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目覚めの……。



「先輩?先輩ってば......早く起きないと......キス、しちゃいますよ?」


「.........何やってるんですか?楓さん。」


「いや、ちょっとドキドキさせてあげようかと思ってね。」


「まぁ、確かに凄くドキドキはしましたけど。」


姉妹だからか声質が似てて声真似すると本人と遜色ないレベルに上手いんだよな、楓さん。


「ところで、彼氏くん。」


「なんです?とりあえず馬乗りになってるのどいてくれませんか?」


別に重くはないが、位置的に気まづくて仕方ない。


「昨日は私があれだけお膳立てしてあげたんだ。姫と何処までしたんだい?」


「.........。」


「だんまり...か。はぁ、仕方ない。彼氏くん、私の目を見て。」


「ん?」


「姫と何かしたかい?」


「.........。」


「何かはしたんだね。じゃあ何をしたのかな?例えば、キス......おぉ、そうか、キスはしたんだねっ!」


エスパーかっ?!


「......はぁ、まぁ。」


「ほぉ、やっぱりしたのか。」


「......は?」


「いや、適当に言ったんだけど、まさか本当にしてるとはね、嬉しいよ。」


......カマかけたのかよ...。


「先輩、起きましたか......って、姉さん何やってるんですかっ?!」


「ん、姫と彼氏くんの昨晩のキスについてね。」


「「えっ?!」」


そしてすぐさま顔を真っ赤にして俺をキッと睨む蓮姫。


俺だって話したくて話したんじゃないのだから許して欲しい。


「と、とにかく先輩の上から早く降りてくださいっ!」


「だって、彼氏くん、目覚めのキスが欲しいって言うから。」


「 は?」


口から出まかせを吐いた楓さんは俺の方を見るや任せてと言わんばかりにウィンクをする。


「何でそれを姉さんがやろうとしてるんですか?」


「だって私は姫のお姉ちゃんだし、遺伝子的に?近いかと思って......、」


割とガチなトーンの蓮姫に楓さんは目を泳がせながら言い訳をするが、言ってる意味が全くわからない。


そもそも俺は目覚めのキスを要求してないのだから、このやり取りに何の意味があるのかすら分からない。


「でも、そうだよね、いくら姉妹でも代わりにはなれない。うんっ!」


何やら自己解決した様子の楓さんはベッドに寝ている俺の上から床へと飛び降りた。


「じゃあ、目覚めのキスは姫がしてあげてねっ!」


扉の方へタッタッタッと駆けて蓮姫の肩をポンッと叩くと楓さんは部屋を出ていった。


去り際に俺だけに見えるようにもう一度ウィンク一つを残して。


「...............。」


「...............。」


あの人は俺達のようなピュアなカップルを気まづい空気にさせる天才じゃないだろうか。


「......先輩、」


「ん?」


「一応聞きますけど、さっき姉さんが言っていた事、本当ですか?」


「いや、全部嘘だ。」


「......そうですか。」


「あ、でも、」


「なんです?」


「......一応しとくか?」


「もう朝ごはん出来てますよ。」


見事なまでのスルーを決め込まれ、俺は素直に蓮姫の後を追って階段を降りるのだった。


一階へ降りると、既に椅子に腰掛けた楓さんがキラキラとかがやいた目で俺の方を見つめてくる。


その目はまるでこう言っているようだった。


私のナイスアシストはどうだった?キスできた?


...と。


「お、朝から凄い美味しそうだな。」


「手早に作ったのでそんな事ないですよ。」


「.........。」


「じゃあ、食べるか。いただきます。」


「はい、いただきます。」


「............キスはっ?!」


楓さんのその問に答える者はおらず、こんな調子で彼女の家への初めてのお泊まりは終わっていくのだった。


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