4話 「2人は転生者」
一話終わりと言いましたが伸びました
すいません
『おい……』
『――やった~!!ついに話せることができた!話し相手ができたよ!!嬉しい~。話し相手ができたよ~――』
『………(いつ落ち着くんだ?)』
キャッキャッと笑いながら、全身を使って喜びを表現している生後半年の赤ちゃん(ユリエ)と、それを困ったように見る同じく生後半年の赤ちゃん(ユーグ)
ユリエは、話ができるようになってからこの調子である。
ユーグは、始めは何度も声をかけていたが、完全に聞こえていなかったので諦めて、落ち着くのを待っていた。
――のが、30分前ぐらいだ。
この念話?をどうやれば切る事ができるのか分からないユーグは、30分近くも頭に直接響く声のせいでいい加減疲れてきていた。
しかし、ユリエは、依然落ち着く様子もなく、体全部を使って喜びを表現していた。
『話し相手ができたよ~。しかも赤ちゃん!!いつも一緒!!暇じゃない!!!――』
『………(そうか!ありえない状況で、誰も相談する人がいなくて寂しかったんだな。そうだそうに違いないっ!!……そうじゃないとやってられん)』
ユリエの暴走にユーグは、自分が納得できる理由を自己完結することで、この状況を耐えた。
………やっと、ユリエが落ち着いたのはそれから1時間後。動きつかれて寝てしまったためだ。
ユリエが寝入ると、直ぐにユーグも疲れ果てて寝てしまった。
ユーグとユリエが落ち着いて話をするのは、2人が目が覚めてからだろう………
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そして………しばらくしてユーグとユリエは目を覚ます。
『ふわああぁ~~。………あれ?いつの間に寝たのかな?』
ユリエが目を覚ます。
そして、コテンと首をかしげているユリエの隣にいたユーグも遅れて目を覚ます
『う゛う゛う゛~頭が痛い……。』
……目が覚めたというより頭に響く声のせいでたたき起こされたに近い
『あっ!しゃべった!』
『……そうだった。おいっ―――!………名前なんだっけ?』
目覚めたユーグは、ユリエのペースに乗らせないように話を進めようとしたが、名前を知らないために初っ端なから途切れる。
『私?私は麻木香奈――じゃなくて!ええっとそう!ユリエ!』
『ユリエだな?(麻木香奈……日本人だよな?)俺は、ユーグ。前世は狭間刀哉。転生して赤ちゃんな元高3、18歳だ!』
ポロリとユリエがこぼした前世の名(だと思う)からほぼ確信したユーグは、前世の名と歳を含めて言う
。
『えっ?………………えええええええええええええええっ!!?転生!?赤ちゃんが高3!?私と同い年!!っと言うか同じ高校のトウヤ君!!?えっなんで?』
衝撃の事実に混乱するユリエ
『同じ高校?麻木って……まさかあの麻木か!?』
言われて気づくユーグ
どうやら二人は、前世でも知り合っていたらしい
世界は狭いと感じる瞬間だった。
『『ええええええええええっ!?』』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『あんまり、面識ないけどいつもテストで1位取ってるよな?』
『まぁそうだよ?でも、あのトウヤ君がいなくなると、学校が荒れそ~』
『はぁ?なんで荒れるんだよ』
『傷心したカナエさんをめぐった恋路や「草薙親衛隊」の粛清とかかな?』
『ああーー否定できん……』
俺がいない時を狙う男子や最近俺の対処に重きを置いてた親衛隊がぶつかるとなると……
『学年の男子4分の1はやりそうだな』
『後輩なども含めると150は超えるよね?』
『アイツもご愁傷様だな』
めんどくさそうな表情をする幼馴染を思い浮かべ、苦笑する
『おもしろいだろうな~』
『えっ?』
ユリエの予想外の返答に驚く
『だって告白しようとする男子、
止めようとする親衛隊、
その争いを止めようと動くゴリ先(数学兼生活指導)他数名の先生
たまに投げ飛ばすカナエさん
それを遠巻きに観戦するその他
前だったらすぐに止めに来てるだろうトウヤ君がいない今、かなり頻繁に起きてるだろうな~。私も見たかったな~』
ちなみに前世では、たまに起きるこの騒動に割と初めから観戦していたユリエだ。
『あれ、関係者は真剣だぞ。
俺なんて何度か止めに入ったのに「お前が原因かー!!」ってゴリ先に誤解されて連れてかれたことがあったんだからな』
『だから、見ている人は楽しい!』
『………』
親指をこちらに向けてくる赤ちゃんの頭を無性に叩きたくなったユーグだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『――でだ、前世の話はまたするとして……』
しばらく盛り上がったとこでユーグは、本題に入る
『ユリエはなんで、転生することになったんだ?自称神の少女にあったか?』
『少女?うーん……私はトラックに撥ねられて死んで、神様の老神さんが転生させてくれた。なんかミスしたらしいよ~』
のんきに自分の死んだことを話すユリエ
『人……いや神が違うのか。じゃあただの偶然か?』
少しあのロリ神に会った時のことを思い出しながら、この状況を考える。
『ねっねっ!次はトウヤ……じゃなくてユーグが教えてよ!』
『俺か?俺は自分の家(の跡地)の目の前で背中に受けて死んだ……らしい。で、そのあと少女が面白半分で転生させられた。
あっそういえば、あの少女が俺を老人が殺したって言っていたっけ?ユリエを転生した時に話した神じゃないのか?』
『そうなの?老神さん……他にも失敗してたんだね』
微妙に事実とずれたがユーグとユリエが気づくはずもなく
2人の老神の認識が、うっかりさんになってしまったのも仕方ないことだ。
………これを見ていた2人?によって、落ち込む老人と笑いながら傷をえぐる少女の姿が神界で見られた。2人とも最高位の絶大な力をもった神である………はず?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『ユリエ、お前これからどうする?』
ユーグは、割と真面目に聞く
『もちろんユーグとたまに話しながら赤ちゃん生活を満喫する!!』
帰ってきた言葉は、以前からユリエが実行していること
『お前に聞いた俺が悪かった。』
――未来のことより今を楽しむか……
そう考え直し、もう寝てしまっているユリエの隣でユーグも寝る。
ちなみに、先ほどの考えは、その後の授乳の時に『今を精一杯生きる』に変わったのは、余談だ。
ユーグに授乳を楽しむ余裕など微塵もなかった……
次こそは、周りの状況を書いていこうと思います。
あくまで状況で世界設定の説明じゃないです(いや、少しはあるかな)
ユーグとユリエが部屋から出れない理由と周りの家族達も書いていこうと思います
落ち着いたら登場人物紹介もできたらいいなと思います




