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妹、考える
「‥‥はぁ」
兄貴は分かりやすい。
特に僕に隠して後ろめたいことをしている時とか。
大体漫画を逆さにして読んでるって、どんだけベタなの。しかも極めつけはあの漫画を元に戻すことだ。
兄貴は大抵片付けなんてものをしない。
「なのに、今日はしっかりしていきやがって。‥分かりやすいにも程がある」
僕はまたため息をついて、髪をタオルでバサバサとふく。
と言うかいったい、何をしたのだろうか。
「‥これと言って、別に隠し事は‥‥」
そこまで言って、僕は笹の葉に目を向けた。
よく見ると誰かが動かした形跡がある。
「‥なるほど。アレを見たのか」
まぁ、別に表だけしか見てないだろうな。
裏とかは普通───。
「や、アイツは、普通じゃ、ねぇよな‥」
まさか、見られたか‥?
僕はずっとモンモンとそんなことを考えていた。