ミサンガ
会議が終わり、翔が会議室を出ようとているゆりあに声をかけようとした時、そこには、奈々枝が待っていた。翔を見つけ声をかけた。
「樋口さん。」
「・・・藤村さん。どうしてここへ?」
「そんなことどうでもいいじゃない。ねぇ、ゆりあ、かっこいいでしょ」
奈々枝が翔の手に抱きついてゆりあに言った。そして続けた。
「私が見つけたんだから・・・ゆりあは手を出さないでね。さぁ・・行きましょう。」
持っていた手を無理やり引っ張った。
その光景を見ていたゆりあ、彼の手に古くなったミサンガが見えた。
ミサンガにはローマ字で”Y.K”と書かれていた。
ちょうど、そこへ、雄太がやってきてゆりあに声をかけた
「ゆりあ」
「雄太さん・・」
「今晩、飯でもどうだ?」
「ごめん・・今日は。懇親会があるの・・」
「そうか、大変だな・・」
そういい残し雄太は去って行った。
無理やり引っ張り出した奈々枝は翔に迫った。
「今晩、つきあってよ。」
返事は、あっさりしたものだった
「懇親会があるから、」
「じゃぁ。今度は?」
「今は、新規の仕事なんで、落ち着くまでは無理だよ。」
かなり落胆する奈々枝だった。
しかし、最近流行の肉食系女子の奈々枝、こんなことではへこたれてはいなかった。
懇親会で、ゆりあは翔と話す機会があった。その時、やはり翔の左手のミサンガがどうも
気になって仕方がなかった。そのことを考えていると翔が話しかけてきた
「石原さんがデザイン担当なんですね。」
「はい。」
「ところで、今回のコンセプトは?}
「そうですねぇ~」
と仕事の話をしつつ、ゆりあは思わずミサンガのことを聞いてみた。
「ところで、そのミサンガ・・・」
「あっ?これ?」
腕を上げ、ミサンガを見せる翔
「そう・・」
「なぜそれを?」
「これ?前にもらったんだ。ところで、なんでそんなことを?」
「あっ・・いや・・ちょっと珍しかったもので」
言葉を濁すゆりあ・・
「そうですか・・」
実は、ゆりあも同じものを持っていた。ただし、ローマ字は”Y・I”の・・・
なぜ、私とおそろいのミサンガを持っているの?
しかも、”Y.K”なの?樋口翔ではないし・・?
懇親会が終わった。