学園潜みし厄なる者を刈り尽くせ
風紀委員室。その室内ではウルフェンが三体の黄気が刈られたのを知り、不機嫌そうに生肉を噛み千切っていた。
「ちっ……校長の馬鹿が数名の同胞と共に刈られたみたいだな」
「……どうします、ウルフェン様」
「俺らが、選ばれし霊魂の誰かを殺して来ましょうか」
憎しみの表情を隠しもしないウルフェンに、同じ人狼達が自分達が殺すと申し出る。
「……馬鹿を言うな。黄泉夜霊夜は、私の術を破り同胞を三名も刈りし者だぞ」
その言葉に押し黙る人狼数名。ウルフェン様の術の強さは人狼達が一番知っている。
其を破った黄泉夜霊夜を、狙うのは博打過ぎる。
「狙うなら、霊夜を除いた二人の霊魂に絞るんだ。だが失敗は絶対に許されない」
押し黙る人狼達に、ウルフェンは選択を迫る。冥土輪廻を襲うか。根国凍霊を襲うか。
どちらの実力も力も不明だが、黄泉夜霊夜と同じ。選ばれし霊魂な以上、…楽に殺す等は不可能だろう。
失敗したら、俺らは死ぬ。
言葉の裏に含まれし失敗=死の重さに、ウルフェンも含め黙り込む……。
「……冥土輪廻を殺りましょう。ウルフェン様」
「……ほう、殺れる根拠でも有るのか」
暫し続くと思われていた沈黙は、一人の人狼の冥土輪廻を殺りましょう。に破られた。
そんな人狼の発言に、ウルフェンはまるで試すかの様な視線を向ける。
「……いえ、黄泉夜霊夜と同様に殺れる根拠は存在しません。ですが、遅かれ早かれ、気付かれるでしょう。どうせ気付かれるなら、死を覚悟で殺りましょう」
そうでしょう、ウルフェン様。
そう言い切った人狼の姿は、死を恐れて等はいなかった。
その表情を見たウルフェンは、分かっていたかの様に歪んだ笑みを人狼達に向け告げる。
「……くくっ、そうだな。我等は、所詮はイザナミ様の玩具。ならば玩具の悪足掻きを仕掛けてやろうじゃないかっ!!」
力強い宣言に人狼達は、目を獰猛に輝かせ喉を鳴らし遠吠えを発するのだった。
霊夜達の学園捜査に遂に終りが近付いていた。
「……えぇ、前校長から代わりまして、修羅が校長をさせて頂きます。以上です!!」
そう体育館で喋るは、霊夜に何かあったんじゃと学園に向かっていた修羅だった。
修羅の挨拶が終了するなり、解散し各自教室に戻って行く学園生徒達。
戻って行く生徒達の中には、ウルフェン達、人狼であり風紀委員も含まれていた。
「……しかし、本当に何か起きてましたねー」
「学園に到着するなり、霊夜からの通信が、校長として学園に入ってくれ。だもんな」
修羅だけが残った体育館に、特に驚くでもなく歩いて来る戦と、修羅校長かー何て言いながら近付いて来る畜生の二人がいた。
「……全く驚いたぜ。校長になれだの。教師二人を頼むぜ。何て報告が受信されんだからさ」
そう言いながらも、何処か嬉しそうな表情を二人に向ける修羅。
そんな修羅に、畜生と戦は、呆れとも何とも言えない表情で見詰めていた。
(……此は、霊夜の役に立てて嬉しいって顔だよな)(……そうですね。何か起きてるに違いない。何て言って何も起きてなかったら、只の馬鹿ですからね)
そんな風に、畜生と戦が思っているとも知らずに修羅は一人、鼻歌すら歌い始めるのだった。
「……おい、黄泉夜霊夜。てめぇ、銀髪とか生意気なんだよ」
「……そうだぜ。資料室の掃除はどうしたんだよ。霊夜君〜」
教室に戻る途中、霊夜は複数の風紀委員(人狼)に絡まれていた。
「……銀髪は生まれつきだし、資料室の掃除はとっくに終了してんだよ。お前ら退けよ」
霊夜を先に行かせないかの様に囲む風紀委員達に、強気の口調に変わり始める霊夜。
霊夜の視線の先では、人が多く気付かなかったのか。輪廻と凍霊が歩き去って行くのが見えた。
「嫌だね。黄泉夜霊夜、貴様は、この先に行かせては成らんと風紀委員長様である方から命じられているのだ」
風紀委員達の突然の行動。風紀委員長なる者の霊夜を行かすな。との突然な命令。
霊夜の頭の中に疑問と不信感が、膨れ上がっていく。
(……まるで俺に、戻られると都合が悪いみたいだ。俺を足止めでもするかの様な……っ!!コイツら、まさか)
霊夜の頭の中に浮かんだ疑問が刈られ一つの確信に変わる。
「……風紀委員?其がどうかしたのか」
黄界から人界に戻り、一先ず落ち着こうと、ピカピカにした資料室で、奈美の言った風紀委員だ。との言葉に疑問を抱いた霊夜が問う。
「風紀委員だよ。あの校長が突然、風紀委員を作ろう。って言い出したんだ」
その奈美の真剣な表情に、霊夜も、まさかと思い浮かべる。
「そう言った校長が、既に人狼に変わっていたのなら、風紀委員は人狼の根城」
そう思い至った矢先に、黄界で霊信器から頼んだ修羅の挨拶が始まったのだ。
「……お前らが、どうしても道を開けないってんなら……」
霊夜の銀の双眸が冷たく輝き口元がニヤリと笑った。
そんな霊夜に、直感的にヤバいと感じたのか。黄泉夜霊夜を捕らえろと命じようと口を開くが。
「痛い目見ても構わねぇよな!!」
「がっ!!ギャイン」
命じる寄りも早く霊夜の後方に立っていた風紀委員の足を、力強く踏み付け怯んだ瞬間には、霊夜の拳が顔面に直撃し殴り飛ばされていた。
「ギャイン!!」
「飛んで来るな!!ギャイン」
殴り飛ばされた風紀委員に巻き込まれる形で、後方の風紀委員達が重なる様に倒れ伏す。
「ちぃ!!こうなったら実力行使だ」
霊夜を囲む風紀委員達の姿が変わり、獰猛な人狼の姿を露にした。
ギロリと血走る目は霊夜を、睨み付け離さない。
「……掛かって来いよ。纏めて刈ってやるからよ!!」
そんな人狼に囲まれてるにも関わらず、霊夜は不敵に笑うと黄泉霊刀・純白月華を構えた。
「……おやっ、どうやら霊夜と離すのが狙いだったみたいね」
時同じく輪廻も、四方を人狼達に囲まれていた。
「生憎ですが、獣臭いのは嫌いなんだよ!!」
輪廻の叫びに応呼し冥土双銃・獄華輪廻が、その両手に握られていた。
霊夜と輪廻。互いに人狼との死闘が開戦された。
「我は!!我の出番はー霊夜様っー!!」
霊夜「遂に風紀委員、人狼との戦闘が始まったな」
輪廻「えぇ、始まったわね」
凍霊「私は、私は戦闘出番がないの」
霊夜「にしても、鼻歌歌ってる場合かよ!?って言いたくなる馬鹿はいたがな」
修羅「がーん!!」
凍霊「大体、霊夜様に何か起きたのに鼻歌歌ってる何て許せませんわ」
霊夜「まぁ、修羅は後で卸しにしてやるとして、次回も宜しく頼むぜ」




