第4話
デート?の日から一週間が過ぎた。
未だに楽しかったなぁ。と余韻に浸っている
あれから毎日のように放課後どっかに遊びに行っていた。
遠くまで散歩したり、公園に行ったり。
近くにある小さなショッピングモール的なところに行ったり。
とにかく色んなところに行った。
そのおかげで松田さんとはだいぶ仲良くなったと思う。
いつも通り授業をこなして。
適当に日々を過ごす。
でも、放課後だけは違う。
楽しみだった。
日に日に松田さんがかわいいなと思うようになってしまう。
服装がかわいい、笑顔がかわいい、たまに真顔になる顔もかわいい。仕草がかわいい
とにかく、松田さんのことがかわいいと思ってしまうんだ。
これが世間的に「恋」と言われるのだろう。
でも、僕には分からない。
したことがないのもあるが。
人を信じられない部分がある。
こんなにも自分がかわいいとか。思ってしまうのに
松田さんのことを今でも完璧に信じられているか。
そう聞かれると。多分「いいえ」
そう答えるだろう。
これが僕のダメなところなのかもしれない。
「伊藤くん!今日は公園に行こ!」
「公園?この前も行ったね」
「うん!でも、公園でブランコに乗りながら話すのが好きなの」
「いいよ。行こうか」
「やった。楽しみだなぁ」
今日は公園の気分らしい。
大抵行く場所は彼女が決める。
僕は決められない。
彼女と行けばどこも楽しいから。
でも、今日は聞きたいことがあった。
「わーい、ブランコだー」
「転ばないようにね〜」
「うん!」
こうやってたまに子供のようにはしゃぐ彼女が
かわいい
「松田さん」
「ん?」
「聞きたいことがあるんだ」
「どうしたの?改まって」
「その…なんで僕と仲良くしてくれるの?」
「え?そんなの友達だから」
「でも、その僕だけじゃなくて女子とも仲良いでしょ?最近僕とばっか遊んでるような気がして」
その言葉を言った瞬間、彼女は驚いたような表情を見せた。
そして、考え込むような。そんな顔をした
「伊藤くん。」
「ん?」
「これは私の過去の話なんだけどね」
「過去?」
「うん。少し長くなるんだけど」
「うん」
「私ね、彼氏がいたの。2年前くらいかな。
小学校4年生から付き合ってたんだけど。
とても仲良かったし、愛し合っていたと思う。
毎日のように遊んで、毎日のように笑って。
毎日がとっても楽しかったんだ。
でも、ある日私は見てしまったんだよね。
彼が浮気してる所を。彼がカフェで女の人と一緒にいるところ。
その瞬間絶望したよ。愛し合ってるんじゃないんだ。そう思ったよ。その後すぐに彼のことを問い詰めたよ。どうして?って。その時はすごく怒っていたから。自分でも分からないくらい問い詰めてたんだ思う。話が終わって。走って家に帰ったよ。
もう彼の顔を見たくなかった。でも、冷静になった時に言い過ぎたなと後悔して。明日絶対に謝ろうと思ってね。学校に行ったんだ。でも、彼は来なかった
心配になって彼の家を訪ねたら、衝撃だった。
亡くなった。そう聞かされたよ。」
「亡くなった…」
「うん。彼はあの後私に謝ろうと手紙を書いたんだ。そして、プレゼントを買いに行った。
その帰り道に信号無視の車にはねられたんだって。
絶望だったよ。本当に申し訳ないことをした。
彼の話も聞かずに怒りに身を任せて、問い詰めてしまったこと。彼の葬儀に出席して。棺に入ってる彼を見たよ。安らかだった。事故なのに顔にひとつも傷がなく。いつもの彼だった。その顔を見た瞬間泣き崩れたよ。なんて酷いことをしてしまったんだろうって」
松田さんは泣いていた。
ぼろぼろと涙を零していた。
辛かったんだろうな。後悔したんだろうなって。
思わず彼女の背中をさすったよ。
その後は手紙の内容も聞いた。
彼が女の人と居たのは。いとこで。
よく遊ぶ仲だったこと。
真実を話せなかったこと。愛していたことが書いてあった。
そう話していた。
「落ち着いた?」
「うん。ごめん。急に泣き出して」
「大丈夫だよ。辛かったよね。後悔したよね」
「うん。彼には本当に申し訳ないことをした」
やっぱり、人には言えない「秘密」
というものがある。
どれだけ信頼しあっていても。
愛し合っても。
話せない秘密。後悔。
そうゆうものがある。
人は秘密を抱える生き物だ。
僕にもあるように