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幼馴染

まだまだ起承転結の起の起です。

大陸第三位の大きさを誇る国アルケディスト、その東端に小さな町があった。

 段々畑と黄金色に輝く麦畑に囲まれたその町は、小さいながらも穏やかで実り豊かであった。

 

 小さな町の南の一角、庭の綺麗な小さな一軒家で、線の細い一人の女性が床に臥せていた。 

 「ガレオン、ミーシャをお願いね。」

 弱弱しい声で、女性がそう言うと

 枕元に近寄った少年が

 「もちろんだよ。ミーシャは何があっても俺が守ってやるよ。だからおばさんは安心して病気を治して」

 そう微笑みながら言うと

 「そうね。ありがとう」

 女性は小さく笑って、目を閉じた。


 翌日、眠るように亡くなった女性の葬式が行われ、小雨の中、少女と少年は手を繋いで

 亡骸に花を添えた。



 それから五年の月日が経った。


 「もう、父さん、起きて~。ご飯出来てるよ。今日はガレオンの剣の仕上げでしょ。もうすぐガレオンの入隊式なんだから。早くしないと間に合わなくなるわよ」

 母親が死んでから五年の間、ミーシャは家事をこなし、母親から受け継いだ薬草の知識を活かして、近くの診療所で働いていた。

 彼女の一日はまず、朝食を作り続いて父親を起こすことから始まる。

 「ふぁい。もう出来たから、そこの木箱にはいってるだろ。持って行って~。おやすみ」

 鍛冶師であるミーシャの父ダンはそう言うと気持ちよさげな寝息を立てて、布団にもぐりこんだ。

 「んもう。起きたら、ちゃんと食べるのよ。あぁ、これね。へ~高級樹のフォーラじゃない。張り切ったわねぇ。どれどれ」

 ミーシャは枕もとの机の上に置かれた長方形の木箱をパコッと開けた。

 その中には、華美な装飾は一切なく鞘の上部の真ん中に三ルジ(1ルジ=1センチ)ほどの蜂蜜色の宝石が埋め込まれ、その両横に小さな瑠璃色の宝石が埋め込まれていた。ただ、先端までびっしりと唐草模様の細かい細工が施され、柄には先端に鞘とお揃いの小振りだが蜂蜜色の宝石がついており、ほかには一切の装飾はなかった。

 「地味なような派手なような…。あ、この鞘と柄の装飾は、ジャックスさんだ。うわぁ、えらく気合入ってるわねぇ。まぁ、成人と就職の祝いだもんね。」

 ふたを閉めたミーシャは、よいしょと木箱を持ち上げて、部屋を出た。そのまま家を出て、右隣の家に向かい、

 「おはようございます。ガレオンいるー?」

 ノックと同時に玄関のドアを開け、誰もいないと分かると

 「おじさんもいない。もう仕事?早いわね。それにしても無用心ねー。まぁ、泥棒なんてこんな小さな町にいたらすぐ判るもんね。ってことは警吏の隊舎かな」

 とドアを閉めて、今度は町の中心部に向けて歩き出した。


 町の東西南北を走る大通りを北に向かい、町の中心にあたる噴水のある中央広場を通り抜けて右側のかどに建つ堅苦しい外観の建物がこの町を警備している警史隊の隊舎になる。右側に玄関ドアが真ん中から左側は中から外を見れるように大きく窓があるが、ガラスはない。そのドアをノックして、

 「おはようございます。ガレオンいますか?」

 ミーシャが声をかけると、中から紺色の隊服を着た隊士が一人出てきた。

 「おはよう。ガレオンなら裏で鍛錬やってるよー。どうぞ。」

 「ありがとうございます。お邪魔します。」

 ミーシャが笑顔で礼を言って中に入り、そのまま真っ直ぐ裏に通じる廊下を進んでいった。

 姿が見えなくなると、出てきた隊士はミーシャが行った方向を見て

 「普段はおしとやかに見えるのにな…。」

 としみじみつぶやいた。



 

幼馴染の片割れが出てこない。おかしいな。

次話で登場のはず。きっと。

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