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黄泉霊録  作者: ツアンサ
黄泉夜家
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黄泉夜家

更新は一週間ペースです。

肩に撃ち込まれた銃弾を抜くべく手を突っ込んだ霊夜。

傷が広がり霊夜の筋肉と骨が見えてくる。筋肉が伸縮運動を行う様子が良く見える。そしてその真ん中に鈍く輝き鉛の塊を掴み抜く。

「ふぅ……肉が丸見えだな」


さも当然の様に反対側の肩の銃弾を抜くべく再び突っ込んだ霊夜の手。


見た目は普通な美少年が肩の銃弾を抜く為に、肉が丸見えになる行為を普通に行う姿は十分怖かった。

ただし、彼らが普通の人間ならなのだが……。


「ぐっ!深く撃ち込みやがって……良し摘出終了だ」

最初に抜き取った銃弾と違い、残りの銃弾は深く体内に撃ち込まれていたのか一瞬、端整な顔を歪めるが、直ぐに戻り銃弾を摘出していた。


「さて……一先ずは冥土の屋敷に向かうか」


銃弾を床に投げ捨て輪廻の屋敷に向かうべく廃ビルを後にしていく霊夜。


「えぇ帰りましょうか霊夜」

「あぁ、輪廻の奴が霊夜に会いたい会いたいって煩くてな」


そんな霊夜に続いて廃ビルを後にしていく修羅と畜生。


だが、お忘れだろうか。修羅と畜生はともかく今の霊夜の姿を……。


「救急車ーっ!!血濡れな少年が歩いていて」


一般人には両肩の肉が丸見え、両腕両足からの出血状態な少年が歩いていれば緊急事態だと当然思ってしまうだろう。


「はっ!!霊夜。ちょっと今の霊夜は人間なら救急車呼ばれる状態ですよ」

「あぁーっ!!何事もない様に霊夜が歩くから気付かなかったけど、人間から見たら霊夜、ヤバいじゃん!!」

今更ながらに霊夜の見た目のヤバさに気付き慌て始める修羅と畜生。そして遠方から聞こえてくる救急車のサイレン。


「んー救急車に運ばれたら面倒だな。じゃ、宜しく」

「了解したぜ、霊夜」

「任せときな、霊夜」


悪戯な笑みを修羅と畜生に向けて見せ、小さな舌をチロッと出し宜しくと霊夜に言われれば勝ちである。

じゃあな、先に屋敷で待ってるぜ。と言い残し、一気に駆け出していく霊夜。


「(ふっ…相変わらずチョロいな)」


走り去って行く霊夜が内心、黒い笑みを浮かばせていたのは内緒である。


「あの救急車の通報を受けたんですが、その血濡れな少年は何処に!?」

「肩の肉が見えたとの連絡だったんですが!!」


そして、霊夜の後ろ姿が完全に見えなくなった頃。到着した救急隊員の対処に追われる修羅と畜生だった。

「霊夜ーっ!!いや、零矢ですよ!!」

「そう黄泉夜霊夜じゃなくて、血濡れの比良坂霊夜って少年があっちの道に」


緊急隊員の対処に追われる二人は同じ事を思っていた。


((霊夜ー許さん))


「ほら、早く怪我人の所へ連れてって下さい!!」


「この屋敷に来んのも久しぶりだな。輪廻ー来たぜ」

修羅と畜生が対処に追われる頃、霊夜は輪廻の屋敷の表玄関に到着していた。


「霊夜ー久しぶり」


霊夜の呼ぶ声が聞こえたのか数秒もしないうちに、ダッダッダと駆ける足音と共に、輪廻が向かって来た。

ヒラヒラ手を振る霊夜に対し、同じように手を振り返していた輪廻だが霊夜の前に立つなり……呆れた表情を浮かばせた。


「霊夜……精神発狂の技解きなさいよ」


呆れた様子で、輪廻は霊夜の銃弾を撃ち込まれたであろう傷に触れた。


ドクドク流れる血に輪廻の手が染まって……


「流石に…冥土の選ばれし霊魂は騙されないか」


染まっていなかった。あれ程にドクドク流れ出ていた霊夜の血に触れたにも関わらず輪廻の手も屋敷の床も染まっていなかったのだ。


「当然でしょ。其より早く解きなさいよ」


誇らしげに言ってくる輪廻の姿に霊夜も納得したのか「はいはい」と精神発狂の技を解いた。


すると、霊夜の肩の傷が見る見る内に傷などなかったかの様に閉じられていく。肩の傷だけじゃなく両腕両足の傷もなかったかの様に閉じられていく。


ほんの数秒後には、無傷な霊夜が不敵に笑み立っていた。


「今宵は救急車が多いなと思っていたが成る程、霊夜の仕業だった訳か」


霊夜と輪廻が立ち話していた頃新たな声と共に凍霊が、奥から悠然と歩いて来た。


その凍霊の表情は何処か納得している様にも感じられた。


「よぅ、凍霊も久しぶりだな。あれ……どうした凍霊」


凍霊の姿が見え輪廻の時と同じ様に手を振る霊夜だが、何かを感じ取った。


あれ……俺の見間違いかな。凍霊の奴、怒ってるような……。


霊夜の背筋に冷たい汗が伝っていく。そんな凍霊と怒りを向けられる霊夜を見ていた輪廻は、何処か納得したのか。


「……霊夜、霊夜の事はグスッ、忘れ、グスッないから」


霊夜を見ながら嘘泣きしており、然り気無く霊夜から離れハンカチで涙を拭うフリ等している。


「……霊夜が怪我で消滅しちゃったんじゃないかって心配したんだからね!!」

「悪い悪かったって……っぐ!!……」


そう言い切ると同時に、見事な見事な踵落としが霊夜に決まった。


「ただいまーって霊夜!?」

「戻ったーあれ…床に霊夜が伸びてるーっ!!」


そして霊夜が床に倒れ伏すと同時に修羅と畜生が帰宅した。


「………ちっ霊魂には逃げられてしまったか。役立たずめ」

「……その様ですね。しかし自殺とは何故?」


夜風吹き抜ける廃ビルの一室。其処には、霊夜を取りに来た謎の者と控えの男がやって来ていた。


謎の者は既に血は乾いたであろう男の遺体に近付くなり、何かを唱えた。


瞬間、男の遺体は焼き尽くされた。突然にして一瞬で遺体は、炎に包まれ塵すら残らなかったのだ。


「貴様ら愚民共が行う。隠滅って事は楽しいものだな」

「ふふっ、愚民の行為を気に入って頂けて、遺体も報われますでしょうね」


控えの男は遺体が突然燃えた事に驚くでもなくクックッと冷たく笑い、謎の者も同感だ。と冷たく笑いながら闇夜の中に去って行くのだった。


(三つの霊魂。選ばれしその霊魂。黄泉、冥土、根国の選ばれし霊魂を全て喰らいし時に、その身は真の力を放ち人界は滅びるだろう……)

「必ずや喰らってやる」


去って行く車内の中で、不吉な言葉を紡ぐのだった

畜生「大変だったぜ救急隊員に対処するのは」


修羅「まぁ霊夜の悪戯好きな笑みを見れたのなら良いか」


凍霊「霊夜様ー目を目を覚まして!!」


霊夜「……………(次回も宜しく頼むぜ)」


舞台裏でした。

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