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祓い水  作者: 小鳥 遊
4/4

4:エピローグ

 あれから、数年がたった。俺のまわりに、水害は減りつつあった。

お水様とやらは、どうして俺を狙ったのだろうか。そして、町の住民を流したのだろうか。

ようやく、パソコンや動画サイトでも清水町の失踪事件が話題になった。ある都市伝説系のチャンネルでは、原因は村時代の因習ではないかと噂されていた。

因習の中では、水源のなかった村から水を引くために雇われた霊能者が川を作ったとか。けど、そのせいで地盤が緩んで、数十名死亡したという。その恨みで、村人は霊能者を井戸に沈めたと......。そこから、祟りが頻発して、鎮めるために「お水様信仰」が始まった。という内容だった。


「に、兄さん......?」


 俺は、唖然とした顔でその動画を確認していた。その動画で、信仰の話を嬉々として語っていたのは、「雨宮 崇」と名乗る男だったからだ。俺の兄と同じ名前だ。目元も似ている。ただ、あのときの兄よりふくよかで、山伏の被る兜巾(ときん)のようにペットボトルを乗せて、動画投稿者を引かせている。

さらに「雨宮 崇」は語った。


『【雨】だとか【水】とかそういった水にまつわる名前を持つ方は、あの町に......。もうないので地域ですけど......。とにかく、あの地域にはいかないで下さい。お水様の祟りが降りますから......』


 俺の知っている兄は死んだと思いたい。そうだとしたら、目の前に映る「雨宮崇」は一体、誰なのだろうか。俺は兄の事を、あの町の記憶ごと消すことにした。思い出の中の、俺を助けてくれた兄の想い出だけを内に秘めて、俺は両親の墓にペットボトルに入った水を供えた。


これでまた、水難が減るはずだ。

完結しました。

お読みいただきありがとうございました。

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