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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
七章 モノ欲センサー

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五十九話

「あらクライシス君、もしかしてダンジョンに挑むつもりですか?」


「そのつもりですが?」


「もう遅い時間なのでダメですよ?どうしても挑みたいのなら明日にでもしてください」


「わかりました。どんなダンジョンがあるのか確認しても良いでしょうか」


「…………」


「それもダメですか?」


「あっ、ごめんなさい。それぐらいなら大丈夫だけど時間制限もありますからね?」


「わかりました」


 ギルドにある情報を確認していくクライシス。

 その姿を見てギルドの受付はあっさりと注意を受け入れたことに拍子抜けしていた。

 そのせいで頭が真っ白になって返事が遅れたし、あらかじめ注意されることも想定していたんだろうと想像できる。


「どんなダンジョンを挑むつもりでしょうか?もしかしたら手伝えるかもしれませんよ?」


「…………モンスターが多いか、もしくは罠が多いダンジョン?ただひたすらに探索するだけで罠やモンスターが少ないのはちょっと」


「なるほど………。罠が多いのとモンスターが多いのはどちらが良いですか?」


「モンスターが多いほうですね」


「なら、こちらなどどうでしょうか?」


 そう言って沢山のダンジョンの情報を手渡してくるギルドの受付。

 予想よりも多い情報量にクライシスは圧倒されるも有り難く受け取る。


「へぇ、出てくるモンスターごとに分けているのか……。今回はちょっと濡れてしまうのは嫌だな」


 配信する予定だし濡れてしまうのは何となく嫌だった。

 それに来週には組手をする予定がある。

 風邪を引いて、その話が流れるのは嫌だ。


「これで良いか……」


 選んだのは人型のモンスターが大量に襲ってくるダンジョン。

 モンスターとはいえ人型である以上は組手の予行練習に丁度よいかもしれない。


「もう決めたんですか?」


「はい。取り敢えずこのダンジョンに挑もうと思っています」


「そうですか……。ついでにこのダンジョンに関係する依頼も持ってきましょうか?」


「良いんですか?」


「はい。今は人も少ないから暇ですし、お手伝いさせてください」


「それじゃあ、お願いします。あっ」


「?どうしました」


「まだ予定ですけどダンジョンに挑む時は配信するつもりですけど大丈夫ですか?」


「あぁ大丈夫ですよ。ただ依頼の内容はともかく依頼者の名前とかは出さないで欲しいですが」


「わかりました」


 依頼者の名前は出さないようにして欲しいという言葉に当然かと頷くクライシス。

 だが内容自体は口にして良いみたいだし、そこはリスナーに何をしているのか説明もできてやりやすそうだと考えていた。



「それじゃあ、ありがとうございました」


「いえいえ。気をつけて帰ってくださいね」


 ギルドで受ける依頼を吟味し終わった後、寮へと帰ることにするクライシス。

 気をつけてという言葉に頷くが、少し歩くとニヤけた笑みを向けてくる数人の男女がいた。


「…………」


 ニヤけた笑みを向けられているのは気づいているが先程気をつけてくださいと言われたばかりだから無視して通り過ぎようとする。

 だがどれだけ避けようと距離をとっても近づいてきて、ぶつかってきた。


「おいおい。なにぶつかってんだよ。骨が折れちまってんじゃねぇか」


「うわっ。いたそー」


「弁償しろ、弁償」


 何か言っているが無視して通り過ぎようとするが道を塞ぎながらぶつかってくる。


「おい。逃げんな」


「ぶつかっておいて謝りもしないなんて、さいてー」


 避けようとしても何度もぶつかろうとしてくる。

 その最中、人目につきにくそうな道が見つかる。


「おい!話しを聞いてんのか!?」


「謝れって!」


 何度もぶつかりに来るのを避けながら人目につかない道へと進んでいく。

 途中で何故かぶつかりに来る男女も好都合だと言わんばかりに笑っていて疑問に思う。


「ほら!べ……んぎゅお!」


 完全に人目につかない道へと入り込むと同時にぶつかりにくる男女の一人の頭を殴る。

 そして続けて髪を掴んで丁度よい高さに頭の位置を調節して膝を何度も叩き込む。


「……………」


 手を離すと顔の形が物凄く歪みながら変色しており、だらだらと血を流している。


「ひっ」


「一、二、三、四、五、六。結構いるなぁ」


 指を指して数えると声を上げて怯えられる。

 先程まではニヤニヤと笑っていたから、それが少し面白かった。


「取り敢えず逃さないようにしないとなぁ」


 そう言うと顔を青くして逃げるために背中を向ける。

 だから全員に足に魔法を撃って逃げられなくした。

 そのことに深くため息を吐いてしまう。

 この程度のことで逃げられなくなるくらいに弱いくせに喧嘩を売ってきたのだと。


「取り敢えず二度と喧嘩を売ってこないように壊さないとなぁ?」


 女だろうと関係ないと思い切り腹を蹴る。

 ポキリと良い音がなって骨が折れたのだと理解する。

 痛みにのたうち回っているのを笑いながら、もう一度良い音がならないかなと骨を折るのを繰り返す。


「やばいなぁ」


 途中で口を閉じさせていなかったことを思い出す。

 悲鳴や大声で助けが来るかもしれない。

 だから全員の顎の骨を砕いだ。


「次はどうしようか」


 目に涙を浮かべて見上げてくる男女。

 こんな目にあいたくなかったのなら何で喧嘩を売ってきたのか謎だ。


「関節を外すかぁ」


 骨を折るよりは怪我は軽いだろうと考えながら関節を外していく。

 外す度に声にならない悲鳴を上げるのが楽しかった。


「そういえば鞭打ちって拷問だったんだっけなぁ」


 そんなことが書かれていた本や絵があったような気がすると男のベルトを外して鞭にする。

 男女の悲鳴を違いを確認したくて、それぞれ鞭を打っていく。

 叩いてみて、男より女のほうが赤くなりやすいし目立つ傷になるのがよくわかる。


「うっわ」


 そして最後の一人は失禁して気絶していた。

 起こすのも面倒だから足の怪我を直して持っていたベルトを変わりに持たせる。

 ちょっとした悪戯だ。


「迷惑料も貰っていくか」


 最後に男女たちのカバンやポケットを確認して財布を抜き取る。

 そして、それぞれの財布からお札を抜き取ってから元の位置に財布を戻しクライシスは今度こそ寮へと帰った。

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