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心の傷跡  作者: reno
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第6話

打ち明けた日。


心に深く刺さっていた棘を少しずつ解き放つ。


棘が今は抜けたような気がする。


今はぽっかりと開いた穴を少しずつ塞いでいく。


その穴も松田さんのおかげであと少しで完全回復まで漕ぎ着けたのかもしれない。


それくらい今はスッキリしたような。


そんな気がするんだ。



いつも通り松田さんと過ごしていた。


最近は受験が始まって、忙しい日々を送っていた。


高校2年生から無事進級して、3年になった。


3年になってからは忙しくて遊びに行けていない


もちろん僕も大学に行こうと考えている


オープンキャンパスに行ったり、資料を取寄せたり、勉強をしたり。試験があったり。


2年に比べてかなり忙しくなった。


松田さんも大学を目指すということで忙しくしている。


それでも、一緒に帰ったりなど。


たまには息抜きをしに、図書館に行ったりなど。


ふたりでいる時間も少しずつ取っている。


「伊藤くん。そういえばさ」

「うん。」

「私たち結構仲良くなったのに未だに苗字呼びだよね」

「あー、確かに。気にしたこと無かった」

「もうそろ名前呼びにする?」


確かにいつも苗字呼びだった。


いつもの事だったので、気にせず使っていた。


「ヒロと学校から一緒に帰るの久しぶりだな」

「確かに。最近、千晴と帰れてなかったね」


なんか改めて名前呼びすると少し恥ずかしい


「なんか恥ずかしいね」

「うん。まだ慣れないね」



千晴も同じことを考えているみたいだ。



ワイワイと世間話をしていたら、前方から同い年くらいの男子集団が居た。


ちらりと横目で確認して。特に気にすることも無く、すれ違うと思っていたが。

ヒロ? という懐かしい声が聞こえた


「え?」

「ヒロじゃん!」

「リ、リョウタ」

「久しぶりだな、ヒロ」

「あぁ、久しぶり」



まさかここで会うとは思わなかった。


男子集団も驚いたらしく、リョウタに誰だよ。と質問攻めに遭っている。


「この前話してたリョウタって人?」

「うん。」


「元気にしてたか?ヒロ」

「まぁね」

「いつも通りひとりぼっちなんだろ?学校でも

その女しか友達いないんだろ」

「えっと、その」


「ヒロくんは友達いっぱい居るよ!!」


千晴が、そう叫んだ。


「誰だよお前」

「ヒロくんの親友!いや、彼女かな」

「はぁ?彼女?ヒロに出来るわけねぇだろ」



彼女〜!?


千晴が発した言葉に驚きを隠せなかった


心臓が取れそうなくらいバクバクと音が鳴っていた


「ヒロくんはすごく礼儀正しいし、みんなに優しいし、いつも静かだけど話しかけたらいっぱい話してくれて面白い話もしてくれるし!とっても紳士的なんだよ」

「ヒロはな、殺人鬼なんだぜ?」

「ヒロくんから聞いたもん!ヒロくんの両親は事故で亡くなったんだよ!」

「事故?そんなんヒロが殺人鬼であることを隠すための嘘でしかないだろ」

「ヒロくんは嘘なんてつかないもん!」

「そうかよ!だったら、そうやってヒロの嘘に付き合えばいいじゃねぇか!馬鹿女!」

「馬鹿女でいいですよーだ!私は今のヒロくんが好きなんだもん!」



リョウタの集団はそそくさとその場を去った


僕は唖然としていた。


心臓が未だにバクバクしている。


ちらりと千晴の方を見たら、頬を赤らめていた


「その…千晴?」

「今とても恥ずかしいから、私の方見ないで!」

「わかった」


しばらくその場で立ち尽くしていた。




「その、少し言い過ぎたかな」

「いや、とっても嬉しかったよ。僕のために頑張ってくれて」

「良かった。ヒロ困ってるかなって」

「まあ、少し驚いたけど。」

「ごめん。」

「謝ることないさ。その…さっきのは本心と受け止めても」

「うん。本心だよ」



その日はすぐに家に着いて帰ったけど。


また2日後に、改めて話そうと約束した。




その日はいつもの公園ではなく。少し綺麗な景色が広がる大きな広間に来た


今日は告白しようと意気込んでいた。


出会った日から半年ほど。


最初は委員会の仕事で話し始めた自分たちだったけど。


一緒に過ごしていくうちに心に変化が現れた。


千晴の過去を知って。


自分の過去を打ち明けて。


千晴には色んな面で助けてもらった。


僕は千晴がいないと生きていけない。


千晴という心の支えが欲しい。


だから、告白する。


この前はリョウタを追い払うためでもあるかもしれないが。千晴に先に想いを伝えられた。


ここは男として改めて告白をしたい。


そう思った



「千晴。」

「ん?」

「その、色々待たせてごめん。気が弱くて。鈍感でごめん。ビビりでごめん。千晴に先に言わせてしまってごめん。ここまで色々謝ってきたけど。」


「千晴のことが好き。」


「これが僕の本心です。少し待たせてしまったかもしれないけど、自分からきちんと想いを伝えたくて。今日はここに行こうと自分から誘いました。」


「僕と付き合ってください!!」


千晴は驚いた表情していたが、すぐさま笑顔になって

こう言った



「はい!よろしくお願いします!」



ほっとした。初めてした告白。


緊張したけれど、上手く言えたかな?


ここからまた新たな人生が始まる。


過去のことは忘れて、千晴との新しい、楽しい思い出で過去の傷を。


()()()()を癒していこう


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