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1話

1話




「なんじゃこりゃ!?」


毎年夏休みに1~2週間程、母方のじいちゃんが所有する山に籠もって狩りをする。本来決められた期間以外での狩猟は禁止されているのだが、じいちゃん所有の山であることと、猟銃を使わないので個人的には合法だと考えている。

自分で仕留めた獲物の美味さと日頃のストレスからの解放で、俺のお楽しみベスト10に入るイベントだ。しかし今年は大学の卒業研究と院試のため来ることができずかなりフラストレーションが溜まっていた。ようやく面倒臭い雑事が片付いたのは10月も半ば。山に入るには適した季節とはいえない。そこまで標高があるわけではないが、朝晩の冷え込み厳しく、またクマが冬眠に備え活発に活動するからだ。じいちゃんもばあちゃんも山で一人風邪でもひいたらどうするんだと、反対した。しかし来年は今年以上に忙しくなることが予想され、最悪来れない可能性もあるため、反対を押し切り、むしろ普段より長く山籠もりをすることに決めた。説得には多少手こずったが、無理だけはしないようにとなんとか許してもらえた。しかし俺のことを心配したためか、餞別にと用意してくれた荷物の量には驚かされた。漫画とかに出てくるようなバカみたいにどでかいバック(特注)、米40キロ、塩20キロをはじめとした各種食材調味料、毛布、下着、スコップ、調理器具、懐中電灯などなどで総重量は余裕で100キロを超えている。常人には運べない荷物だ。これに加えて自分で用意した荷物が水とサバイバルキッド、医療キッドなどで約30キロ。特殊部隊の訓練でも使われない量の荷物を背負っての山籠もりとなる。正直少し荷物を減らしたいところではあったが、じいちゃんばあちゃんの愛の重さだと思い全てを持って行くこととした。


山小屋を目指し道なき道をひたすらに進んで行くと、運よく一頭のイノシシを発見した。俺の経験で狩りにおいて一番難しいのが獲物を発見することなのだが、入山1時間での発見はかなりラッキーといえるだろう。イノシシは俺の風上で山芋を掘っているらしくこちらに全く気付いていない。すかさず落ちていた石を投げつけた。威力、速度には自信があるが、コントロールいまいち。そんな投石は、今回は運よく前脚に当たってくれた。おそらく折れたのだろうその場に蹲ったイノシシに蝶野ばりのケンカキックを見舞い仕留めた。


肉の味を落とさないためには素早く解体することが重要である。近くに俺のトレーニング跡地(素手による伐採)があるのでそこに持って行くことにした。ロープで脚を縛り木に吊るし、血抜きとワタ抜き(内臓)を終え、熱を抜くため沢に沈めようとバックを背負ったところに、ツキノワグマが現れた。血の匂いにでも惹かれたのだろう。かわいそうなことである。ガーガー吠えて威嚇するクマを速攻で仕留める。ホクホクである。この季節のクマは冬眠に備えて脂がのっておりかなり美味い。しかし元来臆病な性格であるためなかなか見つけることができないのだが、あちらの方から来てくれた。ありがとうございます。これはこの夏頑張った俺への山からのご褒美と思えるほどだ。クマの解体もさっさとしたいのでイノシシと同じようにロープで縛り沢へ向かったのだがいきなり地面が消えた。思わず目をつぶって「えっ!?」って言ってしまった。階段を踏み外した感覚だ。

そして目をあけると・・・・・


「なんじゃこりゃ!?」



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