02 転生トラックとは異世界モノの定番である
あのあと、SHRを終えた俺は最近ハマっている弓道の達人をやる為、家へと帰宅していた。
『弓道の達人』とは、今話題のVRゲーム『フリーダムズ・オンライン』にあるミニゲームの一つで、仮想空間の中で、跳ねたり、回転したり、突進してくる的を射抜くゲームだ。
正確に的を射抜く力を競う大会が定期的にあり、俺はその大会で常に優勝しているほどの実力者だ。
このゲームは恐ろしいほど現実的に作られていて、現実でできる事はこのゲームでもできる。このゲームでできる事は現実でもできると言われている。
このゲームは『弓道の達人』の他に『森林の覇者』、『砂漠の帝王』、『大海の覇王』、『運転の達人』、『剣道の達人』、『茶道の達人』、『武道の達人』...etc....など、沢山のミニゲームがあり、どれも大会があり、俺はそれら全て上位ランカーである。
これまでミニゲームを紹介したが、『フリーダムズ・オンライン』はこの地球に謎の生物が侵略して来て、地球半分くらい乗っ取られたので、そいつらを追っ払おうぜってゲームだ。
剣や弓、銃火器、拳などを使って謎の生物を撃退し侵略されたエリアを制圧していくゲームであり、9割制圧すると侵略が起き、また土地を半分奪われるという終わりのない戦いである。
猛者の大木という木に、魔物を倒した回数が多い者が上から10人表示されるのだが、俺はそこで1.2を争っている。このゲームに出てくる生物はとても強く、通常2人か3人で相手をするのがセオリーなのだが、リアルで猟師な人や軍に所属している人など、腕に覚えのある人は1体1で倒せる。俺は弓道の達人でプレイヤースキルを磨き、謎の生物と戦っている。個体ごとに弱点があり、そこを的確に射つことで弓の火力不足を補い、ほかのプレイヤーよりも速く倒している。
俺は、リアルの方でも、色々と身体を鍛えているので、あのゲームでできる事はこっちでもほぼ出来る。
説明はここまでにしよう。この横断歩道を渡ればもうすぐ家に着く。俺は肌寒くなり、吐く息が若干白くなるのをぼうっと眺めながら信号が青になるのを待った。横断歩道の先には小さな女の子が母親と手を繋いでお話しをしている。
信号が青に変わり俺と女の子は同時に歩き出した。そのとき、トラックが猛スピードで迫って来るのが見えた。俺は目が良いため、運転手が眠っているのが見えた。いや、見えてしまった。
トラックはあの親子へと向かっていき、トラックが止まる気配が無いことに気付いた親子は恐怖で固まっていた。それを見た俺は親子へと向かい、突き飛ばした。強く押したため、突き飛ばされた親子は少し怪我をしただろうが、死ぬよりマシだと思ってくれ。
トラックは俺とぶつかった後左に逸れ、ガードレールにぶつかって止まった。
俺は親子を突き飛ばしてすぐトラックにぶつかったが吹っ飛ばされた後、あのゲームで培った技術を遺憾無く発揮し、冷静に受け身を取った。
周りの人達は吹っ飛ばされた俺が立ち上がるのを見て、まるで信じられない物を見たとでも言うように驚いていた。
俺はトラックへと向かって、運転席を覗いた。運転手はどこかにぶつけたのか頭から血を流していた。俺はそれを見て、救急車を呼び、トラックの側に腰を下ろした。
落ち着いて自分の状態をみてみると右足と右腕が折れているようだ。よくここまで歩いてこれたなと思った。
しばらくすると救急車のサイレンが聞こえて来たが、そこで俺の意識はなくなった。