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黄泉霊録  作者: ツアンサ
黄泉夜家
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黄泉夜家

比良坂警察署。其処では、佐鳥がある件を調べていた。


「(霊夜と言う名前の少年を拉致したか)」


佐鳥は、自首し今、取り調べを受けている女性の言葉を思い出していた。


「……確か、あの黄泉夜霊夜も霊夜って名前だったな……」


今でも謎が多い事件だった黄泉夜家の集団殺害事件。その黄泉夜家の事件において唯一の生き残りであった黄泉夜霊夜。その霊夜も、事件の事を聞いた際に、凶変し自身は投げ飛ばされ、捕らえようとした警官数名は、大怪我。しかも、その後に霊矢総監からの、知る必要のない事。関わるなと言ってきた謎の存在。


「はぁーせめて、この拉致事件で拉致されたと思える少年が、黄泉夜霊夜だったらなー」


そんな都合の良い事は起きないよな。


はぁーとため息を吐き、缶コーヒを飲もうとした時だった。


「佐鳥警部!黄泉夜霊夜!拉致された筈の少年の名は黄泉夜霊夜でしたよ!!」


「なっ!!げほごほ!!本当か、藻部捜査官」


思わぬ所で、思い浮かべていた黄泉夜霊夜の名を出され、噎せる佐鳥。


「静かにしろ。其と、その少年の名は口にするな」


そして直ぐに、興奮気味の藻部の口を手で押さえる佐鳥。


「んぅんぅ!!何するんすか!!せっかくの情報得られたのに」


人気のない小さな灰皿が置かれた喫煙所に連れ込むなり、不満の声を上げる藻部に佐鳥は、思わずため息を吐いた。


「良いか。忘れた訳じゃないよな。あの霊矢総監に言われた言葉を」

「あっ!!」


そこまで言われ気付いたのか辺りを見回す藻部。


だが此処は、禁煙が進む時代、煙草を吸いに来る者は少ない為に秘密な話をするには最適な場所なのだ。


今も、喫煙所にいるのは佐鳥と藻部の二人のみ。


「……そうだ。この件に黄泉夜霊夜が関わっていたと、上層部の誰か一人にでも耳に入れられたら、俺達の介入は無理になる」


正直な話。藻部の口から、黄泉夜霊夜の名が出た時は、思わず叫んでしまいそうになるのを耐えるので一杯一杯だったのだ。


「良し、書記官には極秘と伝えるから誰にも口にするなよ!!良いな」


貴重な黄泉夜霊夜に関する事を調べられる唯一無二の機会だ。この機を逃せば、何時、黄泉夜霊夜の件に関われるか分からないのだから。


「取り調べ室は、壱号室だったな!!少しでも聞き出すぞ」

「はい!!」


そう決意を燃やし、取り調べ室に駆け出して行く佐鳥と藻部だった。


「……黄泉夜霊夜を拉致しろと命じられたのは、何とも高級感溢れる部屋でした」


取り調べ室で、取り調べを受けていたのは二十歳前半位の女性だった。


特に言葉を濁らす訳でもなく淡々と女性は、返答を返してくれる。


「高級感溢れる部屋か。黄泉夜家は、確か、名が聞くと昔、聞かされた事があるな」

「では、黄泉夜霊夜を拉致したのも、黄泉夜家に恨みのあった家系かも知れませんね」


名が聞くとされる黄泉夜家の長男。その黄泉夜家に、何かを揉み消しにされ恨みに黄泉夜家の集団殺害事件を引き起こし、殺しそびれた黄泉夜霊夜を拉致したのも、その名を利用するつもりだったのかも知れんな。

その線で捜査すべきか。と思いつつ取り調べを再開する。


「黄泉夜霊夜を拉致する目的、または狙い等を言われなかったか」


もし恨みでの犯行なら、その目的、狙いを実行する班に話していたかも知れない。


そう考え女性に問い掛ける佐鳥だが、次の女性の返答を聞き驚愕した。


「……其が、私は、聞いた訳では無いんですが、自殺した私達、拉致班のリーダーだった男が、こう言ってました」


「霊魂を迎えに行く」


「……はっ?霊魂を迎えに行くー」


霊魂ってアレか。死んでるお化けを迎えに行くのが目的だってのか?


女性の返答を聞き頭が点になる佐鳥と藻部。其もそうだろう。生きてる黄泉夜霊夜を拉致する様に命じたのに、その目的が霊魂を迎えに行くである。全く訳が分からない。


「えぇ、確かに霊魂を迎えに行くと。そういえば、一度だけ、ある言葉を聞きましたわ。確か、霊魂が揃えば……っ!!」


そこまで言って、女性の顔が突然、苦しそうに歪められた。


「おい!!どうした。大丈夫か」

「何処か痛いのか!教えてくれ!!」


顔からは脂汗が止めどなく流れ出し腕を握り締め必死に痛みに耐えている様に見える。


「おい!藻部。医者だ!!医者を呼んでこい」

「はい!今すぐ呼んできます」


ただ事じゃない様子に、藻部に医者を呼ぶよう命じ、佐鳥は女性に何処が痛いのか問う。


「足が足の中を何かが動いて!!ぁぁあああああ!!」

女性の目が見開かれ絶叫する。直ぐ様、佐鳥は、女性の足を確認しようとした。

ブブブブブッ!!


瞬間、大きな羽音と共に無数の蝿が室内に飛び回った。

その数、百以上。


蝿に一瞬気を取られたが、女性の足を見て言葉を失った。


まるで内側から何かが破り出たかの様に、足の骨が肉がボロボロな状態だったのだ。


「警部さん、助けて助けてうぐぇぇええええ!!」


顔を再び上げた佐鳥の目に映った物。其は、胸が以上に突出し断末魔を発する女性の姿だった。


そして、目が見開かれ最後の断末魔を発した女性の胸が弾け肉片が臓器が床に飛散し白目を向いた眼球が砕け散り、数えられない程の蝿が取り調べ室を飛び回った。


「うわぁぁあああ!!」


目の前で、肉片になってしまった女性。余りにも現実離れした死。佐鳥は絶叫し取り調べ室から逃げ出した。


「どうしました佐鳥警部!医者を連れてっ!!ぁぁあああああ!!」


佐鳥の悲鳴を聞き、何事かと急いで駆け出した藻部と連れて来られた医者。


だが、佐鳥の後を追う様に廊下を埋め尽くす漆黒……蝿に藻部も悲鳴を上げた。そして、何だ何だと署内の警察官が集まって来る。


「早く藻部逃げるぞ」


藻部の手を取り必死に外を目指し駆け抜ける。


うわぁぁあああ!!何だこの蝿、身体にぐあああああ!!

来るな来るな!!ぎゃあああああ!!


響き渡る断末魔と銃声。絶えず響き続ける断末魔に、佐鳥は決して振り向かず走り続けた。


しかし……。


「出口が!!くそ!何が何が起きてやがるんだよ」


外に逃げれる筈の出口は、亡者の紋様が浮かんだ結界に塞がれていた。


出口もない。逃げ道は何処にもない。後方からは蝿の大軍。


絶対絶命な状況に置かれ佐鳥は思い出した。


「生きたくば黄泉夜霊夜の件に関わるな」


あぁ、此は関わってさえいなければ生きてられたのかな。


そう迫り来る死の大軍を前に、佐鳥は意識を手放した。


「手を引けと言った筈だ……」


霊夜「……アイツの使い魔が殺りやがったんだ」


凍霊「……霊夜」


輪廻「……霊夜」


修羅「今回は凄い死に方でしたね」


畜生「蝿は、アイツの八柱をイメージしてだそうだ」

戦「身体から蝿ってのは、某モンスターパニック映画からだそうだ」


霊夜「……俺は負けない。次回も宜しく」

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