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26話

シャワー浴び終えた俺は、そっとバスルームからそっと居間の様子を伺う。

そこには、楽しそうに会話するカレンとタジマがいた。

タジマはまだ帰ってなかったのか、カレンと話しているみたいだがどういう状況なんだ?この場合、俺はどんな態度で出ていけば自然なんだろう…。

まずい…考えていたらなんだが緊張してきた。お、落ち着け!

過剰に反応しなければ、別に何を言っても問題ないはず。とにかく考えすぎるのはよくない。自然な感じで、よし行くぞ。


「なんだ、またいたのかタジマ。」

「あ、すいません。長居をしてしまって。」

「別に謝らなくてもいいさ。…カレンと何を話してたんだ?」

「それは…。」

「ダメよ、タジマッち。そんなに簡単に話しちゃ。め。」

「女同士の秘密ってヤツか?」

「何?もしかして気になっちゃってる?意識しちゃってる?」


何を話していたか少し気になるが、ここは問いただすより流したほうがいいだろう。


「まあ、いいさ。…そう言えばヒラガはまだ戻ってないのか?ロープと軍手を買いに行くと言っていたが、アイツどこまで行ったんだか。」

「おいおいマジかよこの男!ここはつっこむところだろ?まあ、いいか。」

「いいんですか?」

「おうよ、タジマッち。女は寛容が大事だからね。それで、ヒラガ君だけど、さっきメール来て、駅前のドンキでロープ見つけたから戻るって連絡があったよ。」

「マジで買いに行ったのかロープ…。アイツの恐ろしいところはやると言ったら、実行するあの謎の行動力というか意識というか。」

「それはあるね。ヒラガ君は一途?というか思い込んだら一直線みたいな?そう言えば、小学生の時も、私がテレビで見た外国のお菓子が食べたいって言ったら、買いに出かけたことがあったけ?自転車で。」

「アイツ、そんなことしていたのか…流石に外国まで行ってないよな?」

「5日後に空港で保護されたって聞いたよ。なんでも貨物室に密航しようとしたとか…すごい、抵抗したらしいんだけど、ヒラガ君のお父さんがお菓子を輸入するって言ったら渋々納得したみたい。」

「みたいって…そんな薄情な。」

「私もヒラガさんのことはあまり知りませんが、その…酷いと思います。」

「そんな、タ、タジマッちまで!ち、違うよ、私別にヒラガ君に買って来いなんて言ってないからね!?ただ、食べたいなあって言っただけで。それにちゃんと謝ったよ。ごめんなさいって。」

「だってさ?どう思うタジマ。」

「謝れば済むだなんて、そんな…い、いえ何でもないです。」

「ちょっと!なにこれ?私が悪者じゃない!ひどいよ!もっと優しくして!カレンちゃんはハードプレイはNGなのです。」

「ただいまー。」


俺たちがカレンをいじって遊んでいたところ、ヒラガののんきな声が響いた。


「いやー探しちゃったよ。コンビニに軍手はあったんだけど、ロープはなくてさ。駅前のドンキまで行っちゃったよ。いやーまいったまいった。」

「まいったじゃないよ、ヒラガ君!遅いよ。ヒラガ君がいないから私二人から辱めを受けていたんだから!」

「僕がいないうちに何があったんだ!?そもそも、スドウが知らない子と一緒に泡プレイをしていたのはどうなったんだ?くそ、彼女がいるくせにそんな素敵なデリバリーを頼みやがって!」

「そうだ、そうだ!メノウ君が悪い。言ってやれヒラガ君!」

「ソープ嬢のデリバリーなんて、俺は頼んでいない。タジマはタダのバイト先の同僚だ…って、おいヒラガ。なにロープと軍手を取り出しているんだ?お、おい、ウソだろ?やる気じゃないよな?ただの脅しだよな、そうだろ?」

「バイト先の同僚とシャワーを浴びて、一体ナニをする気だったんだ?くそ、僕がすぐ隣の部屋にいるにもかかわらず。」

「おい待て、その言い方じゃ俺とお前が不適切な関係みたいだろ。お、おいカレン、この馬鹿に何があったが説明してやれ。」

「いやー、ここは見送ったほうがいいかなって、私的に話題が変わっておいしいかなって?」


カレンはそう言ってくそ、さっきいじったことを根に持ってやがるな。なんて小さな女だ。タジマは…ダメだ。ヒラガが出てきてから何も言えずにおろおろしているだけだ。タジマは当てにできない。

やるしか…ないのか。


「くそ、こうなったらしょうがない…来いよヒラガ!ロープなんて捨ててかかってこい。」

「スドウなんてこわくねぇ、野郎ぶっ殺してやる!


そう言うと俺とヒラガは、勢いよく組み合い互い…なんかよくわからないまま、とりあえず押しておけみたいなよくわからない戦いを始める。


「な、何が起こっているんですか?カレンさん!」

「大惨事な対戦だ。とてもハードな…後ろを取られたら、一気にやられちゃう?みたいな。いやん、信じて送り出した彼氏が、ハードゲイにプロレスにドハマリして、アヘ顔Wジャーマンスープレックスをかましたビデオレターを送ってくるなんて!」

「よくわかりませんが、その頭は大丈夫ですか!?カレンさん!!!」


俺とヒラガの壮絶な戦いを見て、カレンは笑い、タジマをどうしたらいいのかわからずの狼狽えていた。

俺はヒラガとよくわからない戦いを繰り広げながら、話が俺とタジマの関係から遠ざかっていることに内心胸をなでおろすのであった。


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