再会
「ゆりあさん・・」
給湯室で、お茶の準備をしているゆりあに声をかけてきたのは、奈々枝だった。
「ななえ・・」
「昨日、大変だったわね。」
「まぁ・・」
「最近の異常気象のせいかしら。」
「かもね・・」
「あっ・・そうそう、今日、あなたのプロジェクトに協力会社の人が来るんだって。」
「ええ・・そうよ。それが?」
「その中にすごいイケメンいるのよ。」
「そうなの?なんで奈々枝が知ってるの」
「この間、親友の裕子とあっただけど、お兄さんがもう・・かっこよくて・・」
「で?」
「たまたま、会社のことを知っていて、聞いたらびっくりよ・・・」
「それで、名前は?」
「ゆりあさんには雄太さんがいるじゃない。」
「そうだけど、気になるじゃないの。」
「樋口さんって人。」
「樋口?」
ゆりあが怪訝そうな顔をする
「そう、どうしたの」
「あっ、いやなんでもない。」
「ゆりあさん、協力してね」
「いいわよ」
「じゃぁ」
そう言って奈々枝は去って行った。
樋口?ってまさかね・・
ゆりあが事務所に戻ると、
「石原さん・・そろそろ会議ですよ。」
「あっ・・いけない」と会議室に向かった。
バタンとけたたましい音と共に
「すみません・・・遅れました。」
そう言って会議室に入り頭を下げるゆりあ・・・
「遅いじゃないか・・・」
「すみません・・」
しまった・・・大事なときにと思い頭があげられないゆりあ。
「まぁ・・いい・・とりあえず座りなさい・」
そう言う上司の一言で、席に座ろうとした時
「大原君だ・・こちらは、今回のプロジェクトで内装のデザインをする東城プランニングの方たちだ。」
「はじめまして、大原です。よろしくお願いします。」
それぞれと名刺を交換するゆりあ
「担当する秋田です。」
一人一人挨拶が始まった。
「設計の岡野です。」
「小宮です。」
「チーフデザイナーの樋口です。」
ゆりあはこの声を聞いて、えっ?樋口?と顔をあげると
そこには
大銀杏の寺で会った彼がいた。
「はじめまして・・・石原です。」
驚いたゆりあだったが形式通りのあいさつをした。
それを聞いた翔は驚いた。
しかし、
彼女が知られたくないのだろうと思った彼は挨拶をあわせた。
「はじめまして。」
こうして会議が始まった。