表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

猫でもお風呂は好き

今回は少し短いです。


結局リンは、熱を出した日から今までの疲労のせいか起き上がれず、2日間ベッドで過ごした。毎日ヨハンが、魔法でシャワーを浴びたようにスッキリとさせてくれたが、気分転換に入浴を進められて、リンは尻尾を揺らしながら浴室に向かって歩いた。ヨハンはタオルを持って後に続いた。アルロンドは邪魔になるからと自室に閉じ込められていた。


『あわあわー』


リンが浴室の扉を開けると、猫足の浴槽にピンク色のフワフワな泡がいっぱいに入っていた。


「アルロンド様が頂き物で未使用な入浴剤があったので使いました。薔薇の香りだそうです。」


鼻をひくつかせるリンに微笑みながらボロボロの服を脱がした。怪我の痕やあばら骨の浮かぶ細い体にヨハンは目を細めたが、リンと目が合うと微笑んだ。たくさんの泡で優しく洗い、湯船に入れた。リンは泡をすくって匂いをかぐと嗅いだことのない花の香りがした。初めての匂いだったが、とてもいい匂いだった。泡に息を吹きかけるとシャボン玉が舞い、回りにいた妖精が中に入ってフワフワ浮いていた。思いきって潜ってみると、水の精霊が泳いでいて、リンに手を振っていた。


お風呂が終わる頃には、全身泡だらけになったのでヨハンが温かいお湯で流し、タオルで拭いてくれた。風の精霊と火の精霊が協力して、暖かい風で髪と耳と尻尾を乾かしてくれた。


『ふーちゃん、アニキありがと』


リンのお礼に風の精霊は手を振って喜び、火の精霊はニヤリと笑った。大きなタオルで体を覆い、ヨハンに抱っこされた状態でアルロンドの部屋に運ばれた。アルロンドは白衣を着て、両手に持った薬草を見比べていた。


「アルロンド様、リン様の入浴が終わりました。」


ヨハンの声に薬草をテーブルに置くと振り向き、ヨハンからリンを受け取るとフワリと薔薇の良い香りがした。


「リンお帰り。薔薇のいい匂いがするね。気持ちよかったかい?」


『じーじがあらってくれたの。あわあわで、はじめてのいいにおいがした。もぐったら がいておもしろかった』


リンは手をパタパタさせながら一生懸命に話した。


「アルロンド様、リン様が着れる洋服がありません。」


「あー、さすがに子供服はないから用意しないとね。」


「これから王都に行かれますか?食器なども全てサイズが合いませんから。」


「ちょうど明日が魔法棟への報告の日だから、実家に泊まりつつ買いそろえようか。」


「それがよろしいかと。」


ヨハンと話がまとまると、アルロンドは抱き上げたリンをみつめた。


「リン、これから僕の家族が住む王都に行って、リンの服とかを買いに行こうね。」


『…おーと?…かぞく?』


「僕の父さんと兄さん、がいるんだ。」


『……たたかない?』


リンの耳がぺたりとして、タオルに顔を押し付けるようにして呟いた。アルロンドは優しい表情でリンを見て、頭を撫でた。


「たくさんの人に会うのは怖いかな?みんな優しい人達だし、僕もヨハンもいるから大丈夫だよ。」


『……いっしょ?…』


「うん、一緒だよ。」


『…あるしゃんと、じーじいっしょならいいよ…』


「ありがとう、何かあったらすぐに僕かヨハンに言ってね。」


『は~い』


「アルロンド様、今着る服もありません。」


ヨハンの言葉にアルロンドは少し考えた。


「あっ、リン猫になれるかい?」


『にゃんにゃん?』


「たしか、初めて会ったとき猫になって僕から逃げたよね?あの時はどうやったか覚えている?」


リンはコクリと頷いた。


『にゃんにゃんになりたいっておもうの?』


リンが言うと、抱き上げていた姿がポンッと消えたことでアルロンドは焦った。


「えっ‼リンどこ?」


アルロンドの声に腕の中のタオルがモゾモゾと動き、真っ黒な子猫が現れた。オレンジ色のキラキラした目がアルロンドを見上げて、ひと鳴きした。


「リン?可愛いね~。けど、ケットシーというより…「猫ですね。」そうだね。」


ケットシーになると思っていた二人は、片手で持てるサイズの子猫になった事に驚いた。二人の反応にリンは、にーと小さく鳴いて首を傾げた。


「ケットシーの魔力と、魔力のない人間の魂が混ざったせいかな?完全なケットシーにはならなかったかもね……けど、可愛いからいいよ。」


「えぇ、とても可愛らしいですよリン様。アルロンド様こちらを…」


ヨハンが差し出したのは、リンの瞳と同じ色のリボンだった。


「髪を結ぼうと思い、準備していました。


リボンを少しゆとりを持って首に結ぶと、真っ黒体にオレンジ色が栄えて似合っていた。


「リン似合うよ、可愛い!」


アルロンドは黒猫のリンに頬を擦り寄せた。子猫特有の柔らかい毛が気持ち良く、アルロンドがずっとすりすりしていると、ヨハンがそっとリンを取り上げて、懐に抱き寄せた。


「アルロンド様、外出の準備をしてください。私はリン様の毛並みを整えます。」


「もう少し触っていたいな~なんて?」


「リン様に似合う服を買いに行く時間が無くなりますよ。」


「……はい…」


溜め息をついて、アルロンドは白衣を脱いで、着替えを始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ