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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
八章 学園の皆でバーベキュー

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六十七話

「はい、これ」


「おいしそー。これも焼いてもらって良い?」


「招待してくれてありがとうね!」


 少し時間が経つと女子たちも男子寮の前に集まってくる。

 ほとんどの生徒たちが料理を持ってきて一緒に焼いていく。


「いっぱい集まったなぁ」


 今更ながらにクライシスはこの光景を見て感想を口にする。

 誰かが来るのは予想していたが、結果としては想像以上だ。

 まさか学年性別問わずのバーベキューになるのは予想外だった。


「狙っていたんじゃないんですか?」


「ここまでのことになるとは想像もしてませんでした」


「そうですか………」


「さて俺も食うか」


「「「「「「え?」」」」」」


 クライシスの発言にほとんどの生徒が聞き返してしまう。

 まるで今まで一口も食べていなかったような口ぶりだ。


「いや。流石に何か食べているでしょ」


「?今からようやく食べ始めるが?取り敢えず俺はもう何も作らない。後は食べまくる」


「あっはい」


 もう何も作らないという宣言に文句が言えなくなる生徒たち。

 自分たちもクライシスが作っていた焼きそばをごちそうになっていた覚えがあるせいだ。

 そのせいで食べられなかったんじゃないかと思い、他にも同じことになっている生徒がいたら変わろうと考える。


「なら、これをどうぞ」


 それを尻目にシクレはクライシスに持っていた料理を渡す。

 大量の料理がのってあり感謝の言葉も忘れてがっつく。

 ソースの匂いや美味しそうに食べている生徒の皆のせいで少し痛みを感じるぐらいだ。


「どれだけ我慢していたんですか」


 その様子にシクレは少し笑う。

 どれだけ腹が減っていたんだと。

 クラスメイトたちも同じだ。

 そして同時に早く変わればよかったと少し反省する。

 他にも調理ばかりで食べてないやつがいないか心配だった。


「本当にやってる」


「まさかバーベキューを本当にやるなんて……」


「こういうのは本当は先に学園に許可を出してもらいたかったんだが」


 そして先生たちも来る。

 その手には様々な材料や飲み物を持ってきてる。


「色々と言いたいことはあるが先生たちも混ぜてくれ」


「飲み物持ってきたから好きなものを持っていって良いわよ」


 言葉に甘えて多くの生徒が一人ずつ先生が持ってきた飲み物を持っていく。


「お前たちは持っていかないのか?」


 そんな中クライシスたちは飲み物を取ろうとせずに眺めていた。

 その様子に教師の一人が気になって近づいて質問してくる。


「人が多いですし、もう少し減ってからいきます。あと腹が減っているので食べるのを優先したいです」


「私はクライシスくんと一緒に行こうかなって思ってます」


「そうか……」


 クライシスはそれだけを言って食べるのを再開する。

 シクレはその様子を眺めて楽しそうだ。


「それにしても聞いたぞ」


「何がでしょうか?」


「君たちがバーベキューを開催したって。すごいじゃないか」


「私じゃなくてクライシスくんがですよ。どうやら狙っていたみたいですし」


 本当かと視線を向けるが、食事に夢中になっていてこちらの話を一切聞いていないクライシスがいて苦笑する。

 最初からこの調子であり、普段とは違う様子なこともあって不快には思わない。

 普段ならちゃんと返事してくるし、それほど腹が減っているんだろうなとしか思えなかった。


「これも美味しそう……」


 食べ終わったと思ったら別の料理を手に取りに行くクライシス。

 それも大量に持ってきて食べ始める。

 ずっと見ているがもりもりと減っていく。


「すごい食べるな……」


 聞きたいことがあったが、このままでは聞けないと思い落ち着いたところで話し始める。


「これからも開くのか?」


「なんで?」


「なんでって……。狙って開いたんだろ?」


「誰か来るのは予想してたけどバーベキューは予想外ですよ。それにイベントにするのは面倒ですし」


 面倒だから否定しているのか、それとも本気で言っているのか先生は悩んでしまう。

 それでも、こんなことができた生徒はクライシスだけしかいない。

 普通はバーベキューを開いても特定の生徒だけでしか集まらない。


「これからはバーベキューを行事に組み込むべきかな?」


「良いですね!」


「学校のイベンドじゃないから、こんなに集まったんだと思うんで同じようにはならないと思いますよ。学校のイベントがどうかでかなり違ってくると思いますし」


「そうですか?」


「そうかぁ……」


 シクレは首を傾げ先生は心当たりがあるのか頷く。

 やはり生徒が自主的にやるのと学校に指示されて実行するのは違うものなのだろう。

 実際に見ても気合や熱意が違ってくる。


「無理にやろうとすると反発くらいそうだよな」


「わかってる。でも、こうして生徒たちが学年とか個別に組んでいるパーティとは関係なく仲良くしているのを見るとな……」


「まぁまぁ。今はそんなことを考えるよりは食事を楽しみませんか?そういうのは後で良いじゃないですか?」


「そもそも俺が考えることでも無いな。飲み物貰ってきます」


「ん。あぁ、すまない」


 一旦空になった皿を手に飲み物をもらいに行こうとするクライシス。

 シクレもその後に゙ついていく。


「あっ、クライシス!これも美味しいぞ!」


「さんきゅ。飲み物終わってないから、その後で良いか?」


「まだ貰ってないのかよ!さっさと貰ってこい!」


 お言葉に甘えることにするクライシス。

 ついでにあまり関わりのない先生のところに戻るのは嫌だったから丁度よかった。

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