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魔法使い登場

妖精→精霊に変更

文章が詰まってて読みずらかったためスペースをあけるなど訂正しました。


『………そうちゃん?』


リンはいつも腕の中にある温もりが無いことで目が醒めた。瞼を開くと薄暗く、見慣れないコートが体に巻き付いていた。キョロキョロと見回すも弟はおらず、リンは不安になった。


『そうちゃん?……ここどこ?』


いつも抱きしめ返してくれる大事な弟がいない。リンは寂しくて目が潤んできた。


『…そうちゃん……そう…ちゃんどこ?…』


ポロポロと涙がこぼれ落ちると、目の前にキラキラと光る精霊が現れた。精霊は心配そうにリンの周りをふわふわと浮いて、パクパクと口を動かしているが声は聞こえずリンは首をかしげた。バタンとクローゼットの扉が開くと、自分より大きなタオルを抱えた精霊が飛んで来た勢いのままリンの顔にタオルごと追突してきた。


『ぷっ!!』


顔中がタオルに覆われ息苦しくと思うと、人魚のような精霊が慌ててタオルを剥がし、リンの目元を優しく拭いてあげた。慈愛のこもった優しい眼差しでリンを見ているが、人魚の尾びれはリンにタオルを押し付けた精霊にビンタをしていた。リンがポカンと見ていると、赤い髪を揺らした男っぽい精霊は困ったような表情をしながら、優しくリンの頭を撫でた。


『……よるにてつだってくれたみんなだよね?』


夜中に浴室の掃除を手伝い、リンの食事を用意してくれた精霊達を見ていると昨日の事を思い出してきた。


(にゃんにゃんとやくそく、そうちゃんまつ、そうじする、あのおとなはこわくない?たたかない?にげちゃった、おこってる?)


グルグルと考えていると心配そうな精霊達が顔を覗き混んできた。


『タオルありがと、そうじもてつだってくれてありがと』


リンのお礼に、精霊達は嬉しそうに微笑んだ。穏やかな空気の中、く~と小さな音がなった。リンは何の音かな~とキョロキョロすると、自分のお腹から同じ音がなり慌ててお腹をおさえた。


『…おなかすいた』


すると、クローゼットの扉から葉っぱのワンピースを着た精霊が顔を出した。目が合うと、フワリと浮きながら近いてきた。精霊は自分の体と同じ大きさのりんごを持っており、リンの前に来ると笑顔で差し出してきた。


『りんご?たべていいの?』


精霊はニコニコしながらリンの口元に近づけた。かじると、甘酸っぱい味が口いっぱいに広がり、リンは夢中で食べた。リンは小さな口で一生懸命に食べた。りんご一つ食べきる頃には、リンのお腹はパンパンになり苦しいくらいだった。


『ごちそうさまです、りんごありがと』


精霊がパチンと指を鳴らすと、残っていたりんごの芯は無くなり、リンは驚いた。大きく目を見開くリンが可愛くて、精霊達はニコニコしながらリンの頭を撫でた。








リンが精霊達と穏やかに過ごしているころ、二階の部屋で怪しげな緑の液体を入れた試験管を揺らしていた青年は、家の中を動き回る精霊の魔力を感じていた。

青年の名前はアルロンド。両親は魔法使いであり、王国の魔法棟に在籍している。遺伝のためか産まれたときから巨大な魔力を体に持ち、魔法の才能に溢れ、魔法学園を飛び級し、若くして魔法棟に在籍している20歳である。太陽の光を浴びて輝く金髪、悩ましげに伏せた長い睫毛の下には紫色の瞳があり、伸長は190cmと高いが顔の造りは母親譲りの美貌であり女顔であった。顔だけ見れば女神のような美しさだが、寝癖だらけのボサボサの髪を無造作に束ねて肩から下ろし、シワだらけのヨレヨレなワイシャツに、色々なシミのついた白衣を着ている姿は残念なものだった。アルロンドは、魔法の才能があり努力もした。様々な攻撃魔法を使い、回復魔法は得意ではないが出来ないわけてはなかった。ただ、生活魔法だけは壊滅的だった。生活魔法は実際に経験してから身に付く魔法であっが、アルロンドが掃除をするとさらに散らかり、最悪家具まで壊れる。食器を洗うと全て割れ、両手が血だらけとなる。食事を作ろうとすると包丁が飛び、火を付けると必ず火事になる。洗濯をすれば服は細切れとなり2度と着れなくなる。

家事をすると必ず怪我をして、家が半壊するため家族はアルロンドが家事をすることを禁止した。そのため家事も出来なければ、生活魔法が身に付かず、生活能力ゼロのアルロンドが完成した。


試験管を揺らしながらアルロンドは家の中にいる精霊たちの魔力を追っていた。


「んー、今日は精霊が多いな~。またかくれんぼして遊んでいるのかな?」


ここは街から離れた巨大な森の中、精霊が多く住み、精霊に認められないと迷わされ入ることすら出来ない精霊の森。中心にある世界樹と森の管理・保護のため、精霊に認められた者が住む家であり、精霊たちはいつも好き勝手に出入りして遊んでいる。研究室と寝室を兼ねたこの部屋には勝手に入らないように約束しているが、他は比較的自由にさせていた。いつもより多いが、暴れているわけではない様子に安堵する。


「何かあったら気がつくし、ほっとこう」


アルロンドは天才だが、ぼんやりしていることが多く、忘れっぽい。研究に集中していると食事も忘れてしまう。部屋が汚くなったり、お腹が空きすぎて倒れそうになると召喚術を使い、家事を代行させていた。昨日の召喚で現れたリンの事も精獣界に帰ったと思い込んで忘れていた。アルロンドがリンの気配に気が付かないのは、リンが暴力を振るう両親から逃げ隠れるため付けた力が、こちらの世界でのスキル隠密がMaxであり、精霊たちもリンが隠れたがっていると思い力をかしていたからだ。そのため、しばらくの間リンが夜な夜な掃除をして、それ以外はクローゼットに隠れるというかくれんぼのような生活が始まったのだ。


アルロンドは魔法と研究以外はダメ人間です。

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