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兄貴と僕の行事歴(仮)  作者: pumpkin@
七夕だよ、全員集合!(2012)
2/21

妹、始動!


「‥七夕かぁ。いっちょやってみっか」

 僕は開いていた携帯を閉じ、そう呟いた。

 今日は7月6日。

 明日は七夕とやらの日らしい。インターネットで読んだのだが、年に一度のデートをするカップルがいるらしいのだ。

 それが織女と牽牛。

 何て切ないことだろうか。


 と、言うわけで、そんな切ないラブストーリを読んだ僕は胸が打たれ七夕をやることを決めたのだ。

「えーと、まずは‥」

「お前なにやってんだ、さっきから。両手を胸の前で握ったり、キラキラした目で天井見たりよ」

 ‥こんなデリカシーのない人間にはこの切なさがわからないんだ。

 兄貴は僕のベッドの上で胡座をかいて、呑気に漫画を読んでいた。

 僕はそんな兄貴を無視し、出掛ける準備を始める。───もちろん、敏感な兄貴は聞いてくる。

「え、ちょ、おまっ、どこ行くんだよ?」

 ほらね。

 僕はクローゼットの中から、紫と黒のボーダーシャツに、ジーパンを取り出す。それを履きながら、兄貴の問いに答える。

「笹買いに行くんだよ」

「何のために?」

「‥‥七夕だよ、七夕」

「ああ、明日か。‥え、やんの?」

「うん」

 タンスから靴下を取って履いてから玄関へと向かう。

 その間も兄貴は傍で「え、どうした、急に」とか「ちょ、まじかよ」とか何とか言っていた。

 正直、ウザイ。

「だぁー、もうウザイなぁ。いいだろ、やっても」

「‥‥まぁ、な」

「──じゃ、行ってくる」

「おう。あ、今日の夕飯何にすんの?」

 兄貴は思い出したかのようにそう聞いてきた。

 夕飯かぁ。

 そうだな、何にしよ‥。

「‥‥あー、まぁ何か適当に買ってくるよ」

「おっけー。じゃ、行ってら」

「行ってき」

 そんな会話を交えてから、ガチャと玄関を開けた。

 今日も空は快晴だ。

 そんなことに口元を緩ませながら、足を進めた。


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