七十四話
「クライシス、今度のバーベキューでやるミニゲームで何か良いものでも思いついたか?」
「普通にバドミントンやサッカーのフリーキックで良くないですか?」
「………あぁ、たしかに。だけど男女差とかあるしなぁ」
「素人同士なら、そこまで差は無いと思いますけど?どうしても気になるなら適当な重しをつけてハンデをつければよいですし」
「まぁ、そんなものか………」
サークルの部屋まで歩いている途中で二人で話し合っていく。
内容はバーベキューでやるミニゲーム。
「それに何を焼いているのか見せたりすることを考えると、そんなに時間が無いでしょうし」
「そうなんだよな。だとしたらミニゲームはできても一種類か二種類ぐらいか。あと個人戦にするか集団戦にするか決めてないし」
「それを今日、決めるんですか?」
「できればな。今日は全員サークルに集まるみたいだし多数決で決めようかと思っている」
一番問題なく決めるなら多数決だなと頷くクライシス。
皆で決めたことだから責任は分担するし誰か一人だけ悪いことにはならない。
多数決で決めたのが悪いという奴も出てくるかもしれないが、それはそれとして最終的に多数決に頷いた責任は残る。
「じゃあ今日である程度の内容は決めるんですか?」
「そのつもりだ」
「あっ、来ました」
「これで後二人だな」
話をしていると部屋の前に着き、中に入ると既にシクレとビースがいる。
残りは後二人というように、たしかに来ていない人たちもまだいるらしい。
最後でないことに安堵しながらクライシスは適当な席に座った。
「さてと……」
クライシスが座ったのと逆にフレールはホワイトボードの前に立つ。
何をする気なのかと他の皆と首をかしげる。
そこに書かれたのは『バーベキューの配信について』。
更にミニゲームの内容や集団戦にするか個人戦などや罰ゲームの最低限のラインも書かれている。
「いっぱい決めることありますね」
「めんどくせー。適当に案を出して多数決で決めようぜ。ぶっちゃけ食べるのが楽しみだからミニゲームとかどうでも良いよ」
「配信する必要がありますから、そんなことは言わないでください」
ビースの本音に苦笑してしまう面々。
少しだけ気持ちが理解でしまう。
配信なんて関係なく楽しみたい気持ちも確かにあった。
「しょうがないだろ。むしろ、この配信のお陰で普通にやるより金もかからないんだぞ」
「そうだけどさ……」
だが配信をするお陰で事務所からもお金が出てくる。
そしてスパチャが流れてくれば、その分だけ金も戻って来る。
そう考えるとやった方が遥かにお得だ。
「すまない、遅れた」
「私達で最後?遅くなってごめんなさいね?」
そうしていると最後の二人も入ってくる。
これで全員が揃った。
「申し訳ありません!遅れました!」
「ホワイトボードに何か書かれていますね」
片方はホワイトボードに書かれている内容を興味深く眺め、もう片方はクライシスより遅れてきたことに顔を青くして謝罪する。
「別に気にしてませんよ。それよりもホワイトボートに書かれている内容を確認してくれませんか?あの中から多数決で決めようかって話になっているので」
「ふーん」
「わかりました!」
多数決で決めることになったことに特に不満はない二人。
この中から決めるとなるとしっかり確認しないとならない。
「あっ、他に良い案があったら遠慮しないでください。それも含めて考えようと思いますので」
「そんな急に言われても特に思いつかなわよ?強いて言うなら罰ゲームは上限を設けるべきだとは思うわね。あまりにも内容が酷かったり無茶振りされてもできないのもあるでしょうし」
「そうですね。……なら一発芸縛りにしませんか?その場で出来るでしょうし」
「それは良いな。クライシスはどう思う?」
「賛成です」
「あと念の為に罰ゲームの内容は先に確認しないか?何の罰ゲームかはくじ引きで決めればよいだろうけど、どうしても出来ないのは除外しないといけないし」
「それは良いわね」
次々と話し合って決めていく配信者たち。
このまま今日で全て決まりそうな勢いがある。
「それじゃあ多数決で決めていくぞー!」
「「「「「おー!!」」」」」
その勢いに流されて全員が拳を上げて賛成する。
決めるのはミニゲーム、場所、罰ゲームの範囲。
様々なことを決めていく。
「ほとんど決まったな……」
「あとは実行日ですけど全員、大丈夫なんですか?」
「急な出来事がなければ大丈夫だろ。あとは誰が何を準備するかだな。………クライシス、頼んでもよいか?」
「別に良いですけど、何を持っていくか念の為に確認して貰ってよいですか?土壇場になって足りないとか嫌ですし」
「わかった。俺がいく。あと個人的に必要だと思うのは自分で持ってこいよ?もしかしたら必要ないと考えて持ってこない可能性もあるし持ってきても人数的に足りなくなる場合が出るかもしれないからな」
「やっぱり私も行く」
「俺もいかせてください」
「私も」
フレールの発言にサークルの皆が自分も確認したいと声を上げる。
「じゃあ全員、一度俺の部屋に来ますか?」
「「「「「行く!」」」」」
もういっそ全員で自分の部屋に来たほうが良いんじゃないかとクライシスが考え提案すると全員が頷いた。




