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五話

「はぁ」


 ダンジョンにたどり着きため息を吐くクライシス。

 まだ後ろには誰かたちが後をついてきていて居心地が悪い。


「………まぁ、良い」


 思っていたよりもストレスが溜まるがどうでも良いと判断する。

 それらを解消するためにダンジョンに来たのだから。

 手段は当然モンスターを虐殺することだ。

 モンスターから襲ってくるように自分のオーラなどは消していく。


「あれ?なんかダンジョンに入る前より弱く見えません?」


「そうだな。あれは自分の実力を計られないように実力を隠しているだけだ。本能で動くことが多いモンスター相手には引き付けやすい。かなり有望な実力者だな」


「そうなんですか?モンスターを引き付けやすいって迷惑じゃあ?」


「後衛を守ったり狙われるのを防ぐという役割からすれば便利だ」


「……なるほど」


「まぁ、一人だから今は使う必要はないはずなんだが」


 何を狙っていると考えながら視線を向ける。

 そこでは丁度良く弱い獲物だと思ったのかクライシスに涎と牙を向けてモンスターが襲ってきていた。


「とろい……」


 襲ってきたモンスターの顎に手を添え、そのまま縦に回転して地面に叩きつける。

 グシャリという音が響きモンスターの頭蓋は潰れた光景に気づかれないように軽い悲鳴が上がる。


「さて次……」


 獲物を求めて彷徨うクライシス。

 ついてきた者たちも気づかれないように後を追うために全力で姿を隠して追う。

 冒険者達以外に興味本位でついてきた者たちも冒険者のフォローもあって上手く隠れていた。


「…………」


 人型のモンスターだろうと獣型のモンスターだろうと唯の拳の一振りで頭蓋が潰れ、もしくは吹き飛んでいく。

 人型のモンスターが立ったまま首から上の部分から血が洪水のように吹き出すのは見ていて噴水のようだと場違いな感想が浮かんでしまう。

 少なくとも一人でもダンジョンは大丈夫だと安心させるぐらいの実力があることに冒険者達は安堵する。


「はぁ……」


 そしてクライシスは先程からモンスターが弱く、そして少数でしか襲ってこないことに不満のため息を吐く。

 後ろからついてきている者たちもただ見ているだけ奇襲してくる様子もない。

 最低限の警戒すら無駄な気がしてきている。


「あっ」


 そう思っていたら二桁を超えるモンスターたちが見えた。

 それだけの数が集まっていて丁度死角の位置にいて気づかれていない。

 だからクライシスは踵で地面を蹴り音を出す。


「は?」


「え?」


「なにして……」


 響き渡る音に一斉に視線を向けるモンスターたち。

 そこには弱そうな男が一人いて排除のために襲いかかる。

 後をついてきた者たちも冒険者は武器を抜いて立ち上がり、それ以外の者たちは悲鳴を上げる。


「何やって!………は?」


 クライシスの行動に注意をするべきだと考え苛立ちの声を上げるが次の瞬間目に映った光景に頭の中が真っ白になる。

 モンスターがクライシスへと近づく度に血がモンスターの頭が飛び散り倒れていくからだ。


「舞っているみたい……」


 一切止まることなく流れるように動いてモンスターを殺していくクライシス。

 その姿に思わず踊っているようだと声をこぼしてしまう。


「ふっ!」


 次々と死んでいく仲間にモンスターは騙されたと背中を向けて逃げ始める。

 だが、その一瞬前にクライシスは空中に跳んで回り込む。


「はっ」


 鼻で笑うように気合を入れてモンスターたちの群れに突撃していくクライシス。

 次の瞬間には血の雨が振っていた。



「あぁ、もうっ!楽しかったぁ〜」


 数分してモンスターを殲滅し終わった後、クライシスは顔を上気させて息を吐く。

 その様子に見ているだけで何もしなかった冒険者たちは顔を引き攣らせる。

 モンスターと命のやり取りをしているのにあそこまで楽しそうに、そして気持ちよさそうに戦うのは珍しい。


「それで?」


 そう言って流し目を冒険者達に送るクライシス。

 自分たちもクライシスにとっては敵だと認識させられていることを理解させてくる。


「ず〜っと後を追っていたでしょ?何のよう?」


 モンスターを殲滅して気分が乗ってきたクライシス。

 相手がどう答えたとしても行動次第では攻撃するつもりだ。

 具体的には武器に手をかけた瞬間に行動に移す。


「………気づいていたのか?」


 そう行動の準備をしていると殆どが手を上げてクライシスの前に出てくる。

 残ったのも片手で何かを撮影しているで攻撃してくるようには見えない。

 それを少しだけ残念に思いながらも暴れたので気分が良く見逃す。


「そんなに数がいて?本気で言ってるの?」


 ニコニコと楽しそうに正気かと確認してくるクライシスの言葉が心に突き刺さる。


「いつから気づいていたんだ?」


「最初っから!」


 思わず確認するがクライシスの答えに最初から見逃されていたのだと理解する。

 それでも反応をしていなかったのは何も攻撃していなかったからだ。


「それじゃあ、俺は帰りますので!」


 テンションが高いままクライシスはその場から去っていく。

 後を追ってきた者たちが何もしないのなら、この場にこれ以上いても意味がない。

 今日は気分良く寝れそうだと思っている。

 だけど、もし背中から攻撃してきたら殺してやろうと最後に視線だけ振り返った。

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