どうしたらいいの?
この日は、前から雄太と会う約束をしていた。
ゆりあにとっては、いつものことであったが、いつもと違うことがひとつだけあった。
それは夕食を食べる場所を教えてくれないことだった。
一体どこなの?と思いつつ会社を出るゆりあ・・・
その時、ゆりあの携帯が鳴った。
「はい。」
「ゆりあか?」
「雄太さん?一体どこ?」
「前!!ま・え!!」
ゆりあが目の前を見ると車から手を振る雄太がいた。
「雄太さん、どうしたの?」
「まぁ・・いいから。乗れよ。」
ゆりあを乗せて雄太の車は走って行った。
しばらくして、二人はレストランに着いた。
その頃、奈々枝は、翔を連れて食事に来ていた。
「そろそろね・・・」
「なにが?」
「どうしようかな?言っちゃおうかな?」
「なんだよ・・もったいぶって」
「実は・・・」
レストランで食事をするゆりあと雄太
デザートが出てきた頃に、
「これ・・・」
雄太が指輪ケースをゆりあの前に出した。
「これは?」
「あけてみろよ」
ケースを開けるゆりあ・・・
そこには、婚約指輪があった。
指輪を見つめるゆりあに
「結婚してくれないか?」
雄太が語りかけた。そして、ゆりあを見ると
両目に涙を浮かべ、やがてほほをつたわって落ちた。
「結婚してくれるね。」
雄太が念を押すと
「・・・・・」
「えっ?今?」
「ごめんなさい・・」
か細い声が出た。
「うそだろ・・・ゆりあ・・」
「ごめんなさい・・・」
立ち上がり、その場を去って行った。
追いかける雄太・・・
「待てよ・・」
その頃、奈々枝と翔が
「どうしても行くの?」
「ああ・・」
「なぜ?」
「わからない。けど・・・」
翔が走って行った。
走って何になる?と自問自答しながら翔は走った。
ゆりあに追いついた雄太。
「どうしたんだ?」
ゆりあの両肩を持ち、自分の方を向かせて聞いた。
「ごめんなさい。」
ただ言うゆりあ
「謝るだけじゃわからないだろう。おい・・」
それを聞いて
「私に、はいと答える資格がないの・・・」
「どういう意味だ。」
「わからないの。」
「やつか?樋口か?」
「わからないの。」
雄太を振りほどいて走った。
そして、赤信号の横断歩道へ突っ込んで行った。
「あぶない!!」
叫ぶ雄太
クラクションの音と共にキキッーというブレーキ音が鳴り響く
ドンという鈍い音が鳴った。
ふと見るとゆりあは、元の歩道へ飛ばされていた。
そして、路面には、翔が横たわっていた。
それを見たゆりあ
「樋口さん!!大丈夫?」
救急車で運ばれる二人・・
軽症だったゆりあは、雄太と処置室の前の椅子で待っていた。
「どうしよう・・・」
涙を浮かべるゆりあ
「だいじょうぶだ・・」
慰める雄太。
「お兄ちゃん。大丈夫なの?」
裕子があれわれた。
そして、処置室に呼ばれた3人、
「軽症です。大丈夫です。」
よかったと喜ぶ3人に医者は
「頭を打ってるみたいです。だから、来週にでももう一度、病院へ来てください。」
病室で目を覚ます翔、そこには、ゆりあと雄太そして、裕子がいた。