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妖怪駅舎の駅長さん〜幕間劇〜  作者: 鬼怒川まとい
幕間劇
6/6

〜秋の風〜



お昼を少し過ぎた時間。

わたし、川島湯乃は絶賛お仕事中。

サッ・・・サッ・・・サッ・・・と

枯葉を箒で掃く音が駅前に響きます。

景観を保つのも駅長の務めなのです。

赤や黄色の美しさを見せていた紅葉たちは

茶色くなり、地面を覆っています。


「まるで地面の茶色を吸い込んだみたいですね」


『おや、詩人だね』


いずみさんのその言葉に

どうも。と答える。

芸術の秋です、

少し詩的な表現もいいかもしれないですね。


箒で掃く度に、枯葉は集まり

こんもりとした山になりました。

ちょうどたき火をするのに良いくらいの

ベストな大きさです。


「・・・焼き芋」


お昼は食べたのですが、この時期は

美味しい物が食べたくなる季節。

それに、この地域は山の幸が美味しい!

川魚に山菜などなど挙げればキリがありません。


『先程の詩人の発言とは思えないな』


「残念ですが、同一人物の発言です」


自分で言ってあれですが、誰が残念ですか?

残念じゃないですよ。

残念な女性じゃないですよ。

ここは、ちゃんとした事も言わないと

ただの食いしん坊になっちゃいますね。


「でも、食欲の秋です。

食欲は無いよりもあった方がいいですよ?」


食は身体を作ります。食事はちゃんと取りましょうね。

お姉さんとのお約束だよ♪


『確かに。

それにこの時期は美味しい物が多いからね。

いい季節さ』


賛同を得られました。


実りの秋、芸術の秋、食欲や運動の秋。

一つの季節にたくさんの秋。

なんでもない物事にすら意味を見出したくなる

誰もがみんな芸術家。

四季折々を感じる駅でわたしの出会う秋の風。


ピューという音を立てて風が吹く。

木の葉を揺らし、髪と肌を少し冷たい風が撫でる。

秋を感じられる空気感。

ほんのり肌寒く、それでいて、どこか温かみを感じられる季節の変わり目。

空を流れる雲、風に舞う木の葉・・・


「・・・あ」


『おや・・・』


地面にあった木の葉は風と戯れました。

まるでワルツを踊るように。


「落ち葉のワルツですか・・・」


『ふふっ。詩人だね』


自然も、人も、みんながみんな芸術家。

そんな小さな秋の出来事です。




本編が書き進まない中、幕間劇は進みます。

なんでもない日常は好きです。

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