六十八話
三話(配信回)、九話(配信回)の後に掲示板回を追加しました。
掲示板回が嫌いな方はスルーしても大丈夫です。
「クライシス、昨日は楽しかったな!」
「ありがとうね!狙っていたんでしょ!」
「またやろうぜ!」
「昨日は何回も言ってた気がするけどバーベキューになったのは予想外だからな?それと次もやるとしても絶対に学校には連絡しないで。学校行事になったら色々と制限をつけられそうで嫌だし」
「そこまで必要?まぁ先生が来ても微妙な空気になるから連絡や相談はしないけど」
翌日、クライシスが登校すると早速とばかりに話しかける生徒たち。
久々にすごく楽しかった。
その切っ掛けどころか狙っていたのだから感謝しか無い。
「それで次はいつバーベキューできそうだ?」
「………そんなに気に入ったの?俺は勉強とか配信とか特訓とか、あと希望者を鍛えたりとかしてるから自発的に皆を巻き込んでイベントを開催しないぞ。どちらかというと余った時間にイベントがあって気が乗れば参加するぐらい」
「昨日はやってくれたのに?」
「昨日はあそこまで大きくなったのは予想外だったって言っているんだろうが。お前らでやれ」
「えー」
あのクライシスが主催したというから集まったのもあるのに残念だと思う生徒たち。
どうしたら、やる気が出るのか悩んでしまう。
「そもそもなんで人が集まったんだよ」
「腹が減る時間にソースの焼けた匂いをさせたら何人来るんだろうなという実験と興味本位。まさかあんなことになるなんてな」
「………」
クライシスの説明に当たり前だと感じる生徒たち。
お腹を空かせているところにそんな匂いをさせられたらたまったもんじゃない。
腹を鳴かせて突撃するに決まっている。
「いや。人が来るのも当然だろ」
「少しは遠慮すると思うんだが……」
「せっかくのチャンスを逃したら次は無いだろ」
「チャンス?」
クライシスは理解していないが色んな人と仲良く慣れるチャンスだ。
仲良くなる相手の中には当然先輩もいるし逃す手はない。
「そうそう。学年が上の先輩とか同じサークルの人しか関わることは基本無いし。他の先輩と関わりを持てるチャンスだろ?」
「俺が鍛えているときに関わったりしないのか?始まる前までの時間とか」
「ほんの少ししか時間がないから無理だ」
「なるほど……」
もう少しゆっくり行って時間を作るべきか悩み、そして即座に首を振って否定する。
よくよく考えれば終わった後にも時間があるから、そのときに関わりを持てば良い。
終わったら体力が尽きて、そんな余裕がないとかは考えない。
いずれ余裕が出てきて関わる機会は増えるはずだ。
「まぁ、頑張れ」
「頑張れって」
クライシスには応援することしかできない。
生徒からすれば不満かもしれないが理解してほしかった。
「よう、クライシス。組手をする相手が決まったぞ」
「わかりました。それじゃあ来週に配信する準備しておきます」
放課後、サークルの部屋に集まるとフレールが組手相手が決まったとクライシスに伝える。
「あっ、その時手伝いとして俺も一緒に配信に参加して良いか?組手はしないから」
「良いですよ。何時間も戦うのもあれですし、時間を決めてそれが過ぎたら報告ってのも良さそうじゃないですか?」
「時間制限ありか……。わかった、やってやる」
「ありがとうございます」
来週配信する予定の組手をする相手が決まったから、どういう風に配信するのか話し合う二人。
それを横目に見てある程度決まって落ち着いたらビースが後ろから抱きついて意識を自分に集中させる。
「何のようですか?」
「話は終わったな?なら今度わたしたちでバーベキューしながら配信しようぜ!」
「………そんなにバーベキューにはまったんですか?一応言っておきますけどノリで行動できたから楽しかったのであって毎回楽しい訳ではないと思いますよ。最初から何をするかなんて決めてたら途中から、つまらなくなりそうですし」
「なら途中から罰ゲームありのミニゲームしない!?内容はそれぞれ考えたのを箱の中に入れて罰ゲーム担った人がそれから引いて実行させるやつ!」
「ミニゲームって何をするんですか?」
「それこそ適当に色んなものを持っていって、それから決めるわよ!リスナーを楽しませるために配信をしているし自分たちは美味しいものを食べたり遊べるから一石二鳥よ!そのためになら、ちょっとした不便も我慢しないと!」
「それもそうですね。………他の皆はどうなんですか?」
「良いぞ。面白そうだし」
「そうですね。皆で美味しいものを食べましょう」
「是非、ご一緒させてください!」
「どこでバーベキューする?どうせなら広い場所が良いですよね」
皆が乗り気だ。
おそらくは昨日のバーベキューが相当楽しかったのだろうと予想できてしまう。
あれは突発的にやったから楽しかったのもあると思うから、次は計画的になるだろうし昨日よりはつまらなくなりそうだと想像もしてしまう。
だけど余計なことは言わないでいようと黙る。
それに、せっかく視聴してくれるリスナーのためにはしょうがないかと納得もしていた。




