表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/29

21話

カレンに呼び出された俺は、待ち合わせの喫茶店に入る決心がつかず。店の周りをウロウロしていた。

こんな悪あがきをしても、意味がないことは分かっている。

例え、今日会うことを断ったとしても、いつかは顏合わさなければいけない時が来る。

いつまでも逃げ続けることはできない。そんなことは分かっている。だけど


(そんなに簡単に割り切れるかよ)


カレンに会うと決めたときから胃のあたりがきりきりと痛む。気のせいか吐き気までしてくる。

理性的に考えればストレス性の胃痛ってやつか?どうやら、浮気した直後に平気な顔して彼女に会えるほど、俺の神経は図太くないようだ。

なんて勝手な罪悪感抱いているのだろう。こんなことならタジマと寝なければよかったのだ。だけど、


(アイツが悪いんだ。)


タジマの言動にどうしようもなく苛立ってしまった。傷つけてたまらなくなったから、我慢できなかった。

彼女と別れなくてもいいが、優しくして欲しいだなんて。

それじゃ。


(誰でもいいってことだろ。)


必要とされていると思った。頼りにされていると思った。

俺だからこそ、タジマはつらい状況を打ち明けてくれているのだと。

俺と同じようにつらい状況を誰にもせず苦しんでいるのかと思ったのに、


(アイツは違ったんだ。)


タジマは俺とは違う。ただ同情してほしかっただけだ。つらいんだね。分かるよみたいな安っぽい言葉が欲しかっただけなんだ。都合のいい逃げ場所が欲しかったんだ。本気じゃなかったんだ。俺じゃなくてもよかったんだ。誰でもよかったんだ。

彼女カレンと別れてほしいって言ってくれれば、俺だってあんなことしなかったのに。

自分タジマだけを選んでほしいと言ってくれれば。俺だって…。


(なんだよそれ、それじゃまるで、俺がタジマのことを…。)


自らの頭によぎった考えを、あわてて振り払うとスマホを取り出す。

いつまでウジウジと考えてもしょうがない。店に入れないなら、相手に来てもらえばいいだけだろ。

スマホを操作し、カレンにメッセージを送る。

急な予定が入ったから、行けないと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ