プロローグ
はじめまして。
初投稿作品です。
拙い文章ではありますが、少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです。
――――――何故この髪、この瞳、この顔、この身体なのだろう。
常にワカメのように張り付く、癖っ毛の髪。糸みたいに細い線目は、笑っていても恨めしそうに睨め付けていると勘違いされることが、日常茶飯事。
極太の眉毛に、厚ぼったい唇と団子っ鼻。不摂生のお手本にしたいくらいの体型は努力で変えようもなく、良いように例えてマシュマロの集合体だ。
自分を総合して表現すると"デブスな女版相撲取り"だろう。
可愛さの欠片もない。否、可愛いなどと誰が思えるだろうか?自分でも、そんな風に思ったこともないのに?
幼い頃はお世辞で言ってくれる人もいたけど、本心で一切思っていない事は引きつった笑みを見れば、明らかだった。
その表情を見る度に、何故か「そうだよね」と妙に冷静な部分の私が納得し頷く。この10人が見れば10人とも顔をしかめるほど醜い容姿と、17年間も付き合って来た私はどうやら受け入れつつあるようだ。
諦めの境地に到達した、とも言う。
ても、傷つかない訳ではない。
表では普通に笑っていても、裏では悲しみの涙を流していた。引きつった他人の歪んだ笑みは、私の心を軋ませ悲鳴を上げさせる。
違う!違うっ!!
見た目だけじゃなくて、ちゃんと、私自身を見て!!!
そう何度も心が叫ぶにつれ、精神は疲弊しズタズタのボロボロになって。
ある日、ふと思った。
この先の人生、私は独りきりで生きて行けるのだろうか?と。
唯一、無条件で惜しみのない愛情をたっぷり注いでくれている両親が居なくなれば、こんな容姿の私だ。
恋愛的な意味では勿論のこと、友人として受け入れて親愛の情すら向けてくれる人なんて、皆無だろう。
耐えられるだろうか?
独りきりの人生に、淋しさに、辛さに、愛を欲する飢餓感に。
それらを、脳裏に想像しようとして―――――。
私は、恐怖で身体の芯から凍えた。
耐えられない、と心が頭で考えるよりも先に孤独の未来を拒絶したのだ。
やっぱり、どんなに表面上は平気な振りをしていても。諦めの境地で、この醜い容姿に生まれた事を受け入れたと呟いてみても。多分、心の何処かでこの事実を認められない自分が居たのだろう。
それを自覚してしまったが、最後。
お腹の底から、怒涛のように今まで溜め込んできたあらゆる感情の火山が、噴火した。
未来への不安、恐怖、執着。
他人への嫉妬、憤怒、羞恥。
自身に対してへの嫌悪、不満、枯渇。
異性に対してへの期待、欲求、諦観。
私の求める幸福など、訪れよう筈がない。それに。
「このまま希望のない一生を過ごすくらいなら、いっそのことっ………!」
衝動が不安定だった心の天秤を傾け、最悪の選択を実行しようとした、次の瞬間――――――。
「惜しいな。自ら命を投げ出したいほど、その身体でいることが辛いのなら。君の魂、俺にくれないか?」
「―――――………えっ?」
突如、頭に直接響いたテノールの声。
まるで旧知の間柄に話しかけるような、親しげな口調で問いかけられた刹那の事だった。
すわ、自分の空耳か幻聴かと疑問に思う間もなく、急激な睡魔が襲ってくる。
ふらり。
力の抜けた身体が傾いで、丁度ベッドの上へ座っていた私はその場に倒れ伏す。布団の柔らかい感触を感じつつ、何が起こっているのかも理解できぬまま。
唐突に、私の意識がブラックアウトしたのだった。
読んでいただき有り難うございます!
更新は不定期ですので、気長にお待ちください。




