プロローグ 「クレープ落とした」
初投稿です。
表現など指摘があればよろしくお願いします。
とある高校の
文化祭も終わり3年のほとんどが受験勉強に切り替えてる中
部活も終わり、ほとんどの生徒が下校した時間の学校から1人の女子生徒が出てきた。
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「はあー……いい加減先生たちも納得してくれないかなぁ………。」
ここ最近職員室に呼ばれている生徒A―麻木香奈―は大きなため息をつく
「だいたい、大学止めて就職するぐらいでしつこいのよっ。」
彼女は、一月前までは大学に行くつもりだった。
理由はただ、幼い頃から面倒を見てくれた祖父を心配させないため
祖父は、私が幼い頃に交通事故の死んだ両親に変わって、厳しくも大切に育ててくれた。
しかし、そんな祖父も一月前に死に、遺された両親と祖父の遺産では、大学に進む金が足りなかった。
それに、奨学金を貰いながらバイトをしてまで、大学に進む気がなくなってしまったのも大きいだろう
と、言うわけで、進学を止めることを先生に伝えた。
そしたら職員室は大騒ぎ、担任、主任、進路指導、教頭、校長まで出てきて、
口を揃えて「「考え直せっ!!」」
必死に止められるのも彼女の成績がよすぎるため、全統模試では、毎回トップ3入り
希望していた大学は全国有数の超難関大学
ようするに先生たちは箔が欲しかった。
………彼女にはいい迷惑である。
「まっ。どう言われようと働くんだし、あと半年の我慢、我慢。」
彼女は大きく伸びをし、学校を出ていく
「よしっ!いつものクレープ屋さんに食べに行こっ。」
軽くスッテプしながら歩いてく………
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「すいませーん。イチゴのクレープくださーい。」
待つことしばし………
「お待たせしました。イチゴのクレープです。」
出されたクレープは、完熟イチゴと生クリームを大量に使った彼女のお気に入り
「ありがとうございます。」
彼女の周りから音符が出てきそうなほどに明るく幸せそうだ。
「~っ!おいしい~っ。最高ねっ!」
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ドガアァンっ!!
幸せそうに食べながら歩いていた彼女の後ろから何かを突き破る大きな音が
バンっ!
振り向く間もなく彼女は何かに跳ね飛ばされる。
宙を浮く体
一緒に宙を浮く鞄
食べかけのイチゴクレープ
視界の端には、ボンネットが大きく歪んだトラックと、突き破られているガードレール
「かはっ…」
地面に受け身も取れずに落下、肺から空気が吐き出される。
倒れた時に向いた視線の目の前には、なおも向かってきているトラックと
手を伸ばしたら取れそうな位置にある半分ほど食べられているイチゴクレープ
彼女は右手を伸ばそうとしたが、思うように動かない
徐々に視界に近ずく黒いタイヤ
それでも彼女は視線をイチゴクレープから離さなかった。
視界が黒で埋まる寸前
彼女が意識を失う前に出した言葉は………
「わたしのクレープ………」
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麻木香奈 享年18
事故死