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黄泉霊録  作者: ツアンサ
黄泉夜家
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黄泉夜家

「なぁ、俺が怖いのか。教えてくれよ」


霊夜が拉致班と対面し修羅と畜生が廃ビルまで駆けていた頃。


「お帰りなさいませ、旦那様」


最高峰のセキュリティが施された超高級マンションの最上階。根国と書かれたネームプレートの家に警視総監である。根国霊矢は帰って来ていた。


「ただいま、美紗。凍霊は帰ってるか」


妻、美紗に帰宅の意を伝え直ぐに娘、凍霊の事を訪ねる。


「凍霊なら、既に帰って」

家にいますよ。と美紗が続ける必要はなくなった。


「……よう、遅かったな。あんたじゃ“人界の人間を黄泉夜に”関わらせないようにする事位しか出来ねぇからな」


伝える前に奥のリビングから顔を覗かせ、凍霊が話し掛けて来たからである。

「はははっ相変わらず厳しいな。……黄泉夜家の件、既に知っていたか」


最初は頬を掻きながら苦笑いしていた霊矢だが、黄泉夜の件を聞き一気に表情が真剣になる。


「当然だろ。根国の我に冥土の輪廻の馬鹿力に、そして……黄泉の霊夜が知らない訳がないだろ」


「其れもそうだな。“三死界の霊魂達”が知らぬ訳ないものな」


凍霊の淡々とした声に霊矢も、聞く必要すらなかったな。と思っていた。


「話を戻すぜ。役を終えた貴様も、うっすらとは感じているとは思うが奴が人界に来てしまったようだ」

「………そうだな。だから黄泉夜家は襲撃されたに違いないのだからな。其で、言いたいのは奴の事じゃないだろう凍霊」


室内に張り詰めた雰囲気が漂い始めていく。奴の人界への進行も問題だが、今の時点で一番の問題なのは……


「黄泉の霊夜から連絡が来ない事だ」


「黄泉は霊夜の監視死界で、黄泉から奴が人界に進行したなら霊夜から緊急の通信が来ないと変なんだよ」


そう一番の問題は、黄泉の監視を行う霊夜からの通信が来ない事なのだ。


霊夜は、この頃廃ビルで眠っているのだが霊夜が拉致された等知る筈がなかった。


「……確かにそうだな。霊夜君が知らせてくれない事には“死霊院”も行えないからな」


「あぁ死霊院さえ行えれば、選ばれし霊魂である我々も“霊魂覚醒”が出来るからな」


どちらにしろ霊魂覚醒が出来ない今の状況は非常に悪かった。何故なら

霊夜達、“選ばれし霊魂”が力を発動するには霊魂覚醒が必要不可欠なのだ。


「……もしや既に人魂の状態で負傷したのかも知れん」


「……っ!!霊矢。貴様、何を言っている」


霊矢の言った可能性。人魂状態で負傷したと言う最悪な可能性に凍霊は自然と口が荒くなる。


「……そんな筈がねぇよ!!そんな霊夜が」


一番考えたくなかった可能性。最初に浮かんで真っ先に否定した最悪な可能性。


人魂状態で負傷し、死ぬ様な事が有れば消滅する。


「凍霊……私も、この可能性は信じたくなかった。だが、霊夜君からの連絡がない以上、霊夜君は、もう」

目の前で深い悲しみに包まれ手を強く握り締め切れた皮膚から血が落ちていく娘の姿に、この先を言うのは辛い。だが言うしかないのだ。


「霊夜君は、消…」

「凍霊ーっ!!今、冥土の修羅と畜生から通信が来たんだけど、霊夜君は生きてるって!!多少の怪我はしてるけど無事に生きてる。消滅してない!!」


霊矢の告げようとした最悪な可能性は妻、美紗の電話しながらの大声に掻き消された。


「っ!!」


凍霊の中に安心感が広がっていく。霊夜は生きてる。消滅しないでちゃんと生きてる。その事実に歓喜し俯き身を震わせ小さく小さく呟いた。


「……霊夜のバカ」


そして時間は遡り、霊夜が殺した時の事を語った頃。


「お前、何を言っていやがる」


男の声が荒くなる。霊夜が語った事は事実に他ならないからだ。だが、だからと言って眠っていた筈の霊夜が事実を語った事に男は驚愕しそして霊夜のその冷静沈着な様子に恐怖した。


「黙れぇぇえええ!!」

「……っ!!」


恐怖に支配され男は青ざめ霊夜に震える手で迷わず銃を撃った。


漆黒のズボンの繊維が弾け、霊夜の白くしなやかな足から鮮血が噴き上がる。


肉を貫かれる痛みに顔を歪ませる霊夜だが、直ぐに不敵な表情を浮かばせる。


「俺が怖いのか。鎖で拘束された俺が怖いのか。お前は銃という人殺しの武器を持ち今、俺の右足を見事に撃ち抜いたのにか」


右足からは血がドクドク流れ出ていっているのに、痛みに悶える訳でも悲鳴を上げる訳でも助けを求めるでもなく、淡々と怖いのかと聞いてくる霊夜に男は益々恐怖し銃を撃つ。


目の前にいる霊夜と言う少年から恐怖を終わらせる為に撃つ、ひたすら撃つ。


震える手で撃つ銃弾は床を撃ち抜き霊夜の肩を撃ち抜き壁を撃ち抜き……まともに銃を男は撃ててなかった。既に霊夜の方を見て撃つのは不可能な程に、恐怖が侵食していたのだ。


「……流石に痛いな。右腕、左腕に二発。右足左足に二発。両肩に一発ずつの計、十発その内の肩へのに二発は貫通せずに残った訳だ」


銃弾を十発もその身に撃たれたにも関わらず、少しも痛そうな様子を見せない霊夜。そして


「十発も、この俺、黄泉夜霊夜に撃ったてのに俺が怖いのか。なぁ教えてくれよ」


俺が怖いのか。俺が怖いのか。なぁ教えてくれよ。教えてくれよ……


男の頭の中に血濡れな霊夜の怖いのか。教えてくれよ。霊夜の声が何度もエコーする。


「うっわぁぁああああ!!」

そして、恐怖に耐えられなくなった男は自分の頭に銃口を向け引き金を引いた。


最後の銃弾は、男の顔を綺麗に撃ち抜き肉片と血を床に散らした。


「霊夜、大丈夫か!!怪我してるじゃないか」

「今直ぐに、冥土の屋敷で手当てしなければ!!」


男が恐怖に耐えられず自殺し数秒後に、修羅と畜生が霊夜の拘束された廃ビルの一室にやって来た。


酷く慌てた様子の二人に霊夜は、軽く笑むと鎖を外された手を肩に残った銃弾を抜くべく突っ込んだ。

「霊夜ーっ!?」

「傷が霊夜、傷が開いてる!?」


そんな霊夜の行動に絶叫する修羅と畜生。


そんな二人を見て霊夜は不敵に笑み、あの言葉を言った。


「……なぁ、俺が怖いのか。教えてくれよ?」


修羅「……あんなの言われたら発狂するよな」


畜生「……霊夜だからな」

凍霊「其より、遂に我の登場じゃ!!根国の選ばれし霊魂、根国凍霊!!」


霊夜「凍霊、其に畜生も久しぶりだな」


凍霊「霊夜様の精神への技は凄まじいですわね」


霊夜「まぁな。次回は遂に冥土の屋敷に選ばれし霊魂が集うぜ」


凍霊「霊夜様への読者様からの応援楽しみに待ってますわ!!」


舞台裏でした。


戦、霊矢「私達の紹介はなしー」



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