「この中に教科書類と筆記用具、制服や生徒の証である指輪です。指輪に付いている中石の色は緑、黄色、赤の三種類です。緑は整備、黄色は守護、赤は奪還です。さらにこの指輪のように石座が金色の人はある程度の権力を持った人を表します。

普通の石座の指輪を持った人が受ける恩恵は寮や学園の学園に自由に入ること、学食の値段が半額になること等です。

金の石座の指輪を持った人が使えるのはその恩恵に加えて図書館の閲覧制限の部屋への出入り権、一部武装の許可等です。」


「それは、貴族なら誰でも持ってるのか?」


「いいえ、この指輪を持てるのは学園のほんの一部、学園長が認めた人です。特別な指輪を持っているからといって威張るような人には渡していません。」


「そうか、ありがとう。大切にするよ。」


私は彼女に鞄と指輪をもらった後、少し話をして寮へと向かった。

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