15話 「人生は波乱万丈」
ユーグsaid
いや、マジで炎が迫ってきた時は死ぬかと思ったわ……
――ドガガガガガガガガガガガガッ!!
丘のほうで父さんと真紅のドラゴンが激突している。
『お父さん、頑張れー!』
隣にいるユリエは興奮気味に頬を染めて応援している。
俺としても英雄のような父親をかっこよく思うが、この戦いにどこか違和感がある。
(ドラゴンが襲撃してきた。……にしては、どこか周りの人たちがお祭りみたいな空気なんだよな…)
今も悲鳴というよりは、感性みたいな声を周りの人が上げている。
(えっ?もしかして、これって何かのイベントか?にしては、あれ死闘っぽいんだが……)
分けがわからなくなって来そうだ。
(頭痛くなってきた……。もういいや、後で考えよ)
考えるのを放棄した俺の目にちょうど父さんがドラゴンの脇腹を切り裂くのを見た。ドラゴンの硬そうな鱗が砕け、血が溢れている。
『おっしゃああ!倒せー!』
『お父さんカッコいいーー!!』
思わずユリエのように歓声を上げてしまう。
(まっ。今は楽しむか)
俺は、ドラゴンとの決着がつくまで、ユリエと一緒に父さんを応援していた。
……まぁ、傍目から見たら赤ちゃんが「あーー。うーー。あいーー。」っと言ってる様にしか聞こえないがな
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――『両者、引き分け!!』
いつの間にか丘の上に審判のように立っている白髪執事が判決を下した。
周りの人たちから、耳が痛くなるほどの歓声が聞こえる。
「パパすごーい!」
『そ、それより俺に強く抱きついてくるな。く、苦しい……』
興奮気味の少女の腕が俺の体を思いっきり抱きしめてくる。
たとえ子供の力でも赤ちゃんの体では十分痛い
パンパンと体を締め上げてくる姉でもある少女の腕を叩くが全く気づいてもらえない
『あ……もう意識が…』
そんな感じになった時にやっと少女の腕が離れた。
見ると、男の子と一緒に丘の上にいる父親に会いに行っている。
そこには、父さんに服を渡している執事と手が白く光っている母さん
そして、見知らぬ父さんよりも鮮やかな赤のがっしりとした体格の男がいる。
……あれ?ドラゴンどこいった?
『………えっ?どういうことユーグ?』
ユリエが俺に聞いてくる。
『………俺にもわからん』
さっきまでそれどころじゃなかったので、肝心なところを見ていない
わかる訳がない。
どう言う事かな~?
としばらく丘のほうを見る。
………すげ。母さんの手から漏れてきた白い光で父さんの体の傷が見る見る消えていっている。
魔法万能だな
おっ?父さんとあの見知らぬ男性が握手している。……いや、だからあの人誰?誰か俺に説明を
『……縮んだよね?あのドラゴン。』
そんなこと考えているとユリエが念話をかけてきた。
『は?どういうことだ?』
全く意味が分からない。急にユリエはどうしたんだ?
『だ・か・ら!あのドラゴン縮んで、人になったよねって言ってるの!!』
えっ?なんか切れられたんだけど……理不尽だ。
『そうなのか?俺見てなかったんだけど』
へーそうなんだ。あの男性がドラゴンなんだ。言われてみれば威厳があるかも
『見てなかったの!?というより何でそんなにリアクションが薄くなってんの!?』
『いや……なんかほらさ、もうファンタジーなんだからドラゴンが人に変身できてもおかしくないかな~って、この世界に常識とか通じないことがよく分かったし』
『ユーグが開き直ってる………』
何かユリエが考え込むように黙る。
『………そう、そうだよね!ファンタジーだから何でもありだよね!さっきのが余りにも驚きすぎてたけど、私みたいに一度死んで生き返るのに比べたらおかしくないよね!』
『そうそう、転生がもう非常識すぎるんだよ。少女みたいな神もいたりするし、な~んもおかしくないおかしくない』
アハハハハハっとユリエと俺はひとしきり笑いあった。
……開き直るって大事だよね
なんか遅々として進まなくてすみません
感想どしどし待ってます




