ルールに殺される：この呪われた目で怪異を封じ込める

21世紀の日本。人々はとうに怪力乱神を時代遅れの迷信と見なしていた。しかし、彼らは知らない。世界が静かに〝本来あるべき姿〟へと回帰していることを。
深夜の団地で最初の不気味なノックが響いた時、科学では説明不能な死が蔓延し始めた時、〝怪異〟と名付けられた超常災害が、疫病のように蘇る。物理法則に縛られず、自らの〝ルール〟に従って無慈悲に命を奪う。それらは――殺すことができない。
ごく普通の高校生、神谷徹（かみや・とおる）の日常は、ある怪異事件を境に木っ端微塵に砕け散る。死の淵で生き残るため、彼はあまりにも大きな代償を払い、一体の恐るべき怪異と危うい共生関係を結ぶ。霊的な存在を視る〝呪眼〟を手に入れてしまったのだ。
かくして、神谷徹は人間と怪異の狭間に立つ〝宿主（しゅくしゅ）〟となった。彼は内に宿した怪異を以て、他の怪異に対抗し、ルールの狭間で足掻き続けなければならない。だが、彼が向き合うべきは、外に蔓延る恐怖だけではない。いつ自身を喰らい尽くすとも知れない、内なる悪夢そのものなのだ。
これは英雄の物語ではない。崩壊しゆく世界で、生きるために手段を選ばない、ある高校生のサバイバルレコードだ。深淵を覗く時、彼自身もまた、更なる深淵と化していく――。