本心
慌てて駆けつける裕子・・・
「ゆりあさん!!お兄ちゃんが倒れたって。」
「ええ・・」
落ち込むゆりあ。
「ご家族の方ですか・・・」
「はい・・」
答える裕子
そして、先生に呼ばれて行った。
暗くなって戻ってきた裕子・・・
「どうだったの?」
「とりあえず、応急処置ですんだんだけど・・・」
「けど・・・」
「再度、手術が必要だって。」
「どういうこと?」
裕子は医者の言葉を思い出した。
「脳内で出血してます。今日は、とりあえず血を除くことが出来ましたが後日、止血しないといけません。ただ・・」
「ただ?」
「記憶に障害が残るかもしれません。」
「そんな・・」
しかし、裕子は、障害の可能性については、言うことが出来なかった。
「ゆりあさん・・今日は大丈夫だから」
「そう・・」
ゆりあは、家に帰った。
その翌日、ゆりあは、初めて自分の母と兄に会うことになっていた。
顔合せはとあるホテルのカフェだった。
緊張するゆりあ・・・その横には、父が一緒にいた。
やがて、母親と兄があらわれた。
「こんにちは・・」
お互いよそよそしい挨拶のあと母親が謝ってきた。
「ゆりあ・・ごめんね・・」
「そんな・謝らないでよ・」
「あなた・・ゆきえとちがって私似ね・・」
「えっ?」
不思議がるゆりあ
「これ・・」
母親は、写真を見せた。
「これは?」
「あなたのお姉さんよ。」
「えっ?」
驚くゆりあ・・・
そこには、ゆりあと全く違う雰囲気の女性の写真が
「私達双子よね・」
聞きなおすゆりあ
「そうよ・・二卵性のね・・」
家に戻って考えるゆりあ、翔の手術は明日に控えていた。
そして、昨日の自分の行動を後悔していた。
なぜ・・?
素直に?
本当は自分も好きなくせに・・・
どうしよう・・
そう思い悩んでいるとそこへ携帯が鳴った。
「もしもし」
「あっ!ゆりあさん?裕子だけど・・」
「はい・・」
「明日、手術前に絶対来てね・・」
「でも・・」
「でも・・て?」
「昨日、わたし・・」
「聞いてるわよ・・おにいちゃんから・・・」
「えっ?」
「本心を伝えたいからって・・」
「本心?」
「じゃぁ、来てね。」