願い事?(妹ver)
「‥‥‥」
妹は今風呂に入っている。
先程まで部屋に籠ってずっと願い事を考えていたのに、急に爽快な顔をして出てきたもんだから、きっと願い事を書いたのだろう。
と、言うことで、どんな願い事を書いたのか見てみようと、俺は今妹の部屋に侵入中である。
とは言っても早く出ないと妹がきちまう。アイツ風呂はいるのが早いんだよ。って、こんなことしてる間にも時間はくってんだ。さっさと見て自分の部屋に戻ろう。
「‥これか」
俺は1つだけ字が違うのを見つけ、それを手にとって読む。
───だがこの後、読まなければ良かったと後悔した。
『新しい兄貴がほしい』
「‥アイツ。俺の願い事見やがったな。チッ‥やられたぜ」
そう言って、やはり自分の妹は自分の先を行くなと改めて思った。
ふと、何気に裏をめくった。
「‥! フッ、アイツ‥」
そんなとき、トントンと階段を上る音が聞こえた。
やばい、妹が戻ってきた。
俺はもう今から出ても意味ないだろうと判断し、適当に漫画をとっていかにも、ずっと漫画を読んでました~な雰囲気を醸し出す。
数秒してガチャリとドアが開かれた。
「あ? 兄貴いたのか。‥兄貴、漫画反対だけど読めてるの?」
「えっ」
俺は慌てて漫画の向きを変える。それでハハッと乾いた笑みを妹に向けた。
すると妹がじっと俺の目を見つめてきた。
‥バレた、か‥?
「‥ま、いーけど。風呂入ってこいよ」
「あ、あぁ‥」
俺は漫画をもとの位置に戻して立ち上がる。
そしていそいそと部屋を出て行った。
アイツに見つめられると、何もかもを見透かされているようで怖い。
特にこんな後ろめたいことをした時とか。
「‥でもまぁ、可愛いところもあったな」
クスリと笑って俺は風呂の準備を始めた。