閑話 「父に届いた手紙」
6話の三日前の話
6話の続きじゃなくてすみません
紅い龍が来る3日前
――コンコン
オルグの執務室に白髪の執事セバスが入ってきた。
「どうした?セバス」
「旦那様に手紙です。」
色々と落ち着いた時期、机にある書類も少なくなる時期
そんな日にオルグ宛に一通の手紙が来た。
その手紙は真っ赤な鱗に字が刻まれた手紙
オルグは「もうそんな時期か……」と呟きながら受け取る
書かれた内容は
『次の火の曜日にいつもの丘の上。
次こそ大剣折ってやる。
追伸
お前の子供に合わせろ。』
「……またか。アイツは懲りないやつだな。毎回毎回。それにしても、アイツは何故鱗使うんだ?終いには剥げるぞ。」
「あの方なりの誠意かと」
「別の所で私は使って欲しいんだが……」
「ですが、旦那様との見世物に領民は毎回沸いておられます。中には、遠くから商人が見に来るほどです。」
「セバス……お前にとってあれは見世物なのか……」
「はて?そんなこといいましたかな?最近物忘れがひどく。あいにく覚えておりませぬ」
「………もういい。下がれ」
そう言ってセバスを下がらせるオルグは深いため息をついた。
「……だがまぁ、仕事で溜まった鬱憤ぐらいはアイツで発散するか」
考え方を切り替えたオルグは、持っていた羽ペンを置いて
執務室の窓を開け放し、飛び降りた。
手にはいつの間にか3メートルを超えた大剣が握られている。
2階から飛び降りたが、難なくと着地する。
………地面が微妙に足型に沈んでいる。
「……っと。さて、固まった体をほぐしに言ってくるか。セバス、書類はクレンドにでも回しておけ」
『かしこまりました。』
虚空に向かって言うオルグだが、どこからかセバスの声が聞こえてくる。
そして、大剣を肩に担ぎながら、風を切るような速さで、麦の畑を駆け抜けていく。
すれ違う領民たちは親しげに疾走するオルグに挨拶をするが、中には商人らしき人が爆走してくるオルグを見て固まったりしている。
……領民にとっての見慣れた光景は、旅してきた商人にとっての見慣れた光景ではなかったようだ。
そのまま、スピードを維持したまま生い茂る森の中へと突っ走っていった。
その後姿を領民たちは「今日はたらふく肉が食えるべ」と嬉しそうに話し合っていた。
商人はただただ困惑していた。
「あ、あそこはC級以上の魔物がいる跋扈する森……ではなかったのか……?」
ちょっとオルグのチート書けたかな?
その日、オルグは町に大量の魔物を持って帰って宴をしたよ。
領主と領民の関わりは大事ですよね?
ちなみに急に出た魔物ですが詳しくは本編で話します。
一言だけ言うなら
あそこの森に単身で行くのは自殺志願者と言われますね。
………アルトリューチェ領の領民以外だと
そこの領民たちの基準だと
「おい、ちょっと熊とって来るべか?」
「あの赤い熊だべか?あれはうんまいだべな~」
「んだんだ。おらも狩りに行くの手伝うべ」
という軽い感じでC級の赤熊を狩りにいきます。
C級は一流の冒険者でも苦戦する相手です。




