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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
六章 鍛錬の配信

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五十話(配信回)

「じゃあ、まずは俺からこぼします」


【クライシスくんからか】

【一番最初が一番ヤバいやつか】

【あとに回されてモヤモヤするよりはマシか……?】

【むしろクライシスくんの発言で終わりそうでドキドキしてきた】


「最近、教師も訓練に参加してきて色々とキツイ」


【特定余裕ー!!】

【もう言っちゃってるじゃん!】

【大丈夫じゃないか?】

【秒で破りやがった!?】


「なんかコメントで避難されているけど名前は出てないから良くない?特定されても弱者が強者に学ぶのは普通のことじゃん。普段が教師と生徒だからやりにくいけど」


「………それはそうか?」


「たしかに……?」


【ふたりとも首を傾げてる】

【いやでも、たしかにそうじゃないか?】

【クライシス君たちの学園の教師って調べたら直ぐに出てくるよね?】

【気にし過ぎだったか?】

【あと愚痴をこぼしたくなる理由もわかる】

【いつも授業を受けている教師を逆に教えることになるのは想像するだけでキツイ】


「そもそも何で実践的な技術ばかりで精神的なものを軽視してたんだよ。どれだけ強い技を使えても頭の中は冷静だったり本当に身体に染み込ませないと使えないだろ。パニックになって形だけの攻撃をしても威力が出ないだろうし」


【精神なんて鍛えるのが難しいし】

【目に見える技とか肉体と違って鍛えられているのかわかりにくいし】

【むしろ精神を鍛えるよりは身体や技術を鍛えるのが大事だと思うし】


「うっわ」


「そこまで酷い内容ですか?」


「そんなに的外れなんでしょうか?」


「昔からの鍛錬方法があるだろうが。あれらが残っているのは効果がたしかにあるという証拠じゃないんですか?無いと判断されたら残ってないだろうし」


「そんなもんでしょうか?」


「直ぐに効果が出るわけじゃないし。長い目で見たり第三者から指摘されないと気づかないだろうけど。だから教師たちも強くなった理由がわかったんだろうし」


【目に見える効果が重要視されるのもわかる】

【結果が全てだからな】

【地味でわかりにくいより派手でわかりやすいほうが評価が高いし】

【繊細で凄い技術を見せても子どもたちは興味を持たないし】

【先生たちは優秀だな。強くなった理由がわかるなんて】

【クライシスが関わっている以外にないからじゃね】


「これから精神修行も授業でやることになると思いますか?」


「さぁ?」


「さぁって?」


「俺は教師でもなんでも無いし」


「もしかしたら授業の教師として立つ時が来るかもしれないんじゃないですか?」


「地獄かな?」


「教えるのはそんなに嫌なんでしょうか?」


「さっきも言ったけどキツイ」


【来年辺りからクライシスくんに指導を受けてもらうために志望する子が出てきそう】

【結局在校生を鍛えているし、頼まれたら教えてくれそうではあるよね】

【ツンデレかな】

【まぁ既に鍛えているし】


「最初は同級生だけだったのに……」


「お陰で勉強になります」


「強くなっているのを知っていたり、強くなるチャンスがあるのなら当然です」


「………向上心が強いのがいるから良いんだけどな」


【その言い方、向上心が無いやつがいるの?】

【人が集まれば、そんなのも来るよね】

【頑張れ そういうのはどうしても出てきてしまう】


「実力差を分からせないといけないのがメンドイ。何で雑魚のくせに喧嘩を売ってくるんだよ」


「……………」


「」


【あっ】

【ヤーキの兄貴から魂が抜けてる】

【知らないところで暴虐を尽くしているだろ、これ】

【もしかして教えるのが嫌なのって、いくら教えようとしても暴力で否定しようとするから?】

【そういえば年上相手のことばかり口にしているな】


「前に年上の人に教えていたことがあるんですか?」


「今も教えていますよ?」


「いや、そうではなくて」


「?今も俺の訓練なんかいらねぇと喧嘩を売りに来る奴らがいるぞ?」


「え?」


「あれ?………あ」


【あ】

【そういうことか】

【この人裏で何をしているんだ?】

【なにそれ知らない】

【年上のやっかみは面倒だな】


「それって、もしかして同じ学園の人だったり………してますよね」


「なんで実力を知る機会は何だかんだで多いのに喧嘩を売るんだ………」


「弱そうだから。俺がやっていることが簡単に見えるから。自分の実力を過大評価しているから。どうせ喧嘩を売っても許してくれるだろうと勘違いしているから」


「は……い…………」


「それは……」


【ヤーキの兄貴すごい震えている……】

【そういえば喧嘩を売ってトラウマを負わされたんだっけ】

【強いのは知っているけど。見た目からして強かったら、そりゃ喧嘩を売られないよな】

【あんまオラオラ系じゃないし】


「コメントにもあるようにオラオラ系にしたら、どうでしょうか!?」


「何で俺が雑魚のために演技をしないといけないの?」


【あの?】

【少なくとも、そのせいで被害にあう人がいるんですが?】

【もうちょっと周りのことを考えて】


「喧嘩を売ってきた奴らに配慮するとかクソだろ。ただ相手が調子に乗るだけじゃん。俺は搾取されたくないんだよ。………雑魚が調子に乗りやがって」


「ごめんなさい」


「……搾取って」


【そんなことするわけないじゃん】

【わかる】

【いじめる人って相手を追い詰めている自覚ないよね】

【もといじめられっ子?】

【あぁ、だから……】

【抵抗しないのが悪い】

【抵抗したから、この結果だろ】

【いじめが原因で自殺するの知っているくせになくならないもんな】

【やり返せば良いじゃん】

【やり返したら、あいつが急に殴ってきたって被害者ぶるくせに?】

【先生も面倒なのかいじめの加害者の味方になるよな】


「………なんか面白そうだな。先輩たちも眺めません?」


「えぇ?」


「わかりました」


 クライシスは二人を引き寄せて小声で話しかける。

 シクレは呆れながら、ヤーキは怯えながら頷く。

 そしてコメントが落ち着くまでクライシスは面白そうに眺めていた。

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