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二人

病室を出たゆりあ・・


ただ・・


ただ・・・


悲しみが止まらない。


すぐに、タクシーに乗り、家に帰った。


その頃、裕子はこれまでのことを話した、ゆきえの死・・


ゆりあとの出会い、


そして


事故まで


しかし、翔は、ただ困惑するだけだった。





部屋で一人泣く、ゆりあ・・・


携帯がなる・・携帯をみると、裕子からだった。


しばらくして、携帯をとった。


「もしもし・・・」


「ゆりあさん・・・私、」


「裕子さん・・」


「今日、ごめんね。」


「・・・」


「どうも、記憶が混乱したみたい。」


「そう・・」


「だからお兄ちゃんを責めないで・・・」


「わかったわ・・」


そして、ゆりあは決意した。もう彼に会いに行かないことを、





ゆりあが見舞いに来なくなってから数日が過ぎ、翔は退院した。


数日後、ゆりあの姿は、ゆきえの墓の前にあった。


ごめんなさい、お姉さんの彼だもんね・・


付き合うのも反対よね。


ごめん・・


気付かなくって。


今日で、彼のことを忘れるから。


墓前で一人心で話しかけていた。


気付くと涙がほほをつたわっていた。


しばらくして。


涙をぬぐって、立ち上がるゆりあ。




境内ですべて葉の落ちたイチョウの木を見た。


そして、


初めて翔と会った時を思い出した。


写真を撮っていた位置にゆっくり歩き、両手でカメラのフレームをつくり覗いていた。


すると


チラリチラリ


雪が舞ってきた


あっ・・・雪だと思いつつ空を見上げ、再びフレームの中を見た。


そこには翔の姿があった。


驚いたゆりあは、ただ雪の中にたたずむ彼をしばらく見つめた。





翔はゆりあに気付き近づいてきた。


「あの~」


そう声をかけ、さらに近づく翔


「はい・・」


「ごめん・・・この間」


「いえ・・・」


うつむくゆりあ。


翔はただ、彼女を見つめていた。


「ちょっといい?」


彼女を連れて、ゆきえの墓へ行った。


「どうしてここへ?}


「裕子から聞いて・・」


「そう・・」


「あいさつしとかないと・・・」


そう言って、翔はゆきえの墓に向かった。


一人拝んでいる翔は、おもむろに立ち上がり、彼を見つめる


ゆりあの方へ振り返り歩みだした。


そして、ゆりあをそっと抱きしめた。


ただ呆然と立ちすくむゆりあ・・・


その耳元で翔はささやいた


「ごめん・・君が来なくなって・・・ただ・・・ただ・・君に会いたかった。」


「うん。」


「これから一緒にいてくれないか。」


「うん。」




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