7話 「魔力暴走」
更新は主に土曜、日曜にするようにしてますが、不意に投稿していたりします
気にかけてくれたらと思います
更新する数も1日に数回になることもあります。(いつもその時々に書いてるので、気力が残っていれば書いています)
しばらくユーリを撫でていたマリヤは、ネマに休むように言われるため、魔力を回復させるためにも自分の部屋に戻ろうと扉に近づいた。
しかし、そこでマリヤは視界が歪み、暗くなると共に床に頭から崩れ落ちた。
――ゴト
床に物が落ちた時のような鈍い音が部屋に響く
マリヤは倒れたままピクリとも動かない
『………えっ?』
『――っ!!誰かを呼ばないと』
何が起きたかわからないユリエと倒れ方から危険を感じたユーグはすぐに赤ちゃんの甲高い声を精一杯あげる
「オギャアアアア!!オギャアアアア!!(誰か気づいてくれ!)」
ここまで大声を出して泣いたのはユーグは生まれて初めてだ。それほどまでに焦っていた。
『……お母さん?えっ?お母さんどうしたの?なんで倒れてるの?』
ユリエは今起こっていることに理解することができない
いや、理解したくないのだ、再び親が動かないまま対面することに
また、母親がいなくなってしまうことに
『嫌、嫌嫌嫌!!お母さん動いて!!起きて!』
しかし当たり前だが念話はユーグ以外には聞こえないし、聞こえたとしてもマリヤに届くことはない
「オギャアアアア!!オギャアアア!!(速く誰か来いよ!!)」
ユーグは、ユリエの声を聴きながら、誰も近づく様子がない状態に余計に焦りが出てくる。
マリヤもベッドからではどうなっているか分かりにくく、ユーグには倒れたことしか分からないことに余計焦りを感じる。
『お母さん!!!』
『あっ!ユリエ!!』
――ドテッ
ユリエはベッドの柵をよじ登り、柵の高さ含めて1メートルくらいの高さから床に墜落する。
『――っ!――お母さん起きてよ!!お母さん』
ユリエは、落下の痛みを堪えながらもマリヤの近くまで這っていき、マリヤを揺さぶる。
しかしマリヤは反応しない。息もしているかは混乱しているユリエにはわからないが、ただ危険なことは半ば本能で感じた
――ドテッ
『ユリエ!落ち着くんだ!!』
ユリエに続いて落ちてきたユーグは未だマリヤを揺さぶっているユリエに近づいて言う
『邪魔しないでっ!!お母さん起きないんだよ!どうしろって言うのよ!』
『人を呼ばないと。母さんが死ぬぞ!』
そう言っている間も念話をしながらユーグは未だに赤ちゃんの泣き声を全力で行っている。
そして、落ち着くかせるためにユーグが言った一言は余計にユリエを焦らせた
『嫌!お母さん死んじゃ嫌!!死んじゃ嫌だよお母さん!!』
余計に泣いて焦りだすユリエ
結果的に泣いているので周りも泣き声を気付くとは思うが
落ち着かせることはできていない
段々と焦りと前世で両親が死んだ時を思い出しユリエは――
『死ぬなんて許さないんだから、速く目を覚ましてよお母さん!!!』
と大きく念話で叫んだ。
すると、ユリエの中から何かが突然溢れ出しユリエの体から大量に放出される。
『うっ!!?』
そして、ユーグもユリエとほぼ同時に同じことが起きる
――感情の高まりによる魔力の暴走。
ユーグもロリ神によって魂が直接繋がっているために共鳴して暴走した。
そしてそれは一瞬の内に部屋に充満し、外に溢れ、
別邸を包み、
本邸を包み、
領地の街を包み、
領地全体を包み、
そしてついには王都の一部まで包み込んで、事は起きた。
その範囲に含まれた。人間、獣人、エルフ、ドワーフ、竜人……全てが等しく癒された。
病気で寝込んでいた老人は、立ち上がれるまでに回復し
顔面に酷い火傷を負っていた少女の顔は元の火傷のない状態に戻り
魔物との戦闘で深手を負い、正に息も絶え絶えの所を一瞬の内に傷が治り、力が体に満ちる
そして、エリナは病気が治まり穏やかに息をするようになり
マリヤは、疲労と魔力の枯渇による状態から回復した
アルトリューチェの領地~王都までの地域で流行っていた病は無くなり、患者も全員回復した。
王都でも多くの患者が奇跡の回復をした。
そして、余った薬は、国の西に出回るようになり、流行り病でなくなる者が激減した。
皆は、この奇跡を『神の慈悲』と感謝し、各々の神に祈りをささげた。
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魔力が暴走したユリエとユーグ
2人は、体から何かが失っていった、ひどい虚脱感から気絶した。
後から、飛んでくるように駆けつけたフェルミの目には
穏やかに眠る双子の赤ん坊に抱きつかれて首をかしげているマリヤの姿だった。
後日、帰ってきたオルグと元気になったライルとエリナと共にマリヤに抱かれて初めて部屋の外に2人は出た。
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――神界
「これで、一件落着!」
ロリ神は、老神にピースする
「まぁ許容範囲じゃの。」
「でしょ!あの女性が魔力の枯渇で倒れるっていう運命を少し弄って早めたのよ。あの子達の思いが確かならば感情の暴走が魔力を癒しに変えて――っていうのだったんだけど……実際あそこまで思いがあったとは思わなかったわーー」
「少し調べたが、娘は両親を幼き頃に無くしておったことが影響しとるんじゃろうな」
「ふぅ~ん?まっ。私には人間のことなんてよく分からないけど」
「なにを言っておる。元々神は、魂を磨いた先の超越者じゃ。元は人間じゃろうが」
「いつの話よ。もう100万年も前よ」
「カッカッカッ!それもそうじゃの。そろそろ儂も帰るかの。今回は礼を言う」
「なら、もうくんなよ!この破壊神!!」
ロリ神の罵倒を老神は笑いながら去っていく
ロリ神は、元に戻した自分の神殿に戻っていった。
こうして今回の騒動は終結した。
ここで通常の魔力の暴走について話します
通常魔力の暴走の規模は最大でも部屋が水浸しになったり、周囲が燃えたり、突風が吹き荒れたりしる位です
しかし、これは大人、それも1流の魔法使いが感情の暴走による魔力の暴走を起こした場合
赤ちゃん~幼少期の内に起きる暴走は、シーツが湿ったり、空気の一部がポンっと音をたてて燃えたり、締め切った部屋で風が起きたりする程度
微々たるものです
今回オルグが、双子を別邸に引きこもらせたのは、
1流の魔法使いで国でも有数の魔力量(龍除く)を誇るマリヤより魔力量が双子が既に上なため、
赤子でありながらの膨大な魔力、そして一度は必ず暴走するのがわかっているため、いつ暴走してもいいように、被害を最小に抑えるために結界をはった別邸に軟禁しました。
そして、オルグの判断は正しかったですが。
規模の範囲が予想以上だったために今回の計画は無駄だったといえます。(無害でしたし)
次は、その後の日常ですかね




