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3話



大きさからは想像できないほどの速さで振るわれた腕を横に跳んでかわす。ゴウという風切音と抉られた土がクマの攻撃の威力を表している。当たれば、軽自動車に80キロではねられてもほぼ無傷な俺でも、かなりのダメージを負うだろう。しかしじいちゃんに鍛えられたおかげなんとかかわすことはできる。動物なのでフェイントもないだろうし何度か攻めさして隙をうかがい、攻撃のチャンスを待つ。3度目の薙ぎ払いをかわし、がら空き脇腹を鉄板入りのブーツで思い切り蹴り上げた。


「!?」


固い。固くて重い。とても生物を蹴ったと思えない感触と脚に受けた衝撃に、一瞬硬直してしまう。


「おげっ」


そんな隙を見逃してくれるわけもなく裏拳をもらってしまった。息ができない。もの凄く痛い。特訓で10メートルダイブ(ヒモなしバンジーTO地面)をした時以上衝撃だ。しかしまだ立てるし戦える。クマの方もまさか小さな獲物が立ち上がれるとは思わなかったのだろう、こちらを苛立たしそうに睨んでいるので俺も睨み返してやった。素手による攻撃ではダメージを与えられないだろう。ダメージを与えてもクマが倒れる前にこちらが倒れてしまう。腕力には自信があるがスタミナは人並みだ。なので武器を使うことにする。腰に提げた特注の山刀。武器を使わなければならい敵、圧倒的不利、生命の危機という状況にひどく興奮する。生まれてからずっと求めていたものだ。化物クマとの出会いに感謝である。


オオカミがつけた左脇腹の傷口に山刀を叩き込む。60センチの刀身を力任せに差し込む確実に内臓を傷つけたであろう防御を無視しての攻撃にさすがのクマも悲鳴を上げる。しかし俺の支払った代償も大きい。薙ぎ払いを受けた右腕は鋭い爪に切り裂かれ、折れてしまった。痛い。体中が痛く、立っているのもつらいが今が勝機である。俺に残された体力もあとわずかだが、それはクマも同じこと。ダメージと出血で動きの鈍ったクマに突進し、オオカミが最期に遺した首筋の傷を切り裂いた。力なく倒れ伏すクマの最期を見届けると、俺の意識も薄れていった。意識を失う直前、一瞬だけふわっと体中を快感が駆け抜けた・・・



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