大晦日の定番 1
大晦日なんて過ぎてるけど、そんなこと一々気にしちゃ駄目だよ!←
「ごほっ、ごほっ、ごほっ!」
埃が僕の部屋の中で躍り舞う。
僕はそれを手で軽くはらいながら、掃除機を持ち上げた。
──12月31日。
年の終わりを告げる、ある意味特別な日だ。
そんな特別な日に僕は、新しい年を気持ちよく迎えられるよう、大掃除をしていた。
朝の8時ぐらいから起き、朝御飯を済ませてから掃除を開始して、現在に至る。
現在の時刻は昼時で、少しお腹が空いてきた。
「‥‥ここ掃除機かけたら昼食にしよう」
そう呟いて、僕は掃除機のスイッチを押した。
ブオォ‥‥と煩く響く掃除機の音。
あまり掃除をしない僕の部屋は、見た目では分からないがよくよく見ると、とても汚い。髪の毛は落ちてるし、小さいゴミもいくつか。
「‥‥これ、は‥‥兄貴の、だよな?」
髪の毛は僕だと思うが、こんなお菓子の袋や丸く固められているディッシュ、そして破かれた紙などは見に覚えのないものだった。
だとすれば、この部屋を利用するもう一人の人間、僕の兄貴しかいない。
「チッ、アイツ‥‥ちゃんと片付けろつってんのに」
僕は拾えるゴミは拾ってゴミ箱に捨てた。
何故兄貴の後片付けまでしてるんだろうか、僕は。
「はぁ‥‥まぁいいか。よし掃除掃除」
そうして、掃除機をかける。
数分して、髪の毛やらお菓子の袋やらで汚かった僕の部屋は綺麗になっていた。
あとはモップをかけて‥と。
これで一通り終わったのではないだろうか?
「窓はやったし‥‥あ、‥‥整理整頓‥‥」
僕はキョロキョロして、クローゼットと自分の机の引き出しが視界に入った。
暫しの間そこを見つめていたが、やがて僕は現実逃避をするかのように、モップを取りにへと一階に降りた。
押し入れがある部屋へと行き、押し入れからモップを取ろうと探す。
「あれ‥‥。ないなぁ‥‥確かここに──」
いくら探してもどこにもない。
と言うかモップだから、普通は探さなくてもすぐに見つけられるはずなのだが‥‥。
「ない‥‥」
僕は一応押し入れを閉めて立ち上がる。
果たしてウチのモップはどこにあるのだろうか。
「そんな、モップに足とかはえてんじゃないんだから。‥‥何でなくなるんだ?」
そう呟きながら自分の部屋へと戻る。
と、その途中兄貴の部屋が視界に入った。
‥‥もしかして、兄貴、か‥‥?
そんな考えが僕の頭を過った。
いてもたってもいられなくなった僕は、バレないようにドアを開けた。
兄貴の部屋はあまり使わないため綺麗である。
‥‥ほとんど僕の部屋で過ごしてるからね。
ちょっと僕の部屋より綺麗だったので、そんな理由で自分自身を納得させる。
「‥‥あ」
兄貴の姿を確認すると、その手にはモップが握られていた。
モップ、発見。
兄貴も大掃除を始めているらしく、その部屋にはバケツやら雑巾やら、洗剤やらが散乱していた。
「兄貴も掃除?」
「うおっ、びっくりしたぁ‥‥」
僕はドアの方でコソコソしてるのがバカらしくなってきて、そのまま入っていった。
まさか僕が入ってくるとは思わなかった兄貴は、顔を驚きの表情でいっぱいにしていた。
僕だと認識すると、兄貴は安心したように話しかけてくる。
「てか俺“も”って事は、お前もか?」
「ああ。誰かさんのせいで部屋が汚いもんでね」
「‥‥そりゃお前が悪いだろ」
兄貴はモップを片手に、当たり前だろな顔でそう僕に告げてきた。
その台詞を聞いた僕は、自分の中で何かが切れる音がした‥‥。




