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黄泉霊録  作者: ツアンサ
黄泉夜家
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黄泉夜家

遂に投稿しました。黄泉霊録!!頑張るのでお願いします。


霊夜「感想待っているぜ」


冷淡「感想や、アドバイス宜しくお願いする」

静かと表すよりは静寂と表す方が正しいだろう。小さな光しか灯されず、巨大な岩を前に黒衣の男と、少年はいた。


「黄泉と人界の境界線に置かれた岩の意味を知っているか」


「……まぁ知っているけど、醜い姫と黄泉の軍勢を人界に来させない為だろ」


少年は、余程眠いのか。欠伸を繰り返し話を聞いていた。


「………夜が一番の時間だしな。しょうがいな」


こくり、こくりと半分寝てしまっている少年に苦笑いしつつ男は、少年を抱き抱え、その場を去って行った。


「……皆?」


少年が眼を覚まし、そして直ぐに異変を察した。


何だろう。妙に騒がしい。胸の、ざわめきが治まらない。


「……皆、どうしたんだよ?」


少年は布団から起き上がり、物音を極力立てず襖をソッと開き覗いて見た。


ビシャ!!


瞬間、少年の顔に鉄臭い液体が付着した。


「……えっ」


理解が出来なかった。いや、理解は出来ていた。ただ理解が出来ても認めたくなかった。


思考が止まってしまった。何も考えられない。動けない。


「ぐっ……っ!?」


そんな少年の部屋の襖を勢い良く砕き、其は固まっていた少年に直撃した。


「……―――様。早く逃げて下さい……」


少年に直撃した其は、既に手遅れだろう胸を深く斬り裂かれ命を失っていく使用人だった。


「おい!誰に殺られたんだよ!おい!!」


使用人は少年の問いに答える前に、そのまま動かなくなった。


「くそっ!!」


少年は悪態を付くと、この場から離れるべく駆け出して行った。


「一体……誰が……黄泉夜家に襲撃…っ!?」


あの場から随分と離れ少年は思考の海に沈み掛けたが、悪寒とも似た感覚が背筋を駆け抜け、その場から後方に飛び退いた。


ザンッ!!


少年が飛び退いた瞬間に、床を鋭利な刃が貫いた。


少しでも飛び退くのが遅れれば、その身を貫かれ鮮血を噴き上げていただろう。

「……俺は簡単には殺られないぜ。姿を見せな」


深く突き刺さったのだろう。中々抜けない刃は諦めたのか。その刃を振るった刺客が姿を表した。


「……私を忘れたのですか。黄泉夜霊夜様」

「……なっ…っ!?」


霊夜の双眸が驚愕に染まっていく。驚かない訳がない。何故なら、霊夜を襲った刺客の正体が、


「冷淡……何で確かにさっき…」


霊夜の記憶が、急激に遡って行く。


襖を突き破り、自身に直撃して来た冷淡。

致命傷を負わされつつも、霊夜に逃げるよう伝えた冷淡。


その冷淡が、どうして俺を襲っているんだ。其だけじゃない!何で冷淡が生きてるんだよ!!


霊夜の前で、確かに冷淡は息絶えたのだ。異常だった。死人が生きてる何て異常以外の何物でもなかった。

「驚愕してる場合ですか?霊夜様」

「……っ!!」

記憶の海から霊夜を呼び戻したのは、霊夜の極近距離に接近していた冷淡の冷たい声だった。


「……っぐ!離せ冷淡」


霊夜が咄嗟に距離を取るより早く冷淡の手が、霊夜の白く細い首を握り締め持ち上げていた。


床から離れてしまった霊夜の足。気道をギュッ!!と力強く握り締められ、霊夜の呼吸が苦しくなる。


「離せ……息が、息が苦しい……」


自由に動く手で首を絞める冷淡の手を外そうとするが、上手く酸素が回らない身体は、力が込められない。


「苦しいだろ。息が出来なくて、なぁ霊夜様」


クックックックッと顔から血の気が徐々に喪われていく霊夜を見て笑う冷淡の姿は、霊夜に逃げるよう伝えた冷淡とは、まるで別人だった。


「冷淡……死にたくない……」


酸素が回らない身体は頭は激しい頭痛が襲い視界は、霞んで歪み、意識が朦朧と薄れていく。


振り絞るように発した霊夜の声は弱々しかった。


「……そうですね。霊夜様に今、死なれては面白くない…」


そう言って霊夜の首から、手を離す。


「ゲホッ、ゴホッ、ゲホッゲホッ…ハァハァハァ…」

ドサッと霊夜の身体が床に倒れ必死に、咳込みながらも足りなかった酸素を取り込もうと呼吸を繰り返す霊夜。

華奢な胸が上下に動き、必死に酸素を取り込もうとする姿。


その冷淡を見る霊夜の表情には動揺、絶望が見え隠れしている。


「もうすぐで呼吸が立ち直られてはつまらない……次の遊びと行こうか霊夜様」

呼吸がある程度落ち着き始めた霊夜を、つまらないと言って指をパチンと鳴らした冷淡。


「ゲホッゲホッ……何言って…っ!!」


言葉の真意を問おうとした霊夜だが気配を感じた。其も複数の気配が霊夜の傍に居る。


一体何者だ。刺客なら顔だけでも見てやる!!


霊夜は顔を上げ、自身を見下ろす複数の気配を見ようとした。少しでも敵を知る為に。


だが霊夜が見れたのは敵の顔でもなかった。見れたのは顔を踏みつけるべく上げられた敵の……足だった。


「ぐっ!!……」


床に強打させられる霊夜の頭。脳が揺さぶられ激しく視界が乱れ吐血する。


だが霊夜を襲うのは、其だけじゃない。


「がっ!ぐっ…ぐはっ!!」

複数の気配が、倒れる霊夜の手を足を腹を胸を顔を、一斉に蹴り込み踏みつけたのだ。


目を見開き臓器を潰される様な激痛に霊夜は、ビクビク痙攣し始める。


そして一方的過ぎる攻撃に、霊夜の身体は酷く傷付き意識が薄れていく。


「そろそろ終わりにしろ。霊夜が“本当に消滅”してしまう」


冷淡の感情を伴わない酷く冷たい声に、霊夜を襲っていた気配は離れていく。


「最後に霊夜……良い事を教えてやるよ」

「…良い事……だと…」


薄れていく意識の中で、冷淡の無感情な声を聞き問い返す霊夜。


そんな霊夜を、冷淡と複数の者はクックッと笑い教えた。


「霊夜……お前は、黄泉夜家は、お前が守ろうとしていた人間達に裏切られたのさ……」

「……っ!!」


霊夜の顔が悲しみに歪んだ。其は人間への絶望だった。


そして霊夜が意識を失い倒れるのを確認し、冷淡と複数の者達は血の海と化した黄泉夜家から去って行った。

霊夜「第一話。黄泉夜家の舞台裏だな」


冷淡「そうだね。霊夜様」

広い室内に設置された高級そうなソファーに、ごろんごろんと転がり寛ぐ霊夜と、そんな霊夜を冷たい笑みで見つめる冷淡。


霊夜「裏切り者は知らねぇよ。其より次回は何っ!!病院送りだと其に警察ー」


以上、舞台裏でした。

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