「最高の玩具」
トウヤのプロローグの最後です。
6/13内容を変えました。
閃光と轟音
夜目になれていた所の視界を真っ白するほどの閃光に、耳を揺さぶり平衡感覚がなくなる程の轟音のダブルの不意打ちによりトウヤは、片手で両目を覆ったまま、フラフラと揺らいだ後床に跪いた。
両目を腕で隠したにも関わらず、瞼の裏は真っ白に染まり、あまりの眩しさに目が焼けるような痛みを訴える。
そして轟音により、耳は耳鳴りが響き、頭をシェイクしたように感じる程のめまいのせいでトウヤは、しばらく身動きを取ることができなかった。
「な、何だったんだ今のは…………」
閃光と轟音の影響がしばらくして治まってくると、トウヤは目を見開いて原因を探そうとするが、周りを見回したところでとてつもない違和感に襲われる。
「真っ白?」
そう、トウヤの周囲は先程までの夜の山ではなく、全て真っ白でどこまでも続いていく何もないだだっ広い空間だった。
「いや、まさかそんな………さっきの閃光のせい………じゃない!?」
トウヤは目を擦ったりして何度も確認するが、何度見ても見えるものはやはり真っ白な空間だった。
トウヤの脳裏に『先程の閃光の影響で視界がホワイトアウトしている』と言う考えが出てきたが、それは、自分の腕がはっきりと見えてしまったことで即座に無くなってしまった。
「ここは何なんだ……」
色々な経験をしたことがあるトウヤもこのような奇妙な経験はなく動揺を隠せないようすで、呆然と周りを見ていた。
「夢オチ……ってそんなわけないか」
現実逃避にも近い淡い希望を抱くが、それも実行すればまた現実だと告げられる。
「………誰か説明してくれないかなぁー……全く状況がつかめねぇー」
自分が死んだとは全く思っていないトウヤは、うんざりしたような声音で呟いた。
そんな何も知らないトウヤの願いを聞きつけたのか、突然トウヤの目の前に何かが現れた。
「はぁーい!そこで困ってる青年!神の中の神!最高神である私が君の疑問を答えてあげるよー!!」
それはやたらハイテンションな金髪美幼女だった。
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突然現れた金髪美幼女。
自分を最高神と言ったその幼女(以降はロリ神とします。)はトウヤの置かれている状況をトウヤが何か質問するより先に嬉々として説明し始めた。
「はあっ!?俺が神に殺されたあ!?」
ロリ神の話を聞いていたトウヤの驚きの叫び声がまた(・・)響く
「そうっ!!君は、一か月前の家が焼けた時に死ぬ運命になっていたんだよ!!」
トウヤの反応がロリ神にとって嬉しいのかニコニコと笑いながら、トウヤに衝撃的な情報を喋っていく。
「はぁ!?何だそれ!?俺は前から死んでたのか!?」
「おしい!死ぬ筈だっただけで、君は実際はs――「ちょっと待てくれ。頭が痛くなってきた。神だの、運命だの、わけがわからん。一旦整理させろ」えー……」
驚きの声を上げるトウヤに、ロリ神は更に教えようと言葉をつづけた所で、ロリ神にトウヤが片手を突き出して、ロリ神の声を遮るように言葉を重ねる。
ロリ神は少し不満そうに眉を顰めて抗議の声を小さく上げながらも、一応トウヤの為に黙る。
「まずは確認だ。お前が神様。そしてここは死んだ魂が留まるところ。そして、新しく生を得て転生する場所でもある。そうだよな?」
トウヤは、一つ一つ区切りながらロリ神に確認を取る。
「そうそう。めんどくさいから大体それでいいよ。」
ロリ神は口を尖らせながら適当に答える。
「真面目に答えてくれ………で、俺がここにいるのは死んだから。そして、死んだ原因は神。そうだよな?」
「そうだよ。神は神でも殺した神は私ではないけどね~」
「そして、よく分からないのが俺は一か月ぐらい前の家が焼けた日には死ぬ運命だったんだな?」
「そう!死ぬ運命ってのは、そう神でもそう簡単には変えられない必然に近いものなんだよ!だから君がその運命を自力で回避したっていうのは、ありえないことなんだよ!」
ロリ神は、鼻息荒く、小さな手はきつく握りしめられ、目はキラキラと輝いて、とても興奮した様子で、話す。
「そうなのか………で、俺はこれからどうなるんだ?」
トウヤは、興奮しているロリ神のトウヤに起きたことがどれほどありえないことなのかという話を半分以上聞き流しながらロリ神に聞いてみる。
「勿論、私の玩具として――じゃなくて、私が君を転生させて上げるよ!!」
「……ん、ぅんん?どうせ待ってたら転生できるんだろ?何でまたお前が俺を転生させる必要があるんだ?」
トウヤは、先程聞いた話では、転生は、神の手ではなくほぼ循環するように勝手にされるものとばかり思っていたのでロリ神に聞き返した。
「君は何か勘違いしてるねー。確かに転生は基本神の手では行われないよね。でも、それだと君の自我は完全に消滅するんだよ!!本来なら転生は、色々な世界から集まってくる魂を色々な世界にランダムに転生させるから、下手に自我が残っちゃうとまずいだよ。」
そこでロリ神は一旦口を噤むと、強調するようにしっかりとした口調で話し出す。
「だ・け・ど!!もし神が直接転生をさせるということは、当然自我は残るし、記憶も完全に残った状態で転生することができるんだよっ!!」
「おおおおっ!!それは本当に嬉しい!」
ロリ神の言葉にここに来て初めてトウヤが喜びを多分に含んだ驚きの声を上げる。
「じゃあ、私が選んだ異世界に転生させてもいいよね!全て私にまかせてくれていいよねっ?」
「ああ!勿論だ!」
喜んでいる所でのロリ神の質問にトウヤはあまり深く考えずに答えてしまった。
トウヤの答えを聞くとロリ神は
「よし!言質は取った!」
ガッツポーズをして喜ぶ。
そしてほとんど同時にトウヤの体が発光し始め、トウヤの体が徐々に透けてくる。
「おわっ!?何だこれは!?」
突然の体の異変に喜んでいたトウヤも思わず叫び声を上げる。
「大丈夫!それは、転生の準備の影響だから!」
そんなトウヤを安心させるためにかロリ神は満面の笑みで答える。
「転生の準備!?そうなのか?………まぁ俺にはよく分からないが、わざわざありがとな。最高神ちゃん!このお礼はいつかきっと返してやるよ!!」
トウヤの体がどんどん透けていく中、トウヤはロリ神に向けてニッと笑いかけてそう言うと手を一振りをして消えていった。
トウヤの体が完全に消えると、トウヤの立っていた場所には輝く拳大の球が浮いていた。
ロリ神は、それを手に取り色々な角度から見て回り、歓声を上げる。
「やった!!この魂はやっぱりすごかったよ!最高の玩具を手に入れたぁーーー!!」
ロリ神しかいない真っ白な空間
最高神は、しばらくはしゃいぎ続けた。
「ふっふ~♪この子(魂)には一体どんな能力をあげようかなぁ~」
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狭間刀哉 享年18
死因:隕石の落下に巻き込まれ死亡
プロローグはこれで終わりです。
この後、閑話で老神とロリ神のその後のやり取り書こうと思ってます。
感想よろしくお願いします。




