門の街で。2
戦士隊のほうで支給された携帯食糧、それからこの街で仕入れた携行食糧と、調味料をいくつか。
支給品はドライフルーツを混ぜ込んだショートブレッドなので、干し肉や干し魚を仕入れた。野営のときにショートブレッドをかじるだけなのと、こういう干物のたぐいを使って作るスープなりがあるのとでは、モチベーションが違うしな。
そのへんは辺境出身だけあってデュークもよくわかっているらしく、干し肉の目利きをしてくれたりしたので助かった。
目指すゲートはここから徒歩で1日の距離だから、今から出発すると、さっそく今夜は野営することになる。野営装備は支給されているが…この街は宿場町も兼ねているから、どこか宿にでも泊まって、明日の早朝に出発してもいい。…相方はどう考えてるのかな。
考えていたら、先に聞かれて驚いた。
「どうする?」
…お前はいま俺の考えでも読んだのか。
どうするってな…。俺もそれを聞こうとしてたんだが。
「俺も同じことを聞こうとしてたんだけどな」
「そうか。じゃあ、このまま出発することにしようぜ?」
なぜだ。
内心で入れたツッコミは、相方にふたたび届いたらしい。なかなかにさわやかな笑顔になって、デュークは答えた。
「俺に聞こうと思ったってことは、お前もやっぱり、出だしから楽はしたくないクチだろ?なら初日からこの街で宿に泊まったりしないで、今日はこのまま出発しよう。途中でなにがあるかわからないんだし、行程に余裕があったほうがいいじゃないか」
「…そうだな」
返事をしながら、俺は内心かなり驚いていた。俺が考えていたのとまるっきり同じことを、目の前のコイツは言ったからだ。
見た感じ、デュークは「単純な剣術バカ」にしか見えない。だから、こういったことを、ちゃんとしっかり考えるタイプだと思っていなかった。
…反省しないといけないな。よく知りもしないのに、見た目の印象だけで決めつけるのはよくなかった。
あらためて、目の前のデュークを見る。
荷袋を担ぎなおして、旅装のマントをしっかりと羽織った。
「じゃあ、出発と行こう。…よろしくな、相棒」
「おお。行こう」
ばさっ、とマントの裾をさばいて、俺たちは目標のゲートを目指して、街の北門をくぐった。
さて、主役ふたりがやっと、ロープレで言うところの「はじまりのまち」を出発しました。
次は夜営の会話かな。ふたりにちょっと、お互いのことを語り合ったりしてもらう予定です。
…ちなみに、本来のショートブレッドは砂糖と塩と小麦粉とバターだけで作るもの、だそうですが(←wiki情報)、…近所のお店でふつうに売ってるんですよ、ドライフルーツ入りのショートブレッド。
だから、「あり」ということにしておいてくださいσ(^_^;)