プロローグ
こんにちは、キュリアスカイです。
新シリーズ「スカイフェアリー」始まります。
擬人化された軍用機との日常をお楽しみください!
――青い空が、地球を包んでいた。
透き通るような快晴の下を、鳥が飛んで行く。
――人類は夢見ていた。
あの空を、鳥のように飛べたなら。
その夢は百年以上前に、ある2人の兄弟の手によって叶えられた。そう、飛行機の誕生だ。
人類が長らく叶えられなかった「空を飛ぶ」という夢を叶えた飛行機は、世界中の人々に希望を与えた。
――だが、その夢は血塗られた夢でもあった。
第一次世界大戦に実用化された軍用機は、当初偵察機であり、直接戦闘に参加することはなかった。
しかし、その後戦闘機と爆撃機が開発されると、飛行機は空の悪夢となった。
戦闘機同士で機関銃を撃ち合い、爆撃機は爆弾を投下し、大地を焦土に変えた。
その構図は第二次世界大戦も変わらず続き、現代に至っても変わっていない。
人々の空を飛びたいという夢が、多くの人の命を奪ったのはなんとも滑稽な皮肉である。
――だが、本当に軍用機は人を傷つけることしかできないのだろうか?
人々を、平和を、守るために飛べたなら……どれだけ素晴らしいことだろうか。
ひとつの魂が、なにかと結び付いた。
――深い深い海の底、光が目蓋に差し込んだ気がした。
重たい記憶の海。鋼鉄の意志と、燃え尽きた空の残響。
――そして、悲しい誰かの断末魔。
それは、かつて空を駆け抜けた飛行機の記憶だったのかもしれない。
「……ここは、どこ?」
声がこぼれる。だが、誰のものかはわからない。
心臓の鼓動のように、遠くでプロペラの音が鳴る。
そのとき――蒼穹が開けた。
陽光が降り注ぎ、魂は形を持った。
鋼の翼を模した装備。戦うために生まれた少女の姿。
――スカイフェアリー。
それは、飛行機の魂が人と想いを交わした存在。
もう一度、空を守るためにこの世界に舞い降りた者たち。
そして今――日本の空を守るため、彼女たちは学び、飛び立つ。