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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
六章 鍛錬の配信

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五十八話

「次の配信は組手の様子でもするか?」


「それが良いと思うぞ。コメントでも戦っている姿が見たいと言っていたし」


 戦っている姿が見たいということは組手ではなくてもダンジョンに挑む姿でも良いのかもしれないとクライシスは考える。

 だがずっと組手のことを聞かれていて、それをしないのは文句がうるさそうだと想像して素直に組手をすることに決める。


「後は相手を探さないとな……」


 ため息を吐くクライシス。

 組手をする以上は相手が必要で探す必要がある。

 人によってはまたコラボだ。


「俺はダメか?他にも希望する人は出てくると思うが」


「大丈夫ならお願いします」


「相手は誰でも良いんだ?」


「構いません」


 クライシスにとっては誰が相手でも手加減することには変わらない。

 学園にはクライシスより強い者はいないのも、この考えに拍車をかけている。


「何人までならオッケーだ?」


「十人ぐらい?あまりにもトータルの時間が長くなると切り上げるつもりですけど………。そうなると十人でも多いか?」


「…………なるほど」


 少し考えてフレールは頷く。

 たしかに十人は多すぎるかもしれないと。

 だがクライシスの実力なら少ない時間で相手できそうだし、そうでなくとも協力者として考えれば便利だとも思っている。


「あとは何時やるかな」


「来週で良いんじゃないか?準備や確認も必要だし」


「そうですね。あとは予告配信もする必要があるのか?」


「SNSがあるし、それを使えば良いと思うが」


「………それもそうか」


 それでも一応、予定日も決まったら配信しようかと考えている。

 丁度よい配信のネタだから逃すのも勿体ない。


「何の話しでしょうか?」


「次の配信は組手の予定だけど何時やるか相手はどうするか話し合っている途中です」


「私も医療役として混ざっても良いでしょうか?」


「構いませんよ」


 怪我させても治療できるのなら多少は無茶しても雑に手加減しても安心だと考えて頷く。

 自分もある程度は治療できるが、やはり専門の者がいたほうが安心できるし続けて組手をする状況になることを考えると治療する時間や魔力が勿体ない。


「それじゃあ組手の日程が決まったら報告しますね」


「はい!」


 自分も参加できることに笑みを浮かべるシクレ。

 フレールはシクレが笑みを浮かべる理由がわかっているから積極的だなと思うし、同時にどんな時でも同じ場所にいようと機会を狙っている姿に少し引いてしまう。


「とりあえずの予定は来週ですので準備はしておいた方が良いですよ」


「来週ですか……。わかりました、予定は確実に開けておきますね」


「………頼みます」


 予定があるのなら、そちらを優先してもクライシスは構わないがシクレの好きにさせる。

 そんなことは本人が一番分かっているだろうと判断したのもある。


「さてと……。すぅ……「待って!」……なんでしょうか?」


「何をするつもりだ?」


「来週、組手をするつもりだから参加したいか確認しようと思ったんですけど?」


「………かなりの人数がいるから止めておけ。まだ学園の実力者のこと全く把握してないだろ。俺が集めるから待っていろ」


「………お願いします」


「任せておけ」


 どうせ戦い方は違えど実力は大差ないんだろうなとクライシスは想像する。

 それよりも驚かせてくれることが出来るのか疑問だ。

 満足できる戦いが出来るかよりも楽しませてくれるのか期待して待っていたほうが良いかもしれないと考えている。


「それじゃあ十人ほど決まったら連絡するから忘れるなよ?」


「分かっています。そっちも来週までに決めなきゃいけないと焦らなくても良いですからね?シクレ先輩には悪いですけど最悪延長すればよいですし。あくまでも来週なのは予定です。シクレ先輩もそれで良いでしょうか?」


「そうですね。まだ予定の段階ですから構いません」


「そっか……。そうだな。選りすぐりの者たちを選ぶ柄期待して待っていてくれ」


 その言葉にクライシスは頷きフレールたちの前から去っていった。




「さてと何処のダンジョンに挑もうかな?」


 クライシスはフレールたちから離れた場所で独り言をつぶやく。

 流石にさっき配信が終わったばかりだから直ぐに配信するつもりはないが明日以降に配信しようと考えている。

 そこで組手の様子を配信するつもりだと告知するつもりだ。


「面白そうなダンジョンはないかな?」


 まずはギルドに行って情報を集めるのも良いかもしれない。

 そしてダンジョンに行くかどうか考えよう。

 もう遅い時間だが少しは楽しむことはできるはずだ。

 遅い時間だからと止められるかもしれないが、それはそれとして情報を集めることぐらいは許されるだろう。


「もしくは喧嘩を売られないかな?」


 前もダンジョンに挑んでいる途中に喧嘩を売られた。

 今回もそうなるかもしれないと考えると笑みを浮かべてしまう。

 それが楽しみだ。


「それにしても早く大人になりたいな……」


 大人に慣れば遅い時間になっても自己責任でダンジョンに挑むのは止められないはずだ。

 それに親父刈りの標的にもされるのだろう。

 さらに暴れる機会が増えそうで楽しみだ。

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