プロローグ 「未練は、イチゴクレープ」
目が覚めた。
周りを見るが白い床以外には天井も壁も物もない真っ白な空間
「………えっと……ここどこ?」
「ここはお主の精神の空間じゃ」
「うひゃぁ!?」
突然の声に思わず奇声をあげる。
さっきまで誰もいなかったのに、目の前に老人がいた。
頭を床にすりつけるぐらいの土下座をした白髪の老人が………
「…………」
「すまなかった!!儂が油断したばかりに、お主を死なせてしまった!!」
「…………」
「元の世界には、生き返らせれん。じゃが!!異世界に香奈が望む能力を授け、記憶を持ったまま生まれ変わることはできる。」
「…………」
「……儂にはこれぐらいしかできない。頼む。受け取って欲しい」
話す間もずっと頭を下げ続けている老人
しばし二人の間に沈黙が流れるが……
彼女は一言
「えっと………取り敢えず土下座止めてくれませんか?」
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「えっと……つまり私は、本来死ぬ筈ではなかった。しかし、ある原因で1人の人間の運命が狂い、周りに影響が出た。そして老神さんがその周りの影響を食い止めていた。ですよね?」
座っている老神に確認を取る。
「そうじゃ。」
「その後、老神さんがその原因を直し運命を正しく戻した。」
「そうじゃ。」
「しかし、戻したけれど、それまでの狂った運命のしわ寄せが私に来て、油断していていた老神さんが気づく前に私は死んだ。そして、老神さんはその詫びをしたい……だよね?」
「………そうじゃ。」
そう答えると、老神はまた土下座をしようとする。
「だからもう土下座はいいですって。それにイチゴクレープを貰ったし。」
彼女はイチゴクレープを少しずつ味わって食べながら答える。
「それに、運命が狂った影響で他に死にそうになった人がいるんでしょ?だけど、老神さんのおかげで私以外の人は死んでないんだし、私は、こんなおいしいイチゴクレープをもらったし、他の世界だけど生まれ変われるんでしょ?
私は、あの世界にはイチゴクレープぐらいしか未練はないし、クレープなんて自分で生まれ変わってから作れるんだからいいの………それでも納得できないなら色々と生まれ変わるときにサービスしてね」
「……わかった。」
彼女の周りが徐々に光だす。
「儂の最高のサービスをして見せよう。…………ありがとう」
――私が光に包まれる瞬間、老神さんは確かに笑ったきがした……
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彼女の輪郭がぼやけ、その場に光る拳位の玉が浮いていた。
老神はその彼女の魂を優しく両手に包む
そして、周りはいつの間にか真っ白な空間から周りが光り輝く神殿に変わる。
「世界はあそこの世界にしよう……。娘の能力はあ奴に頼むか……そもそもの原因はあ奴じゃ。嫌とは言うまい。むしろ、中位神にすら匹敵する器でありながら無垢な魂、嬉々として頼まれてくれるじゃろう。あの娘もいつの日か神界に自らの足できそうだのぉ………」
老神はすっかりやる気に満ちていた。
老神が向かう先は、数多くの神殿がある1つの同じ最上位神であるが、自由奔放な問題女神のいるところ
しかし、女神は留守だった。
女神は、丁度老神が運命を正すために殺した青年の元
理由は、老神とほぼ同じ
「またあ奴は何かする気か……」
老神は眉をひそめて、ため息をする。
老神は静かに女神が帰ってくるのを待っていた。