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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
四章 ダンジョンデート

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三十九話

「ところでさっきの人は知り合いですか?」


「…………ちらりと見ましたけど初めて見た人です。私達を知っているのは配信をしているからでしょうし」


「あぁ、たしかに」


 自分たちを狙っていたことにクライシスはシクレに確認するが、その言葉にそれもそうだと納得する。

 おそらくは配信者として成功しているシクレへの嫉妬だろうと判断して、それ以上は気にしないことに決める。


「ああいうことって、あるんですか?」


「声を掛けられることは偶にありますけど襲われたことは初めてですね。ありがとうございます。一人だったら、どうなっていたことか………」


「複数人相手に女の子一人ですからね。何をされるかわかったものじゃないですし」


「…………」


 その言葉にシクレは想像してしまったのかクライシスの腕をぎゅっと掴む。

 急にどうしたのかと疑問を持つが不安そうな顔に何も言えなくなる。


「これからは一人で行動するのは止めたほうが良いと思いますよ?」


「わかっています。クライシスくんも隣にいてくれませんか?強いから襲われても護ってくれると安心できますし……」


「良いですけど」


 俺も男だけど襲われる心配しなくて良いのかと思うクライシス。

 襲う気はないが少しは警戒したほうが良いんじゃないかと心配になる


「それよりもこれから買い物に手伝ってくれませんか?鍛えてくれたお礼もしたいですし」


「……構いませんけど着替えてからで良いでしょうか?」


「ちょっと食材を買うだけですから、そのままで大丈夫ですよ」


「それなら、まぁ……」


 買い物に付き合ってくれることに嬉しく思いながら、そのままで大丈夫だと告げるシクレ。

 どうせなら、この後買った食材でまたクライシスに弁当を作ろうかなと考えていた。


「そういえばクライシスくんはお弁当でどのおかずが一番美味しかったですか?」


「からあげ」


「なるほど………」


 男の子らしく肉が好きなんだなとシクレは納得する。

 それならお肉を入れた料理を作れば良いかと考える。


「その後、私の部屋に来ませんか?同室の子や寮の管理人には言っておきますので」


「………わかりました」


「はい。楽しみにしてくださいね?」


「?」


 部屋に来てくれるように言ったのは買った食材を運ぶためなんじゃないかと疑問を浮かべるクライシス。

 シクレは夕食を食べてもらおうと考えていた。



「まずはこれと……」


 そしてダンジョンから脱出した後、早速商店街へと行った。

 次々と食材をクライシスの持っているカゴへと入れていくシクレ。

 思ってた以上に食材を買っている。


「そんなに食材を買っていなかったんですか?」


「ごめんなさい。ちょうど男の子がいるから、いつもより多く買っています」


「あぁ。気にしないでください」


 女性だから、一度に多く買えないのかもしれないと納得するクライシス。


「クライシスにシクレか。デートか?」


 そんな中、声を掛けられる。

 声のした方向を確認するとフレールがいた。


「もしかしてデートか?」


「いえ。ダンジョンで訓練した後に食材が足りなくなっていたらしくて手伝っているだけです」


「ちがい……速いですね…」


「そ、そうか……」


 からかうつもりだったのかニヤニヤとした笑みが、そのまま固まってしまう。

 少しは動揺したりすればよいのに当然のように返されて面白みもないし、それから何とも思っていないのが察せられて同情しそうになる。


「……それでフレール先輩はどうしてここに?」


「俺も食料の買い出しなんだが……。その……大丈夫か?」


「はい……。まぁ、わかってはいるので……」


「そうか……」


 二人して理解しあっている様子にクライシスは仲が良いなと思って見ている。

 自分には無い二人で積み上げた時間があるのだろうと想像していた。


「それにしても訓練か……。どんなことをしてたんだ?」


「シクレ先輩はヒーラーなので、とりあえず回避と防御を徹底的に叩き込みました」


「そうか……」


「はい……」


 クライシスの鍛えた内容にシクレをちらっと見るフレール。

 よく見たら疲れ果てているように見えるし、思い出したのか死んだような目をしている。


「どれだけ、キツかったんだ?」


「こっちが必死に避けようとしても当ててきますし………。何度も本当だったら殺されている部位に当ててきますし……」


「恐怖や痛みがある方が覚えやすいですよね?単純に強くなるよりも避けたり防御能力を鍛えたほうが生存しやすそうですし」


「そうかもしれないけど……」


「それとも楽に強くなれる方法があるとでも?俺は今のまま鍛え続けますよ?」


「それは……」


 楽に強くなれる方法があるのかと聞かれて何も言えなくなる。

 あるかもしれないが想像できるのはどれも非合法のものだし手に入るのも難しいだろう。

 それに手に入れたとしても本当にクライシスに勝てるのか疑問でもある。


「薬で強くなっても本能や経験に勝るのか疑問ですしね。肉体が強くなっても技量で圧倒できる場合もあるでしょうし。そもそも感覚とか狂うんじゃないか?接種を止めたら弱くなるだろうし。面倒くさがりにはむしろ逆効果だろ。前も似たようなことを言ってた記憶があるような気がするけど」


「……依存性があるから面倒くさがりでもちゃんと接種するんじゃないかな」


 だけど同時に高く金を搾り取られるという話しもよく聞く。

 それで薬を接種できなくなったら弱くなるのは変わらないのだろう。

 それなら確かに辛くても地道に鍛えたほうが遥かにマシだった。

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